洪水に呑まれゆく世界を舞台に、1匹の猫の旅路を描いたラトビア発のアニメーション映画。

世界が大洪水に見舞われ街が消えていくなか、1匹の猫が旅立つことを決意する。流れてきたボートに乗り込んだ猫は、一緒に乗りあわせた動物たちとともに、想像を超える出来事や危機に襲われる。時に運命に抗い、時には流され漂ううちに、動物たちの間には少しずつ友情が芽生えはじめる。

監督・製作・編集・音楽を1人で手がけた長編デビュー作「Away」で世界的に注目されたラトビアのクリエイター、ギンツ・ジルバロディス監督が、5年の年月をかけて多くのスタッフとともに完成させた長編第2作。2024年アヌシー国際アニメーション映画祭にて審査員賞・観客賞を含む4部門を受賞し、2025年・第82回ゴールデングローブ賞ではラトビア映画史上初の受賞となるアニメーション映画賞を、第52回アニー賞では長編インディペンデント作品賞、脚本賞を受賞。第97回アカデミー賞でも長編アニメーション賞と国際長編映画賞の2部門にノミネートされ、長編アニメーション賞を受賞した。

2024年製作/85分/G/ラトビア・フランス・ベルギー合作  

                             映画.comより転載

 

 

ダイナミックな映像美に浸れる85分。

どういう現象かはわからないが地球の陸地は水没化しつつある、人類はすでに滅亡しているようだ。

大洪水に見舞われ居場所を失くし逃げ惑う動物たち。

ダイナミックな水の表現、鹿の大移動等映像の見応えあり。

 

猫は、猫彫刻家の飼い猫だったようだ、大きな猫の彫刻のある家にいたが、もちろん飼い主はすでにいない、徐々に水没していく中生きるために?旅立つ。

 

 

ノアの方舟・・・・かな、猫、犬、カピパラなど大洪水の中嵐にも翻弄されながら流されていく。

 

 

 

 

彼らはどこに行きつくのか?

冒険譚のようなものを楽しめばよいのか?

子どもだったらそれでも良いだろうが、いや、多分子供向けの映画だろう。

でもこの映画の設定は終末的世界観でその世界観に合うダイナミックなビジュアルが魅力的だ。

ところが描かれている動物たちの異種友情譚には少々鼻白むのだ、大人は。

なので大人の観客は、これは子供向けで大人も楽しめる出来だというところを割り切ったほうが良いように思う(でも、こういうのは子供は観ないよね)。

 

動物の造形の、張りぼて感というかCGだけれど何やら手作り感があるのが好みだったし、猫のほとんど表情のない顔がいかにも猫らしく、体の動きのしなやかさが実に魅力的、泳げないはずの猫が泳いでいる姿が、この作家は猫が半端なく好きなんだなというところがビンビン伝わってくる。

 

動物のかわいらしさ、擬人化(というほどではないが・・・まあいいかと思える範囲)された友情、そんなものを楽しむには良いのだけれど。

 

でもね、犬とキツネザルは仲間がいるようだけれど、猫やカピパラは同じ種がいなければ絶滅だよね、それに地球に陸地がなくなるようだし、ノアの方舟で生き残れるようには思えないんだけれど、、、と

 

そんなことを思う映画ではなく、単なる設定?

と思ったのだけれど、いただいたコメントで、はっと気が付きました。

ノアの方舟?と思った時に気が付くべきでした。

人類に対する警鐘という大きな意味があるんですね。

 

水没する遺跡というシーンがとても美しい。

 

映画館で観たい映像美です。

今年度のアカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞と重要な賞はほとんど『アノーラ』が受賞した。温かい気持ち、優しい心、希望の光、そんなものが表現されていて胸が熱くなる、こういう映画が必要とされている。

私も鑑賞後すぐに思った、この映画が受賞だろう。

 

けれど個人的には問題点のいろいろとある(一番の問題点は脚本の”抜け”、やりっ放しかな)『ブルータリスト』が好みだ、ずっと以前から持っている私の好みに合うのだ。

欠点はあれこの映画は別格だ、長尺とか大作とかというより、一人の人間の人生を描き切った叙事詩というところ。

傑作エミール・クストリッツアの『アンダーグラウンド』のような。

どう生きても人生は敗北なのだ、というようなところですね、そう感じるところに余韻の深さがあると思います。

必死で生き抜いた、生き切った、名誉も手に入れた、成し遂げたものも大きい。

でも、本当に欲しかったものは指の間からすり抜けていった。

ラスト近くのラースロー・トート=エイドリアン・ブロディの表情からうかがえます。

人生は過程ではなく結果だ、という言葉とは裏腹に、彼は人生において敗者だったと自分で認めている、そう見えた。

ちらっとしか映らない表情、説明的でないところが余韻が深い。

完成度に難ありというところもったいなかったなと思います。

作品賞ノミネート作は『アノーラ』『名もなき者』『デューン砂の惑星2』の3作しか観ていませんが『教皇選挙』『エミリア・ペレス』は鑑賞予定です。

 

監督賞についてはジャック・オーディアールが気になる、『エミリア・ペレス』鑑賞が楽しみ。

主演男優賞はエイドリアン・ブロディに、ティモシー・シャラメも良かったが、作品が大重量の『ブルータリスト』とは勝負にならず、エイドリアン・ブロディのスペシャリストの演技には及ばなかった、残念というより次に期待大というところです。

助演男優賞は本命キーラン・カルキンが受賞したが、エドワード・ノートンやガイ・ピアースも良かったな。

助演女優賞は『教皇選挙』のイザベラ・ロッセリーニが気になる、怪演?

最後にドキュメンタリー賞は『ノーアザーランド 故郷は他にはない』これしかないだろう。

 

昨日は長編アニメーション賞受賞の『Flow』を鑑賞したが、動物の造形の、張りぼて感というかCGだけれど何やら手作り感があって好みだった。

子供にはわかりにくい終末的世界観、でも、大人にはちょっと鼻白む動物たちの異種友情譚、中途半端になった感ありかな。

戦後ローマでたくましく生きる市井の人々と権利を渇望する女性たちの姿を描き、2023年のイタリア国内興行収入第1位を記録したドラマ。「ジョルダーニ家の人々」などで知られるイタリアのコメディアンで俳優のパオラ・コルテッレージが初メガホンをとり、自ら主演を務めた。

1946年5月。ローマにある半地下の家で家族と暮らすデリアは、夫イヴァーノの暴力に悩まされながらも意地悪な義父の介護や家事をこなし、さらに複数の仕事を掛け持ちして家計を助けている。過酷な毎日を送る彼女にとって、市場で青果店を営む友人マリーザや自動車工のニーノと過ごす時間だけが心休まるときだった。母の生き方に不満を感じている長女マルチェッラは、裕福な家の息子ジュリオからプロポーズされ、彼の家族を自宅に招いて昼食会を開くことに。そんなある日、デリアのもとに1通の謎めいた手紙が届く。

夫イヴァーノ役に「おとなの事情」のバレリオ・マスタンドレア。「イタリア映画祭2024」では「まだ明日がある」のタイトルで上映。

2023年製作/118分/G/イタリア            映画.comより転載

 

 

 

問題は一通の謎めいた手紙

予備知識全くなしで観ているので混乱したが、予備知識がない方が物語の方向性がわからず楽しめる、が、良いのかこの展開で?というところもある。

モノクロ映像でイタリアンネオリアリスモ映画全盛の時代の雰囲気を作り出しているし、内容もそういう映画です。

1950~60年代かな、『自転車泥棒』とか『鉄道員』とか?

でも、演出手法とか作品のテイストはかなり違う。

前半の布石が効いていて、ハラハラドキドキの盛り上がりが楽しめるのですが・・・

以下へ↓

 

 

 

ネタバレ

これは敗戦までは日本もまったく同じ状態で、家父長制の中、女性の人権はないに等しい、特に結婚した女性には何の権利もなかった、要は夫の所有物であった・・・という、イタリアでの話。

二度の戦争から生還した夫は(それが原因とも思えないが)暴力で妻を支配し、妻は不満はあっても他に生きるすべがなく忍従の日々。

 

 

布石はわざとらしく、妻を取り巻く人間関係を描いている、妻はもともとたくましい人物であったと思われるが、愛する娘が自分と同じような人生を歩もうとしているのを見抜き、大胆な行動に出る。

いや~、ものすごくわざとらしい展開なんだけれど、要は手紙なんです・・・

これって全国民に知らせている歴史的社会の変革なんですが、映画の展開は全くミスリードで、母は恋人と町を出ていくんじゃないの?という、いや~びっくりしました、そんなこととはつゆしらず。

 

急いでどこへ行くのかと思えば・・・・でも、夫に見つかると暴力沙汰になるのはわかります。

 

 

これって朝ドラ『虎に翼』的、女性に人権が与えられたということなんですが、映画としては何なの?あざといんじゃない?という展開に。

二人の息子のしつけのなっていない悪ガキぶりには、やれやれ💦という感じでした、夫や舅の横暴の影響?。

夫役のバレリオ・マスタンドリアさんは小林薫さん(以前は)とかマイケル・ファスベンダーさんに似ていて、多分イタリアのトップスターだと思います、魅力的。

娘役の女優さんも美しい!イタリア美人!

 

イタリアで600万人が喝采というのはイタリアの現実がどうかというところ考えさせられます。

『虎に翼』にだって考えさせられるんです、描かれた時代からさほど変わっていない今の現実、ということに。

 

 

 

4月9日から14日の予定。

作品は出来ていますが雑用がいろいろ。

キャプションが出来ました。

 

案内ハガキの表面を利用、台紙に両面テープで貼る。

 

 

着物女性のパステル画はこんな感じの小品に。

要らないところはバサっと捨てました💦

受付あたりにちょこっと展示の予定。

 

案内ハガキを送る準備をしていますが、これが大変、先ず、名簿の整理を、なんなん?今頃?という感じです。

予定では今月末くらいに届けばよいだろ言うところなのですが、ということは10日後くらいには投函せねば。

 

 

 

1980年代のイタリアを舞台に、17歳と24歳の青年が織りなすひと夏の情熱的な恋の行方を、美しい風景とともに描いたラブストーリー。アンドレ・アシマンの同名小説を原作に「日の名残り」「眺めのいい部屋」の名匠ジェームズ・アイボリーが脚本を執筆、「胸騒ぎのシチリア」などで知られるルカ・グァダニーノ監督がメガホンをとった。第90回アカデミー賞で作品賞ほか4部門にノミネートされ、アイボリーが脚色賞を受賞した。「インターステラー」「レディ・バード」のティモシー・シャラメと「コードネーム U.N.C.L.E.」「ソーシャル・ネットワーク」のアーミー・ハマーが主人公カップル役で共演。83年、夏。家族に連れられて北イタリアの避暑地にやって来た17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会う。一緒に泳いだり、自転車で街を散策したり、本を読んだり音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオはオリヴァーに特別な思いを抱くようになっていく。ふたりはやがて激しい恋に落ちるが、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてきて……。

2017年製作/132分/PG12/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作

                             映画.comより転載

 

 

 

ジェームズ・アイヴォリーの脚本がポイント

1983年夏、北イタリアの避暑地、17歳の少年とアメリカからやってきた24歳の青年は限りあるつかの間とわかっていながらも恋に落ちる。
少年の父は大学教授で考古学?映画冒頭では発掘されたギリシャ・ローマ彫刻の写真が様々映し出される。
ギリシャ時代、同性愛は知識人の間ではよくあることで非難されるものではなかった、しかしそれは青年と少年の間に限る、若い時代の一時にのみ許されていたらしい。
まさにこの映画そのもの。
少年は知識階級の息子であり教養・芸術的感性豊か、そして青年は考古学を研究する大学院生。
彼らの間ではそれが許される、そういう背景になっているように思った。

 

 

美しい恋する二人はギリシャ彫刻のようにあらねばならぬ、世俗を超越する美しさがないとね、というキャスティング。
 

 

観客は8割がた女性だったが、これはゲイ映画というようなものではなく、男女関係なく、今現在、そしてかつての甘く切ない恋を心に秘めている人ならば誰でもが瑞々しい切なさに心掴まれる映画だと思う。

彼らがいつ恋に落ちたのか?
多分、はじめて会った時に。
そして、意識せずとも恋の駆け引き。
映画終盤に思い出させるあのシーン、このシーン、すべてに彼らの思いが込められていた。

 

二人の間の微妙な体の傾き加減が・・・・う~む、細部までお見事。

 

恋とは、障害があってなり立つもの、少なくともドラマになるような恋は。

障害が大きいほど燃え上がるもの・・・日本じゃあ、近松の世界か?というような。

今は障害を設定するのはとてもむつかしい時代、もはや不倫では障害にもならない、あとは同性しかない、それで、そういう映画は多いが、切なさだけではダメなんだよね、とこの映画を観ると思う。

ジェイムズ・アイヴォリーが手掛けた脚本がさすが、このタイプの映画の元祖『モーリス』を手掛けた人。

そして、贅沢で瑞々しい映像美を誇るルカ・グァダニーノの格調高い演出が冴えています。

ただですね、ちょっとひねくれた見方をすると、こういう恋って上流階級のインテリ層のもの?という匂いがね・・・・するんです。

グァダニーノ監督は高踏的作風というか・・・それはそれで、良いのですけどね、なんとなく一言いいたいといいますか(苦笑)
庶民のひがみですかね(笑)
 

終盤、何もかも知っていた父と母、母はそれとわかっていて二人だけの旅をプレゼントする、一人帰ってきた少年に父は人生の先輩として心に深く刻まれるアドバイスをする、それは観客へのメッセージでもあるのだろうが・・・

うーーむ、これって父の経験なのか、後悔なのか?
父は申し分ない教養ある人格者だけれど、選ばなかったものへの思いを残している、そして母もそれが何かをわかっている、そんな気がした。
そして青年からの電話で彼の選んだ人生を知る、それは多分父と同じ。
そしてまた少年の選ぶ人生も同じなのかもしれない。
 

ルカ・グァダニーニの映画というよりジェームズ・アイヴォリーの思いが勝っている映画だと思うが、映像・音楽はグァダニーニのものでとても美しい。

青年と少年のギリシャ的同性愛、それはお互いに相手に自己を投影している、だから同性でなければならない。
あなたは私、私はあなた。
そしてこの映画のタイトルへ。

                 公開時Yahoo!映画に投稿した記事を再掲載

 

 

この映画ではまだ少年で恋に一途なエリオ(ティモシー・シャラメ)より、もう十分大人で現実の人生の選択を迫られていたオリヴァーの切ない気持に感情移入してしまう。

配信で再鑑賞したが、映画館観賞した時よりも細部の仕組みが・・・・例えば音楽とか、ちょっとした表情、眼差し、言語(英語、イタリア語、フランス語など状況に応じて巧みに使い分けている)、そしてイタリアの自然や街並みが美しい。

再鑑賞してよかったという一作です。

 

ガールフレンドはイタリア人、もちろん会話はイタリア語。

大胆な水着姿も美しい。

 


二人で自転車で走る、北イタリアの空気感、街角のカフェテラス、おしゃれ!