八戸の超人気定食屋「みなと食堂」
つい先日、青森県に行ってきた。お目当ては新鮮な海産物をたらふく貪り喰らうことだ。海に面しているとあって、どこで食っても旨いのなんの。生でもウマい、焼いてもウマい。
ウマウマと青森を堪能したなかでも、指折りにうまかったのが八戸にある『みなと食堂』だ。八戸駅からローカルな八戸線に乗り、「陸奥湊駅」で下車。魚市場がたちならぶ通りに、何食わぬ外観で営業している定食屋だが、その実態は全国から熱狂的なファンを集める超絶人気店。早朝6時~15時までと朝型の営業時間なのだが、宿屋のおかみさん曰く「9時過ぎには行列が出来はじめるわよ」とのことなので、早起きして7時半に到着した。
のれんは、あえてビリビリにちぎっているのだろうか。
年季のはいった建物からは想像できないほど、小ぎれいな店内。内装だけリフォームしたようだ。カウンターが8席ほど、テーブル席が1つとこじんまりしている。
7時半の到着時は先客2名ですんなり入れたのだが、ものの30分もすると入りきれずに列が出来ていた。並ばず食いたいなら、気合を入れて早朝行くしかないだろう。
橙色に艶めく!「ヒラメ漬け丼」をかっ喰らえ!
一部、刺身定食などもあるにはあるが、メニューはほとんど海鮮物の丼だ。
イクラ・つぶ貝、まぐろなどが乗っかった「漁師の漬け丼」や「たっぷり生うに丼」にも欲情をそそられるが、それらを押しのけて一番人気なのが「平目漬け丼」だ。
八戸の郷土料理・せんべい汁とのセットを注文した。
▲平目漬丼のせんべい汁セット 1,350円
ちょっと凄くないですか、これ?
なんですか、この美しい漬け丼は。
橙色に艶めくヒラメの切り身に、卵黄とワサビが乗っかり、色のグラデーションがキレイ過ぎる。シンプルな丼飯なのに存在感、半端じゃない。
「ご飯の下にタレが溜まっているので、黄身もヒラメもよくかき混ぜて食べてください」と店員さんが食べ方をレクチャーしてくれた。
完璧な状態を崩すのは罪悪感を感じるが、突きあがる食欲にはかなわず、やむなく黄身を割る。
1粒たりとも米をこぼさぬよう、慎重にかき混ぜた結果、ヒラメの漬丼は黄金色した最終形態へと進化した。こんな贅沢なたまごかけご飯あるかよ。
たまらずかっこむと、これが、もう上質。上質、上品、優美という形容がぴったりくる丁寧な味わい。漬けにはしているものの、ヒラメはさっぱりとした味つけで、濃厚なたまごかけご飯とのコンビネーションは息がぴったり。
タレはほんの少しだけガーリックの風味が効いてるのも食欲を増進させて、ものの3分、あっという間に完食してしまった。
これなら早朝でも重くないし、毎朝だって食いたいぐらいだ。
▲せんべい汁
漬け丼とセットで注文した、せんべい汁。
野菜たっぷりの醤油ベースの汁に、南部せんべいを入れた郷土料理。ご当地グルメのコンテスト、B1グランプリで金賞を受賞している一品だ。
汁を吸いこみフニャフニャになったせんべいの食感が面白いし、わりと腹にも溜まる。
平目の漬け丼以外もウマいのだ!
▲平目の漬け、えんがわ半々丼 1,300円
友人が注文したのは、ヒラメの漬けとえんがわを半々に乗せた丼だ。
えんがわのコリコリとした食感、ほんのりとした甘みがプラスされ、ヒラメの漬け丼とはまた違ったウマさがあった。
▲イチゴ煮 800円
青森県の郷土料理・イチゴ煮も注文した。イチゴ煮とはいっても、果物のイチゴを煮たものではない。ウニとアワビを具材にしたお吸い物だ。熱したウニが野イチゴに似ていることから、この名前がついたそうだ。
注文するさいは「汁もので800円かあ」とちょっと高いななんて思ったが、これだけ豪快に生ウニとアワビが入っていたらなにも文句はない。むしろ安い。
贅沢な食材をふんだんに使ってるとあって、普通ならもうちょい派手派手しい味つけをしてしまいそうなもんだけど、海の塩っけだけのシンプルなお吸い物で、とても上品。当然、うまい。
近場に宿をとって、早起きしてでも攻めたいお店だ。
取材したお店
みなと食堂
住所:青森県八戸市大字湊町字久保45-1
TEL:017-835-2295
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
作者:松澤茂信(まつざわしげのぶ)
東京別視点ガイド編集長。
るるぶとか東京ウォーカーが積極的に載せないようなとこばっかし巡ってます。
そういう人生です。けっこー楽しいです。
(編集:編集プロダクション studio woofoo by GMO)
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