「ブギウギ」 第55回
第11週「ワテより十も下や」
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<屋台>
スズ子) はあ・・・。
(回想)
愛助) 年の差なんか関係あらへん。
僕は、福来さんのことが好きです!
スズ子) ちょ・・・ちょっと・・・
考えさせて。
伝蔵) 何だよ。どうしたんだよ?
スズ子) 胸が・・・ちょ~っと、
苦しいねんなあ・・・。
伝蔵) だったらとっとと
病院行きやがれ。
スズ子) はあ・・・。
**********
昭和18年(1943) 10月
スズ子が愛助のことで悩んでいる
このころ、戦況は更に厳しくなり、
政府は、これまで猶予されていた、
20歳以上の文科系学生の徴兵に
踏み切りました。
いわゆる、学徒出陣です。
チズ) とうとう学生さんが行く
時が来ちゃったねえ。
小夜) 大変だ。
チズ) スズちゃんのいい人も、
兵隊に取られちゃうよ。
スズ子) まだええ人ちゃいます。
チズ) たくさん勉強したい
だろうにねえ。
(新聞記事を見るスズ子)
(戦闘服姿の出陣学徒の笑顔)
**********
(部屋で新聞を広げ、
同じ写真を見ている愛助)
**********
<事務所>
五木) スズ子ちゃん。
スズ子) はい。
五木) ちょっといい?
スズ子) はい。
(外に出る2人)
**********
スズ子) 何でっか?
五木) どうなのよ、その後。
スズ子) 何がでっか?
五木) 何がじゃないよ! 村山の
ボンボンに決まってんじゃないの!
別れた?
スズ子) ・・・・・・。
五木) ちょっとちょっと、まだ話
つけてないの? 早くしてよ。
(ドアの開く音)
スズ子) 小夜ちゃん、あっち行って!
小夜) チェッ!
聞かせてくれてもいいべ。
(ドアを閉める音)
五木) いやさ~あいつのおふくろ
さんのことが心配でさ。
スズ子) おふくろさん?
五木) 村山トミ、村山興業の社長。
えらく怖いっていうじゃない。もし
怒らせちゃったらさ、何されるか
分かったもんじゃないでしょ?
スズ子) 何かされるんでっか?
五木) そりゃ地方の興行主とかに
声かけて、うちの楽団を使わない
ようにするとかさ。ああいう人は、
何でもできるのよ。楽団の経営も
苦しいしさ、ここは、波風立てるの
はなるべくさ。頼みますよ。
(一点を見つめたスズ子)
五木) まさかお前さん、本気で
あのボンクラにいかれちゃった
わけじゃないよね?
スズ子) 別・・・別に・・・。
五木) ちょっとちょっと!
向こうは十も下よ。そのうちすぐ
に好きな女もできちまうって。
**********
<人気のない路地>
スズ子) ♪「アイレ可愛や 村娘
アイレ可愛いや 村娘。す・・・」。
はあ~調子出えへんわ。
小夜) 五木さんに何言われたんだ?
スズ子) 小夜ちゃんに話しても
どうにもならへんわ。
小夜) んなことねえべよ! 話したら、
少しはすっきりすっこともあっぺさ!
**********
<屋台>
スズ子) 初めはな、何や、六郎みたい
に、ボ~ッとした子やな思うて、かわ
いいんはかわいいけど、弟みたいに
思うてたんや。
小夜) それがいつしか、
好きになっちまったのけ?
スズ子) あ・・・好き言うかな・・・
結構しっかりした子やねん。
チャップリンみたいに、世界中の
人を笑かしたいいうて、大きな
夢持ってはるし・・・。
小夜) 夢を語る男は信用できねえ!
スズ子) せやけど・・・。
小夜) だけど、何だ?
スズ子) 今朝、チズさんらと、
学徒出陣の新聞読んだやろ?
小夜) 読んだ。
スズ子) ワテ、その時な、こう、
胸が、キュ~ッと、痛なってん。
小夜) 何でだ?
スズ子) あんなキラキラした目で、
夢を語ってはった村山さんも、
戦地に行く、思うたらな・・・。もう
苦しゅうて、苦しゅうてな・・・。
小夜) スズ子さん・・・。
スズ子) うん?
小夜) 本気でほれたのけ?
あの男に。
スズ子) よう、分からんねん。
ただ、ワ・・・ワテな、男の人から、
好き言われたん、初めてやねん。
小夜) 好きって言わっちゃっのけ!?
スズ子) そやねん。
小夜) 初めてか!
スズ子) そうや。
何やあんた、あるんかいな?
小夜) 何回もあっぺ!
だけど大抵男は、その場だけだった。
いっつもだまされた!
やっぱスズ子さん、気ぃ付けろ!
スズ子) あの人・・・
ものすごい真剣な目やってん。
小夜) いいや! 男はああいう時に
演技ができんだ! なあ?
伝蔵) 知るか! さっきから聞いてり
ゃ浮ついた話ばっかりしやがって!
こっちはな、明日の店も出せるか
どうかってんだよ! 食いもんもなか
なか手に入んねえし、戦争のせい
だなんて言やあ、非国民呼ばわり
だしよ!
スズ子) ホンマ、みんな大変なご時世
やし・・・ワテも、そんな時に、何してん
ねんとは、思うねんけどな・・・。
小夜) ほれちまったのか・・・。
スズ子) せやけど、九つも下やろ。
自分でもみっともない思うわ。
伝蔵) 何だお前。
年のことなんか気にすんのか。
スズ子) そら、九つも離れとったら
気にしますがな。
伝蔵) ふん! 変な歌歌ってるくせに、
つまんねえこと気にしやがってよ。
小夜) おっちゃん、
恋の話は嫌いなんじゃねえのか?
伝蔵) うるせえ! 大事なのはな、
おめえの気持ちだろう。
あの野郎は悪いやつじゃねえぜ。
なかなかいい目してやがった。
若え時の俺とそっくりだ。
(神妙な顔で大根を食べるスズ子)
**********
<深夜>
(ぐっすり眠っている小夜)
(月明かりの窓辺に座る、
寝巻き姿のスズ子)
(回想)
愛助) 僕は、福来さんの
ことが好きです!
**********
<昼>
(愛助の下宿に向かうスズ子)
(部屋の前に立ち、呼吸を整える)
**********
坂口) ボンは読みはったかいな?
この記事。お国のために、学生までも
が、軍隊行く言うてんのに、ボンが、色
恋に浮かれてる場合やありまへんで。
同級生で、徴兵行っとるやつ、ぎょう
さんおりまっしゃろ。そいつらに顔向け
できまへんがな。
愛助) それは、自分でも
不甲斐ない思うてる。
坂口) こまい頃から、体も弱いさかい、
そら、しゃあないでっけどな、せやから
こそ、村山の、後継ぎとして、自覚を
持ってもらわなあきまへん。うちもこの
大変な時期に、あらゆる戦地に、芸人
を派遣してまんねんで。せやのに、ボ
ンは何してまんねん言われますがな。
ゆくゆくのために、しっかり、学業に専
念てもらわんと、困りますがな。
愛助) もちろん、そうしてるつもりでは
あるんやけど・・・。
坂口) せやったらあんな歌手と、フラ
フラ遊んでる場合、ちゃいまっせ!
愛助) 遊んでるわけちゃう!
僕は、真剣に・・・。
坂口) たぶらかされてるだけや!
ボンは、まだまだ世間知らずや。
向こうは、手だれの歌手だっせ。
すぐに捨てられてまいますわ。
愛助) 福来さんはそんな人やない!
あの人は、ちゃんとした人や!
僕は、あの人の育った風呂屋にも
行ったけど、みんなに好かれてる。
正直でええ人や。
坂口) ボンには、申し訳ないでっけ
どな、ワシは、ええかげんな人や思
いますわ。ボンのこと考えたら、今
みたいなつきあい方、でけへんは
ずや! そもそも、後継ぎと、歌手
の結婚なんて、ありえまへんわ!
愛助) 結婚て、まだそんな・・・。
坂口) それが、ええかげん
言いますねや! はっきり言います。
ボンも、あの女も、
一時の気の迷いや。ままごとや!
**********
スズ子) 腹立つわあ・・・。
**********
愛助) ま・・・ままごと言うたら、僕は、
女性とつきおうたこともないから、
そうかもしれへんけど・・・。
坂口) かもやない! 絶対や!
あの女は野心家や。もしかしたら、
ボンのことも、利用してるかもしれ
まへんで。
愛助) そんなこと・・・。
坂口) あります!
女は、怖いんでっせ。
(部屋に入るスズ子)
スズ子) 何やさっきから聞いとったら!
ええかげんにしなはれ!
愛助) 福来さん!?
(坂口と睨み合う、鼻息の荒いスズ子)
**********
みんなが大変なご時世に、恋に浮かれて
いる場合じゃないと考えるか・・・こんなご
時世だからこそ、恋に生きようと考えるか。
誰にとっても、一度きりの人生だからね~。
坂口の言い分は、スズ子を知らない側か
ら見たら、最初に考えることだよね。愛助
側にいたら、たぶらかされてるだけだと言
ってしまうかも。まあ、それが世間の忌憚
のない意見だとは思う。自分の息子が大
学生で9つ上の女性とつきあいたいと言
いだしたら、やっぱり心配になると思うし。
でもまあ、戦争が激しくなったら、もう好き
なようにしていいよとも思うかもしれない。
本人同士が後悔しないならね、本人同士
が幸せなら、それでもういいじゃないかと。
とはいえ、時代は昭和。戦時下の日本で、
スズ子と愛助の恋は歓迎されないだろう
ことは想像に難くない。頑張れ、スズ子!
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