「心理的安全性」とは何
心理的安全性って何だろう?
最近よく耳にする「心理的安全性」という言葉。初めて聞いたとき、僕は正直「ビジネス用語の新しいバズワードか?」と思った。でも、調べてみると、その意味は想像以上にシンプルだった。
心理的安全性とは「自分の意見を言っても責められない、失敗しても罰せられない」という状態を指す。Googleが行ったプロジェクト・アリストテレスの研究によると、心理的安全性が高いチームは生産性が高く、革新的なアイデアが生まれやすいそうだ。
こんな思い出はないだろうか。顧問の先生や先輩が厳しく、ミスをするとすぐ怒られる環境だといい試合ができない。逆に、後輩たちと気楽にアイデアを出し合うときは、妙に楽しく、いいプレーが生まれた。
恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
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『チームが機能するとはどういうことか』の著者であり、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている、エイミー・C・エドモンドソン教授最新刊!
oogleの研究で注目を集める心理的安全性。
このコンセプトの生みの親であるハーバード大教授が、 ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、 対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、 そして、それを乗り越えた組織のあり方を描く。
1.心理的安全性とは
心理的安全性は、個人が自分の考えや気持ちを自由に表現できる環境のことだ。つまり、「この場で自分を出しても大丈夫」と安心できる状態だと言える。仕事の場面では、上司や同僚に遠慮せず意見を出せることが、学校では友達や先生に相談できることが、それに当たる。
心理学者エイミー・エドモンソンは「チーム内でどんな質問をしても笑われない、間違いを認めても責められない」と感じられる状態が心理的安全性の本質だと語っている。つまり、「ミスをしても一緒に学べる」「意見を言っても否定されない」という空気が重要なのだ。
2. ミスを恐れる文化の弊害
日本の多くの組織では、「ミスをしないこと」が最重視される。これは見方を変えれば「ミスを許さない文化」と言える。学校でも会社でも、間違いを指摘されるのが怖くて、つい発言を控えてしまう。
例えば、会議の場で「こんなことを言ったら笑われるかも」「自分の意見が否定されたらどうしよう」と思うと、発言するのをためらってしまう。実際、ある企業の調査によると、日本の社員の多くが「間違うことを恐れて沈黙を選ぶ」と回答している。
このような文化では、挑戦することそのものがリスクになる。新しいアイデアを出すより、無難な提案を選んだほうが安全だと感じてしまうのだ。その結果、組織は停滞し、成長の機会を失う。
さらに、日本では失敗が昇進や給料に影響するケースが多い。失敗を恐れて新しいことに挑戦するより、現状維持を選ぶ方が出世しやすいという暗黙のルールが存在する。そのため、リスクを避ける文化が根付いてしまうのだ。
一方、Googleの研究では、「ミスを恐れない文化」が革新を生むと証明されている。失敗してもサポートし合える環境では、人は積極的に意見を出し、新しい挑戦を続ける。
これは、僕たちの日常生活にも言える。「間違ったらどうしよう?」と考えるあまり、やりたいことを諦めてしまう経験は誰にでもあるだろう。でも、心理的安全性がある環境なら、一歩踏み出せる。
3. 心理的安全性を高めるには?
心理的安全性は、魔法のように一瞬で作り出せるものではない。でも、少しずつ意識することで育てていける。
例えば、何かを頼まれたときに「無理!」と言う前に「どうすればできるか一緒に考えよう」と声をかけてみる。部下や後輩がミスしたときも、責めるのではなく「どうすれば次はうまくいくか」を一緒に考える。
プライベートでも同じだ。家族や友人との間でも「何を言っても笑われない、怒られない」と感じられる場があると、自然と心が開ける。
4. 心理的安全性が生む未来
心理的安全性が広がることで、僕たちの日常は少しずつ変わっていく。学校でも職場でも、失敗を恐れずに意見を出し合える社会なら、もっと多くの可能性が広がる。
振り返ると、僕の人生の転機は、誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらえた瞬間だった。だからこそ、今度は僕たちがその言葉を誰かに届けられる存在でありたい。
心理的安全性は特別なものじゃない。ちょっとした気遣いや思いやりから始まる。今日からでも、試してみよう。「何を言っても笑われない、責められない」。そんな空気が広がるだけで、僕たちの世界はもう少し優しく、温かくなるのだから。
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