大分の旅は二泊目から夫と合流。一人旅でなくなると、つい飲酒量が増えてしまいます。
スペインのバスク地方にサンセバスチャンという美食の街があり、複数のバルを回って一口か二口サイズのピンチョスをつまむのが流行っているそうです。別府は「日本のサンセバスチャン」を目指しており、飲み歩きが楽しめるということでした。
カウンターのみの立ち飲みで、おでんと明石焼きの店に入りました。若い青年が一人で切り盛りしており、明石焼きを作るあざやかな手つきをながめながら、ビールと地酒を楽しみました。会計の時に「料理の提供に時間がかかって申し訳ありませんでした」と謝ってもらいましたが、おでんもおいしかったし、さっと飲んで帰るご常連を観察するのも楽しかったし、すっかりいい気分で店を出ました。
少し歩いたところで後ろから走って来る人が。さっきの店の青年です。「これ、お忘れ邪ないですか?」と私のスマホを差し出します。間抜けなことにカウンターの上に置きっ放しで店を出たのです! ワンオペで回しているのに、本当に申し訳ないことをしました。近所の店だったら、お礼に行く機会が何でもあるのに、次に別府に来るのはいつになるでしょうか。
この失敗に懲りずに、翌日も忘れ物をしました。
大分に移動して、お昼を食べたお店。居酒屋のランチ営業で焼き鯖の定食を頼みました。その直前に「今年の漢字」で地元のテレビ局の取材を受けて頭を使ったせいか、マフラーを忘れてしまったのです。夜に取りに行ったところ、丁寧にビニール袋に入れられて保管されていました。「お昼に気が付かなくてすみませんでした」と謝られましたが、こちらが迷惑をかけたのに。
大分はなんて優しい世界だったのでしょう。巷では闇バイトが民家に強盗に入り、銀行の貸金庫からお金が盗まれたというニュースが流れているというのに、同じ国なんでしょうか。
別府観光の父と呼ばれる油屋熊八はクリスマスに向けてサンタクロースの衣裳。マントをつかんでいる小鬼は温泉の地獄めぐりのイメージから。
銅像の台座には「旅人をねんごろにせよ」という旧約聖書の言葉。はい、大分の人には大変お世話になり、すばらしいホスピタリティを体験させてもらいました。
大分のようにいつも親切な人ばかりとは言えないので、忘れ物には十分気をつけたいものですが、加齢と飲酒による脳の劣化により、これからも失敗が続きそう。とにかくスマホ。写真を撮ったり、地図や時刻表を調べるのに取り出すことが多いのですが、使ったら必ずバッグに戻す習慣を。次は財布、鍵といったところでしょうか。
一昨年は神戸の実家から帰る際にスマホや財布を入れたバッグを兄の車に忘れるという失態を演じました。助けてもらったのは新神戸駅の観光案内所です。
荷物が多くなると、脳の容量を超えてしまうようです。雨の日は傘、夏は帽子、冬はコートにマフラーと持ち物が増えるので要注意。
スペイン巡礼では、キーホルダー型の忘れ物チェッカーをバックパックに取り付けていました。パスポート、財布、スマホ、クルデンシャル(巡礼証明書)と書き込み、巡礼宿の出発時にすべて持っていることを確認していました。一種のお守りのつもりだったのですが、私には必需品だったのかも。高齢者用に「玄関、窓、電気、ガス」といったお出かけチェッカーもあるようですが、出かける時と出先用に二つぐらい作ったほうがいいかもしれません。