「カーネーション」(再放送)第120回~第21週「鮮やかな態度」 | 日々のダダ漏れ

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「カーネーション」 
第120回~第21週 「鮮やかな態度」

 

 

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「日々のダダ漏れ」

 

 

<夜・小原家居間>

優子) 勝手を言うようなんですけど。

 うちを独立させて下さい。

糸子) どうゆうこっちゃ?

優子) 心斎橋で、

 自分の店を、始めたいんです。

 お母ちゃんも聞いたと思うけど、

 おっちゃんが持ってる、店舗物件です。

 こないだ、実際に見してもらいました。

 ほんまにええとこで。ここやったら絶対

 成功させられるて、思いました。

糸子) 資金どないするん?

優子) それも、おっちゃんに融資して

 もらうちゅう事で、算段がつきました。

北村) あのな、優子がよ、

 デザイナーとして成長してくれたら、

 わいもほら、将来、ライセンス契約

 してプレタができるかもしれん。その

 可能性を見込んだっちゅうこっちゃ。

 情に流された訳ちゃうど。こらあくま

 でわいが商売人として受けた話や

 さかい。

優子) 勝手を言うてるんは、分かってます。

 けど、この店は、まだまだお母ちゃんかて

 現役やし、聡子もいてる。逆にうちがいて

 る事で、お互いやりにくいとこも出てくると

 思うんやし。昌ちゃんや恵さんに、気ぃ遣

 わすうようになるかもしれへんし。

糸子) せやからうちは…。

 もうあんたに看板譲るつもりで、

 準備しちゃあったのに。

 昌ちゃんと恵さんには、こないだ話して

 了解してもうたよって。あんたらには、

 大みそかに直子が帰ってきて、

 みんなが集まってから、ちゃんと

 話そう思ちゃったのに。

 よう台なしにしてくれたな。

北村) わいのせいか?

優子) ごめんなさい、お母ちゃん。

 おっちゃんは悪ない。

 うちが、言いだした事です。

恵) いや、けどな、優ちゃん。

優子) はい。

恵) 先生は、もう優ちゃんに看板を

 譲るつもりで、いてるんやで。

優子) はい。

恵) 「優ちゃんにこの店任せて、自分は、

 それを、手伝うつもりでいる」て、うちら

 にも、そう言うたんやで。

優子) はい。

昌子) ほんでもその心斎橋の店、

 やりたいっちゅうんか?

優子) はい。正直に言わしてもらいます。

 東京で店一軒流行らせられるだけの

 力つけて帰ってきました。そしたらその

 うちはもう、岸和田のこの店には、よう

 おらんのです。うちがやりたい事はここ

 におったかて、半分もでけへんちゅう事

 はよう分かってる。毎日その悔しさを我

 慢して、ここにおったかて、それは生き

 ながら死んでるようなもんや!

 そんなんやっぱり…。

糸子) 分かった! 分かった。

優子) (涙)

糸子) もう分かった。ふん!

 好きにしいや。

(出て行く糸子) 

優子) お、お母ちゃん!

 

**********

 

<2階>

(里恵の面倒を見ている千代)

優子) おおきに、おばあちゃん。

千代) 終わったんか?

優子) うん。

千代) 案外静かやったなあ。

 またどんなけ荒れるやろ思てたけど。

(泣き出す優子)

千代) どないした? あれあれ。

 

**********

 

<安岡家>

糸子) 物件に負けたあ。

(玉枝の肩にもたれ泣く糸子)

玉枝) まあまあ。うんうん。

糸子) うちの看板は、北村の物件に負け

 たんや。命より大事な看板を譲っちゃる

 ちゅうてんのにやな、優子のアホは、

 「そんなもんいらん。北村の物件のが

 ええ」て言いよったんや!(泣)

八重子) せやけどな、優ちゃんも、

 そんなつもりとちゃうと思うで。

玉枝) せや、せや。

糸子) 何が心斎橋や! 何が物件や!

 北村のボケ! 優子のアホ!(泣)

玉枝) よしよし、な! な!

 

**********

 

<朝・小原家表>

(看板を見つめている糸子)

 

寂しい。

むなしい。

昌ちゃんと恵さんにかて、

あない格好つけたのに、不細工な。

 

(ガラス越しに優子をにらむ糸子)

(糸子の視線に気づく優子)

(顎で合図をする糸子)

 

**********

 

<井戸端>

糸子) あんたもう帰り。

優子) え?

糸子) あんたの顔見ちゃあったら、

 ほんま気ぃ悪い。仕事の邪魔や。

 その、心斎橋の物件、

 もう押さえてしもてんやろ?

優子) はい。

糸子) ほな、とっとと先進め。

 いつからその店やる気か知らんけどな、

 準備ちゅうんは、片手間にでける

 もんちゃうんや。やるんやったら、

 そっち集中し。うっとこはな、

 あんたなんかおらんかて、

 どないでもなるんやさかいな!

優子) はい。おおきに、お母ちゃん。

(頭を下げる優子)

 

**********

 

(角を曲がり、足を止める糸子)

 

よっしゃ。

不細工なりに、

どないかけじめつけられたで。

 

(空を見上げる糸子)

 

娘の独立、見届けたで。

お父ちゃん。

ちゅうて思ちゃったのに。

 

**********

 

優子) なあ、お母ちゃん。

 

まあこの娘の独立の中途半端な事。

 

糸子) 知らん!

 自分でせんかいな、ほんな事。

優子) せやかてほんまに柄悪いねんで。

 

**********

 

<優子の店>

職人) いや、そらでけん!

糸子) でけんでは困りますねん。

 こんな汚いダクトむき出しでは商売ならん。

職人) でけん事はでけん言うとんじゃ!

糸子) はあ? でけんちゃうやろ!?

 一旦引き受けた仕事やったらな、最後まで 

 きっちりやらんかいな! こっちはこの先

 この店で飯食うていくんですわ! 

 やってもらわなかいませんねや!

職人) おい! 変更や変更。

 このダクト、はめ込む。

職人) はあ。

優子) おおきにお母ちゃん。助かったわ。

糸子) あんたもな。

優子) え?

糸子) こんぐらい自分で言えるように

 ならな、女店主なんか務まらんで。

優子) うんうん。

糸子) ほな帰るよって。

 ほな、またちょくちょく顔出しますよって。

 どうぞよろしゅう。

 

**********

 

<小原家・表>

糸子) ああ、ほんま、

 まっだまだ頼んないわ。

 ああ~。

 

まあ、ほんでも、

ちょっとほっとしてるんもほんまでした。

 

(店で接客をしている聡子)

糸子) いらっしゃい。

聡子) お帰りなさい。

糸子) ただいま。

 

次のんに譲れるようになるまでは、

まだもうちょっと時間があるやろ。

 

(聡子を見る糸子)

 

ありがたいことに、

まだそれまで、

この看板はうちのもんです。

 

**********

 

昭和40年(1965) 元旦

 

保男) よっしゃ! ほな行くで~!

 せ~の! チーズ!

一同) チーズ!

(家の前で小原家一同の写真を撮る保男)

 

**********

 

<居間>

悟) じゃあ、僕はそろそろ。

千代) えっ、もう?

悟) はい、このあと、

 会社の連中とちょっとありまして。

千代) はあ~ほうですか。

糸子) わざわざおおきにな。

悟) いえいえ。じゃ、失礼します。

千代) すんません。

(見送る糸子と千代)

(テレビを見ている聡子)

(互いに顔を合わせず、

 みかんを食べる優子と直子)

優子) あんたどうなん? あれから店。

直子) 関係ないやろ。

優子) 売り上げ悪いんけ?

直子) いや、関係ないやろ。

優子) まあほんでもあんた、

 名前だけは売れてるやさかい、

 どないか頑張ってやっていきや。

 そのうち理解してくれる人かて、

 もっと増えていくやろしな。

直子) どうでもええ。

 うち店辞めるんや。年明けに。

優子) はあ?

直子) 辞めてパリ行ったんねん。

聡子) パリ?

直子) 去年の暮れに

 源太も行ってまいよった。

 うちも今のパリを見ときたいしな。

優子) 何? あんたまた、

 何訳分からへん事言うてるんや!

 あんたあんなけ、

 うちに自分の力だけで店やりたいやら、

 たんか切っといて、そのざまけ? 

 何がパリや! 

 どんだけ中途半端なんや?

直子) 姉ちゃんこそこの店継ぐ

 ちゅうちゃあったちゃうんか?

 何をほったらかして自分の店

 やるとか言うてんよ?

 しかもあの…あの物件。何や!

(直子にみかんをぶつける優子)

直子) しかもあの物件な、うちが初め

 に持ってきちゃあった話ちゃうんか。

優子) うっさい!

 あんたに関係ないやろ!

直子) こっちのセリフじゃ!

優子) 何やと?

(みかんの皮を投げ合う2人)

優子) 痛いな! 何すんねん?

直子) 何やねんこら!

 

**********

 

糸子) そろそろまた静子らが、

 チビ連れてくんで。

千代) ほやなあ。

糸子) うん。

千代) 準備しとこうか。

糸子) うん。はいはい。

(優子の泣き声)

糸子) 何?

(仏頂面で2階へ行く直子)

千代) え? 直ちゃん?

(泣いている優子)

糸子) あ~あ、あんたら年なんぼや?

聡子) うちが21やさかい、

 お姉ちゃんは28。

優子) まだ27!

糸子) ええ年して。

 そろいもそろって、アホ娘が!

 こらアホ娘!

 テレビ見とらんで片付けんかい!

 

**********
 

優子に独立宣言を先にされてしまい、看板を

譲るつもりが、いらないと言われてしまう糸子。

まあね、岸和田だけにおさまるには、才能が

ありすぎたよね、娘たちは。優子の立場なら、

私でもやっぱりいらないと言ってしまうかもw

 

それに、看板を譲るにしては、糸子自身も元

気がありすぎる。現役バリバリだし、このまま

自分の店を続けていけばいいじゃんって感じ。

 

代替わりを失敗するのもなんだか糸子らしい。

上の娘たちは相変わらずケンカばかりだし…。

糸子も小原家も相変わらずなのでありました。

 

 

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