「カーネーション」(再放送)第2回~第1週「あこがれ」 | 日々のダダ漏れ

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日々想ったこと、感じたこと。日々、見たもの、聞いたもの、食べたものetc 日々のいろんな気持ちや体験を、ありあまる好奇心の赴くままに、自由に、ゆる~く、感じたままに、好き勝手に書いていこうかと思っています♪

「カーネーション」 
第2回~第1週 「あこがれ」
 

 

善作) おい、糸子!

糸子) はい?

善作) ちょっと来てみい。

糸子) はあ。

善作) どや、この紬。ええやろ?

 ごつい上物やで。

糸子) うん。

善作) ほんで、この綸子(りんず)が

 またええんやど。ええなあ、この艶。

 綸子は、絹やろ。絹はこの、艶が

 肝心なんや。お前聞いてんか?

糸子) へ? へえ、聞いてます。

善作) こんな綸子はな、

 岸和田中探したって…。

 

うちにはまだ、

着物の事はよう分かりません。

 

善作) 聞いてんかちゅうねん。

 

**********

 

<小学校・教室>

教師) それでは、小原さんから

 発表してください。

糸子) 「私の名前は、小原糸子です。

 糸子という名前は、お母さん方の、

 おじいちゃんが付けてくれました。

 意味は、一生、糸で食べていける

 ように、という事やそうです」。

教師) なるほど。

 糸で、食べていけるように。

 つまりそれはどういう事ですか?

糸子) は?

教師) 糸で食べていくというのは?

糸子) 分かりません。

教師) しゃあないですね。

 先生が考えてみましょう。

 大阪は、糸にまつわる産業が盛んな

 町です。大津、貝塚、佐野。岸和田

 にも、綿の工場がたくさんありますし、

 小原さんのおうちも、呉服屋さんで

 すね?

糸子) はい、そうです。

教師) つまり、将来、あんたもうちの

 呉服屋をもり立てなはれ。立派な婿

 さんもろうて、よう仕えなはれ。おじ

 いさんが、小原さんに願っているの

 は、そんな事やないでしょうか。

糸子) はあ。

教師) 婿さんによう努めてもらうため

 には、小原さんも、ええお嫁さんに

 なれんとあきませんよ。

 どうかしましたか?

糸子) うちはお嫁さんにはなりません。

教師) はあ? では、何になるんですか?

糸子) はい。うちは大工になります!

教師) はあ!?

糸子) だんじりで、大工方をやりたい

 さかい、大工になります。

(笑い声)

勘助) 女のくせに何言うてんねん!

教師) 小原さん、

 ふざけるのも大概にしなさい。

糸子) ふざけてません!

教師) 修身の授業で

 習いませんでしたか?

 「女は常に、男の一歩あとを歩き、

 男を引き立てる」。

 それが女の役割です。

 男と同じ仕事をしようやなんて、

 考えてはあかんのです。

糸子) 何でですか?

教師) はあ?

糸子) 何で男と同じ仕事をしたら

 あかんのですか?

平吉) あかんもんはあかんのじゃ!

教師) 佐藤君!

 あかんものはあかんのです。

 理由なんかありません。

 そんなもんやと決まっとるんです。

 はい、では次。澤田君。

澤田) はい。

(糸子を横目で見て、意地の

 悪い笑みを浮かべる奈津)

糸子) 何?

奈津) 何にも。

教師) はい、では次、吉田さん。

奈津) はい。

 「私の名前は、吉田奈津です。

 うちの家は、吉田屋という、大きな

 料理屋をやっていて、女将の名前

 に代々「津」の字が付いています。

 そやさかい、うちのお父さんが、

 うちも立派な女将になれるように、

 「奈津」と付けたそうです。うちは

 お母さんみたいな立派な女将に

 なって、婿さんを一流の料理屋の

 主人に、してさしあげたいと思い

 ます」。

 

**********

 

<小原家・店>

女性客) ほんますんませんでしたな。

 ようさん広げさせてしもて。

善作) いえいえいえ。

 お眼鏡にかないませんでな。

女性客) また寄らせてもらうよって、

 ええのあったら入れといてな。

善作) また、お待ちしとります。

ハル) 着物が売れへんかったら、

 足袋の一つでも買わしゃええのに。

善作) (ため息)

ハル) 昼から、吉田屋へ集金に

 行っておいでや。

善作) ああ?

ハル) 集金や。

善作) そんな事、分かっとるわい。

 分かっとんのじゃ!

(出て行く善作)

ハル) フフッ。

 格好ばっかりつけくさって。

 売るんも下手なら集金も下手。あない

 商売に向かん男、何で呉服屋なんか

 やってんやろ?

 

**********

 

<小学校・校庭>

職員) あんた、何でこの天気に、

 傘なんか差すのん?

奈津) はあ。うちはお父ちゃんに日焼け

 せんよう、厳しいに言われてますねん。

職員) 日焼け?

奈津) 「色の白いは七難隠す」。

 吉田屋の女将はべっぴんやないと

 あかんさかいなあ。

糸子) 待て~! 待て~!

職員) ちょっとちょっとちょっと…。

(逃げる勘助たちを追いかける糸子)

糸子) もっかい言うてみい!

勘助) な…何回でも言うちゃらあ!

 女のくせに威張んな! 女は男の言う

 こと聞いちゃあったらええんじゃ!

糸子) くっそ~待て~!

職員) ちょっとちょっと待ちなさい。

(職員の後ろに隠れる勘助)

糸子) うらあ~!

職員) あ~っ!

(誤って職員を倒してしまう糸子)

糸子) 堪忍、おっちゃん。

 堪忍おっちゃん! 堪忍!

 

**********

 

千代) すんませんでした!

教師) 小原さんはいささか元気が

 よすぎます。もっと女子生徒らしい

 振る舞いを。おうちの方でもきちん

 と教育なさって下さい。

千代) はあ~。ほんまにすんません!

教師) ほんなまあ、

 今日のところはこれで。

千代) ほんまに、あの…

 お大事になさって下さい。

 すんませんでした。

(帰っていく教師と職員に

 頭を下げる千代とハル)

(千代を見るハル)

千代) すんません。

 

**********

 

(おもちゃで遊んでいる糸子)

千代) はらっ? まあ糸子!

糸子) へ?

千代) あんた分かってんのん?

糸子) はあ、分かってます。

千代) お父ちゃんが帰ってきたら、

 覚悟しときや。

糸子) ええ? 言うん? お父ちゃんに。

千代) そらそうです。

 ようおきゅう据えてもらいます。

糸子) 堪忍、お母ちゃん、

 それだけは堪忍してえな。

千代) あきません。観念しなさい!

ハル) 善作には黙っとき。

千代) は? けど…。

ハル) どうせ今日も、集金できんと、

 鬼みたいな顔して帰ってきよるで。

 そんな時こんな話聞かしてみ。

 火に油や。家燃えてしまうわ。

糸子) そやな。そやな、おばあちゃん。

 お父ちゃん商売で苦労してんやもんな。

 うちの事なんかで、機嫌悪さしたら、

 気の毒やな?

ハル) そうやそうや。

糸子) はあ~ひと安心や。

 ほな遊んできま~す!

千代) 糸子! こら、糸子!

 

**********

 

おばあちゃが言うには、

このごろは不景気で、

着物がちょっとも売れません。

その上お父ちゃんは、集金が

大の苦手なんやそうです。

そんな時は、

うちに出番が回ってきます。

 

(河原で男の子たちと遊ぶ糸子)

糸子) もっかい走るで~!

勘助) え~もうしんどいよ。

糸子) もっかいや、行け~!

男の子たち) ソーリャ! 

 ソーリャ! ソーリャ!

千代) 糸子~! 糸子!

 

**********

 

<小原家>

善作) ほんまに、

 人を、アホにしくさって。

 そない上等な料理屋やったらな、

 着物の金ぐらいさっさと、払わん

 かいね! ええか? 金もろたらな、

 ここにきちっと、入れんやで。

糸子) はい、分かってます。

善作) うん。ほれ、つけちゃれ。

千代) へえ。

ハル) あんた、また糸子に

 集金に行かすんけ?

 やめときよ、こんな子どもに。

しゃあないやろ!

向こうが払わへんのやさかい!

千代) うちが行きましょか?

善作) アホか。わしが行って、払わん

 もんをお前が行って払うか? こうい

 う時はな、子どもに行かすのが一番

 効くんじゃ。どんながめつい客でも、

 こんな子どもを手ぶらで帰すのは、

 忍びないちゅうて、払いよるもんなん

 じゃ、なあ、糸よ。

糸子) 任しといて!うちが集金に行って、

 手ぶらで帰った事なんかないさかい。

善作) うわ~頼もしい! ほんでな、

 客は、吉田屋ちゅう料理屋や。

糸子) 吉田屋?

善作) 分かるか?

糸子) 吉田奈津や。同級生のうちや!

善作) ほんまけ!? せやけど、

 あっこの親父は手ごわいど。

 にったらにったら笑うてな、

 うまい事かわしよんねん。

 お前よっぽど、ここ、使うていけよ。

糸子) うん、分かった。

 うち、やってみるわ。

善作) うん。

 

**********

 

<吉田屋・座敷>

(♪三味線)

志津) はい、腰決めて。

(踊りの稽古をしている奈津)

志津) トントン! トントン! 

 間が悪いよ。(♪三味線)

 お扇子きれいに!

奈津) おおきに。

志津) はい、お疲れさん。

 あ、犬の散歩、行っときや。

奈津) はい。

 

**********

 

(玄関で犬に首輪をつける奈津)

糸子) こんにちは~。

奈津) は~い。ちょっと待ってな~。

 どちらさん? 何やあんた?

 何しに来たん?

糸子) 集金や。

奈津) 集金?

糸子) お父ちゃんいてるか?

奈津) 何であんたなんかが集金に

 来んねん、子どものくせに。

糸子) ええさかい、

 あんたのお父ちゃん呼んで。

奈津) そんな事やったらお勝手へ

 回り。ここは玄関や。

 

**********

 

(勝手口から土間に入る糸子)

奈津) また明日来。

糸子) はあ? お父ちゃんは?

奈津) お父ちゃんがそう言うてん

 ねん。今日はお金無いて。

糸子) 明日なんかあかん。

 今日払てもらわな!

奈津) 知らんて。はよ帰りて!

糸子) ちょっとおっちゃん! うちは

 子どもの使いとちゃうねんで!

 おっちゃ~ん! おっちゃ~ん!

奈津) 何言うてんねん。

 子供の使いやんか!

糸子) おっちゃん、おっちゃん! わっ!

(糸子を突き飛ばす奈津)

奈津) はあ~うっさいうっさい。

(尻もちをつき、閉められた

 戸を見つめる糸子)

 

うちは手ぶらで帰った事がありません。

 

**********
 

ちび糸子が可愛い。そして、ちび奈津の

いけずな感じがたまらなくいい。子役を

見つけてくるの上手いなあ。時代がしっ

り描かれていて、世界観に引きこまれる。

 

女は常に、男の一歩あとを歩き、
男を引き立てる。

それが女の役割です。
男と同じ仕事をしようやなんて、
考えてはあかんのです。

 

あかんものはあかんのです。
理由なんかありません。

そんなもんやと決まっとるんです。

 

いや~理不尽な世界だったなあ。でも、

今だってそういう世界がない訳じゃない。

頑張ってきたと思うよ、女性達はホント。

 


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