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ほぼ日刊イトイ新聞

2025-03-25

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・いつごろからか、ごぼうを愛するようになっている。
 ごぼう、漢字で書くと牛蒡、カタカナでゴボウね。
 印象としては「キンピラゴボウ」ぐらいしかなかったが、
 好物とは言えないけれど、煮物にもなっていたし、
 炊き込みごはんだとか、天ぷらだとかにもあったはずだ。
 嫌いでもないが、好きだとは思っていなかった。
 あとは、日本軍に捕虜になった外国の兵士が、
 「木の根っこを食べさせられるなど虐待された」
 と証言したが、それはごぼうだったという話があった。
 ほんとの話かどうかは、ちょっと疑わしいけどね。

 ごぼうのことを、おれは好きなんじゃないかと思ったのは、
 いつごろだったのだろうか。
 九州で「ごぼ天うどん」を食べたときかもしれない。
 それまでのぼくが想像していたよりも
 ずっと大きなごぼうの天ぷらがうどんの上にあって、
 その衣がもちろんカリッとしているのだが、
 半分つゆにつかっていてそこからはふにゃっとしている。
 衣がカリだろうがふにゃだろうがおかまいなしに、
 ごぼうはちっともやわらかくない。
 やわらかいごぼうだとしても、それなりにかたい。
 だから、天ぷらにするときも、
 細く切ったり、薄く切ったりして食べやすくしている。
 このでかい天ぷらをかじりながら、
 ふにゃぁっとしたうどんを食べるのがうまいんだよな。
 と、うどんの話じゃなく、ごぼうの話なんだけど、
 このあたりで、ぼくのごぼうへの愛が
 めばえはじめたのかもしれない。
 でも、このうどん体験にしてもずいぶん年を取ってからだ。
 幼児から中年男子くらいまでの長い期間は、
 ごぼうのことなどあんまり考えてなかったのである。

 いまでは、ごぼうの天ぷらはもちろん大好物、
 ごぼうのキンピラ、八幡巻き、ごぼうスナック菓子、
 すき焼きや柳川の材料として、よろこんで食べている。
 それにしても、「なにが好きですか?」と訊かれて、
 いままで「ごぼう」と答えたこともなかったし、
 他の人も「ごぼう」と言ってなかったなぁと思うので、 
 一度は、はっきりと「ごぼうを愛している」ということを、
 こうして「今日のダーリン」で言っておこうと考えたのだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
いちごとごぼうどっちが好きか、そういうことはわからない。


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