11月8日公開でしたか。ノーチェックでしたが夕刊の映画評で気になってました。観ようか観まいか迷っていましたが、まあ観ておこうかと。ホーム映画館TOHOでは扱っていなくて、大阪ステーションシティシネマで。当館では最終週でした。なに系列なんですかね。
フランス映画です。例によってネタバレ含みます。
世界で、人間の体が徐々に動物化していくという奇病が蔓延している。フランスはその”新生物”と人間を隔離する政策をとり、ノルウェーは共生を図るなど、国家ごとにその対応もまだ分かれている段階。
動物化が進むと人間は徐々に言葉が発せなくなり、意思の疎通ができなくなる。主人公フランソワの妻ラナも症状が進行し、息子エミールを襲ったことがきっかけで施設に収容されている。この度、南仏に新設された施設に移送が決まりフランソワ父子も職場・学校を南仏に移すべく引っ越すが、”新生物”たちを移送した車両が台風で川に転落、妻も行方不明になってしまう。やがて息子エミールにも症状が現れ…
とまあ、パンデミックもの・寓話としても見られるし、人類と進化した人類の軋轢ものとして見ることもできる。かな?「X-MEN」のミュータントたちも発現した当初はこんな扱いだったかもしれない。
メイク・CGによる半獣半人状態の”新生物”たちの描写は多様で興味深い。オオワシ、蛸(動物か?w)、カメレオン、猿、オットセイ、オオカミ、蛇…
オオワシになりかかったフィクスが何度もチャレンジし、遂には飛ぶのに成功するシーンは(ちょっと)感動的。
食べ物、食べ方を含めてなりかけは一番キツイなぁ。蛇とかどうすんだよ。全員、急に生の生き物丸のみとかしだすんだからな。内臓や免疫はついていけるのかな。
多様な”新生物”たちがうごめく森の中はなんだか神々しくもあったけれど、その生物たちで弱肉強食というか捕食したりされたりも出てくるのだろうかね。
ラナは一体何の動物だったんだろうか。そしてナナフシみたいな”新生物”が街と森で出てきたけどあれはなに?あれはちょっと怖い…
妻の時はきっとなすすべなく施設に入れられてしまったフランソワ、愛する息子はそうさせじと抗うわけですがそれがエミールにとっても幸せな生涯なのだろうか…。エミールの獣化はオオカミということもあり、なんか『山月記』を彷彿とさせたな。
エミールに病変が出てきたことを知っていながら村の祭りの日に体を許したADHDの子はそれをきっかけに自分も発症するとかは懸念してないのかな。エミールと接触しなくても発症する可能性があると割り切っていたのかな。というか何感染なんだろう、この病気は。
コロナ禍にポピュリズム、右傾化(それに伴う分断)といった現象を体験している我々としては現実の半歩先、くらいの世界かもしれない。
8.0/10 大阪ステーションシティシネマにて。