週末の過ごし方
美術館の新機軸と
アートが彩る街づくり
【センスの因数分解】
2024.12.24
“智に働けば角が立つ”と漱石先生は言うけれど、智や知がなければこの世は空虚。いま知っておきたいアレコレをちょっと知的に因数分解。
東京駅八重洲口からほど近くにある『アーティゾン美術館』は、2020年に開館しました。初訪より、控えめながら確かに存在する来場者への配慮を感じていました。動線のスムーズさ、移動過程で目に入る風景の切り取られ方からロッカーの使いやすさまで、些細(ささい)なことでも「ストレスの種」をなくしたいという意図があるように思うのです。
「当館の前身であるブリヂストン美術館の創設者、石橋正二郎は、ニューヨークのMoMAから都市型美術館のあるべき姿のヒントを得て、1952年にブリヂストンビル内に美術館を開館しました。2015年に建て替えのため休館し、館名変更を経て、新美術館が誕生しましたが、そこには最適な環境づくりを目指す姿勢がありました」と、広報課の松浦 彩さんは言います。
たとえば日本の美術館業界では画期的と言える館内のクリエイティブ・ディレクターのポスト。ミュージアムショップのグッズも内部でディレクションし、アーティゾン美術館のイメージにふさわしいものづくりを実現しています。展示室で使用するLEDは照明のプロであるヤマギワと共同開発。より良いアート体験のため、ハードとソフト双方にわたって考えを巡らしているのです。
そんな都市型美術館のアーティゾン美術館があるミュージアムタワー京橋と、隣のTODA BUILDINGで構成された新しい街区が11月にグランドオープンします。これで東京駅八重洲口と、三菱一号館美術館や東京ステーションギャラリーなどがある丸の内口、駅の東西にてアートと文化施設が充実しました。今後が楽しみではないですか?
アーティゾン美術館
東京都中央区京橋1-7-2
月曜ほか、休館
詳細は同館公式サイトへ