ウエイトリフティングの話ですが。
動作スキルについての面から見ると、挙上するよりもおそらく降ろす方が難しいと思います。
あくまで経験則ですが、素人でも練習そんなにしなくても案外持ち上げることはできるんです。
無茶苦茶なフォームだろうが何だろうが、案外、挙げるのは出来てしまう。
でも、降ろすことができないことが多いです。
ウエイトリフティングではなくもっとシンプルはデッドリフトでの話です。
私の過去の話ですが、当時通っていたボクシングジムで、女子(フィットネス目的の方々)とトレーナーとオーナーがわいのわいの筋トレを楽しんでました。
そんな中、デッドリフトやったことがない女子が見よう見まねで20kgぐらいのバーベルを持ち上げたんです。
でも、その後ずっと静止している。
理由を聞いたところ
「どうやって降ろして良いか」
が分からなかったそうです。
私もよそ様のジムなので余計なことは言わずに、他のトレーナーと一緒にそのバーベルを持って代わりに降ろしました。
と言うぐらいに持ち上げることは簡単で降ろすのは難しいようです。
階段も登山も、上りよりも降りる方が大変だというのは、なんとなく聞きかじっている人も多いかと思います。
その割に上りエスカレータの方が多いですけどね、下りエスカレータの方が高齢者等には必要だと思いますが(個人的な見解)。
さてウエイトリフティングの話に戻ります。
同じくウエイトリフティングもバーベルを挙げるよりも降ろす方が難しいです。
まして怪我をしないように降ろすのは結構大変かと思います。
最近は技術の進歩と発達のお陰で、バーベルを落としても大丈夫になってきました。
それ故にほとんどのリフターが挙げたバーベルを落とします。
高重量なんて落とさず降ろす方が体を痛める可能性は高いですからね。
でもこれも結局動作スキルなんですよ。
考えても見てください。
とんでもない重量を挙げるようにはできるんですよ、練習を重ねてトレーニングもすれば。
でもそんな重量を挙げられるのだからフィジカルもしっかり出来上がっていると思うじゃないですが、でも降ろせないんですよ。
その差は何かというと
「スキル的難易度」と「練習量」
なのだと思います。
もともとスキル的難易度が高いのに練習頻度が低かったら降ろせる訳がないし、スキルが低いのに降ろそうとすると怪我をする、当然です。
ウエイトリフティングの重量至上主義もちょっと関係してるかも知れないですね。
高重量さえ上がれば降ろす動作スキルは落としている最中に特定の地点まで手を放さなければ良いという、その程度のスキルで良くなっているというのがあるかも知れないですね。
高重量で盛り上がる代わりに、一部動作スキルを捨てている。
まあそれで良ければいいんですけどね。
ただ道具が発展・発達すると、ヒトの動作的スキルが低下するというのは、競技としてはありかも知れませんが、フィジカル面で考えてどうなのか、という気はしています。
さてウエイトリフティングに関しての話はここまで。
物を降ろすということについてですが、日常生活では自分が降ろせない重量を持ち上げたら大体怒られます(笑)
第一、通常のものはある程度丁寧に扱わないと壊れたり問題が発生してしまうので、日常生活の動作スキルとして「降ろす」を身に付けることも大事です。
むしろ、フィジカルトレーニングとして降ろすスキルを身に付けたら、きっといろんな人を手助けできるんじゃないかと思います。
例えば震災とかで酷い状態になった部屋とかを整理する時とか、高齢者が降ろせないものを降ろしてあげられたらなんかいいですよね。
もちろんボランティアが入れるぐらいに安全が確保されてからの話ですが、でも後片付けもやらなければならないことだからこそ、鍛えた体をそういうところで生かすのもありなんじゃないかと思います。
と言うように、スキルとして「ある程度の重量のものを降ろす」は身に付けていて損はないと思います。
怒られそうなところをそっと降ろしたら、普段口うるさい人を黙らせることもできるかも知れない(笑)
降ろすのは重力という力も加わるので、そういう点も考えるとやっぱり難しいかなと思いますね。