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12月13日は「大掃除の日」。かつて江戸城で、毎年この日に「
お勧めは「ながら掃除」
洗剤メーカーのリンレイ(本社・東京)が今年11月、全国の20~60代の男女を対象に実施した大掃除に関するアンケート調査では、62%の人が大掃除を行う予定だと回答し、そのうち58%の人が掃除に3時間以上費やすとしています。また、大掃除で苦痛を感じることとして、「こびりついた汚れを落とす」(56%)、「掃除する箇所が多い」(42%)、「汚れたものに触る」(27%)などが挙がっています。
少しでも楽に効率良く掃除を行うには、どうすればいいのでしょうか。春日さんは「まず、掃除する場所の付近を片付けましょう。キッチンに置きっぱなしの食器や鍋を、いちいちずらして掃除するのは効率が悪い。物が少ないほど掃除がしやすくなるので、いったんしまうか移動させてください。そのうえで、お勧めしたいのは、“ながら掃除”です」と話します。
水回りの頑固な汚れは、洗剤をかけただけでは落とせません。洗剤をなじませるために、かけた後、しばらく時間をおく必要があります。「例えば、キッチンの換気扇を洗剤につけおきしながら、玄関の掃除をする。浴槽のカビが取れるのを待ちながら、リビングに掃除機をかける。待ち時間を利用して、他の場所を掃除するのが、“ながら掃除”です」と春日さん。
汚れと洗剤の相性
水回りとは、主にキッチン、洗面所、浴室、トイレの4か所です。使用する洗剤は、場所や汚れの種類によって異なります。
「浴室だと、カビと皮脂の2種類の汚れがあります。塩素系(アルカリ性)洗剤を使うと、カビが取れてきれいになった気がします。でも、浴槽や床をよく見ると、皮脂汚れが原因の黒ずみや水アカは取れていません。この汚れは、酸性の洗剤でないと取れないのです。汚れに合った洗剤を使わないと、いくらゴシゴシこすってもキレイになりません。時間ばかりかかって効果はなく、ただ疲れるだけです。汚れに合わせて洗剤を使い分けるのが掃除の一番のコツです」
春日さんに、汚れと相性のいい洗剤と掃除方法を教えてもらいました。塩素系の洗剤は手荒れなどを起こすことがあるので、事前にゴム手袋の準備を。また、塩素系洗剤と酸性洗剤の両方を使うときは、決して混ぜないよう注意が必要です。
【キッチン】
〈換気扇やガスコンロ〉
油汚れは酸性なので、重曹やセスキ炭酸ソーダなどの塩素系洗剤をお湯に溶かして、つけおきします。汚れが浮いてきて、簡単に取れます。レンジフードが取り外せない場合は、洗剤をスポンジに吹きかけ、こすり洗いします。汚れが取れたら、水拭きをして、仕上げに乾いた布でから拭きをします。
〈シンクの水アカ〉 水アカは、水道水に含まれるカルシウム・マグネシウムが蓄積したもの。これには酸性や弱酸性の洗剤が最適です。おすすめは、プロの清掃業者が使う洗剤と成分的に近い「水回り用ティンクル」(KINCHO)。酢酸がアルカリ性の汚れを分解して、しっかりと落とします。掃除後にから拭きしてから、「リンレイウルトラハードコーティング」(リンレイ)でコーティングするとキレイな状態が持続します。
〈排水口のぬめり〉 排水口の汚れが気になるけど、手袋をしていても触るのは嫌という人は多いでしょう。せっかくシンクをキレイにしても、排水口のカビや雑菌が増殖して、汚れが広がることになります。排水口には、泡で洗浄するタイプの塩素系洗剤がおすすめです。もこもこした泡で洗浄した後、水で流すだけ。手も汚れません。
【浴室】
〈カビ〉
カビキラー(ジョンソン)など塩素系の洗剤をカビにスプレーします。ジェル状タイプもあり、タイルの目地やゴムパッキンに塗ると効果的です。洗剤をなじませ、水で十分に洗い流し、乾いた布でから拭きします。
〈皮脂汚れ・水アカ〉 カビを取った後、気になる箇所に酸性の洗剤をかけて、スポンジなどでこすります。水で洗い流したら、仕上げに水気をしっかり拭きとってください。これで、浴室はピカピカになります。
【洗面台】
洗面台では歯を磨いたり、顔を洗ったりするため、皮脂や石けんかすが付着します。化粧品が飛び散った油汚れもあります。スポンジに浴室用の酸性洗剤をつけて、洗面ボウルをこすりましょう。ボウルに水をかけて汚れを洗い流し、乾いた布でボウル全体の水気を拭き取ります。排水口のぬめりは、キッチンと同じく泡洗浄がおすすめです。
【トイレ】
便器の汚れは主に尿石です。尿酸が固まって黄ばみから黒ずみに変化します。尿石に効果があるのは、サンポール(KINCHO)など酸性の洗剤です。便器の内側に洗剤をかけて、上からクリーナーシートを貼りつけると、なじみやすくなります。しばらくしてシートごと流しましょう。ブラシでこするとこびりついた汚れもすっきり落ちます。塩素系ではありますが、トイレハイター(花王)も漂白成分が入っていて、キレイになります。
洗濯槽もきれいに
見逃しがちなのが、洗濯機の汚れです。とくに洗濯槽は外から見えないため、掃除を怠ると、カビや石けんかすで驚くほど汚れてしまいます。洗濯機のふたを開けたとき、嫌な臭いがしたら、洗濯槽はカビだらけだと考えた方がいいそう。春日さんは「みなさんの想像の10倍は汚れています。黒カビは根を張るので、なかなか取れません」と警告します。
洗濯槽の掃除に使う洗剤にも、塩素系と酸素系の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。塩素系の代表は洗濯槽用のカビキラーです。カビに対する効果は絶大ですが、つけおきの時間がかかります。「説明書きには、つけおきの必要がないとありますが、実際には最低3時間から1日くらいおいた方がいいでしょう」
春日さんのおすすめは、発泡タイプの酸素系洗剤「カビトルネード Neo 洗濯槽クリーナー」(リベルタ)。泡で汚れを一気に剥がしてくれるので、時間がかかりません。汚れが浮いてくる様子が確認できるのもポイントです。「発泡タイプはつけおきが不要なので時短になります。ただし、黒カビは深く根を張るので、完全に除去したい場合は、塩素系クリーナーでつけおきするなど使い分けるのがおすすめです。洗浄後の防カビにもなります」
掃除はライフスタイルに合わせる
年に1度の大掃除でくたくたに疲れるよりも、毎日こまめに掃除をした方が効率的という考え方もあります。「ただ、共働きの家庭などでは毎日の掃除はハードルが高い。かといって年末の大掃除もキツイですよね。そういう方は視点を変えて、プロに頼むことを選択肢に入れてはどうでしょうか。汚れが蓄積しやすく、掃除が難しい場所だけプロに頼るのもありです。いったんプロにピカピカにしてもらって、その後は普段の掃除で『きれい』をキープするのもいいかもしれません。ストレスをため込まないよう、ライフスタイルに合った掃除方法を選んでください」と春日さんはアドバイスしています。
(読売新聞メディア局 後藤裕子)