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小倉智昭さんが発症した膀胱がん 再発を繰り返し、やっかい…誰もが知っているワクチンを治療で使うことも

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 フリーアナウンサーの小倉智昭さんが、 膀胱(ぼうこう) がんで亡くなりました。膀胱がんは再発を繰り返すやっかいながんだと言います。治療について、慶応大学病院泌尿器科教授の大家基嗣さんに聞きました。(聞き手・利根川昌紀)

▶情報バラエティー番組「どうーなってるの?!」の司会を務めていた時の小倉智昭さん(1996年12月ごろ)

高齢男性に多いがん

小倉智昭さんが発症した膀胱がん 再発を繰り返し、やっかい…誰もが知っているワクチンを治療で使うことも

膀胱がんで亡くなった小倉智昭さん

――どのようながんですか。

 腎臓で作られた尿は、腎盂(じんう) 、尿管を通って膀胱に行きます。この尿の通り道は、尿路上皮と呼ばれる粘膜で覆われています。ここにできるがんを尿路上皮がんと呼びます。そのほとんどは膀胱にできます。これが膀胱がんです。

 毎年、男性が約1万7000人、女性は6000人近くが新たに診断されます。発症する人の多くは高齢男性です。喫煙が主な要因です。

 がんが粘膜の下にある「筋層」に達している場合は「筋層浸潤性がん」、上皮にとどまっている場合は「筋層非浸潤性がん」と言います。前者は、命にかかわります。後者は、がんを取り切れば治りますが、再発することが多いです。膀胱がんは、とてもやっかいだと言えます。

――どのように見つかりますか。

 多くの場合、血尿がきっかけです。痛みはなく、放っておいたら血尿は出なくなります。しかし、安心してそれを放置していたら、どんどん、がんが進行してしまいます。

 血尿に加え、頻尿になったり排尿時に痛みが出たりする場合は、粘膜壁に沿って発症する「上皮内がん(CIS)」の可能性が高いです。

 いずれにしても、血尿が出たら検尿をしてがん細胞が尿に含まれていないか調べます。CT検査もし、最後は尿道から内視鏡を挿入して組織を取って生検をし、診断します。

全摘ならば「尿路変更」

――どのように治療しますか。

 がんが上皮にとどまっている場合は、尿道から電気メスのついた内視鏡を挿入し、がん細胞を切除する「経尿道的膀胱腫瘍切除術」(TURBT)を実施します。非浸潤性がんの場合、再発することが多く、これを防ぐために、がんの状態によってはBCGワクチンを尿道から投与します。BCGワクチンは結核の予防ワクチンです。なぜ、このワクチンが効果を発揮するかは分かっていませんが、免疫力を高めることができるとされています。

 浸潤性がんの場合は膀胱を全摘し、尿路変更と呼びますが、新たに尿をためる場所をつくります。おなかに穴を開けて尿をためる袋とつなぐ「回腸導管」と、小腸の一部を使ってためる場所を作る「代用膀胱」などがあります。

 一方、がんが体のあちこちに転移してしまっている場合は、複数の抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬を使います。

予防には禁煙

――日常生活で気をつけることはありますか。

 膀胱がんのリスクとなるのは、たばこです。予防したければ、禁煙をしてほしいと思います。

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おおや・もとつぐ
 慶応大医学部卒。2007年8月、同大泌尿器科教授。13年10月、同大病院副病院長。日本 (がん) 治療学会監事。日本泌尿器科学会元理事長。

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