ロケーションを多用した番組作り、ひかるにとって、それ自体は朝飯前の仕事だ。並行して、大きな壁が目の前に立ちはだかったのである。それは、VTRの問題だ。当時日本では、アメリカアンペックス社のテープ幅2インチVTRが導入され、独占していた。勿論、ローカル局では買えない代物で、キー局に5、6台納入されていたから、NHKも含め、国内には30台前後が導入されていたであろう。なんといっても、目玉が飛び出る程の値段で、日本のメーカーでは、パテントなどがあって、真似の出来ない。極めつけは、可搬型のVR3000という、旅行トランク大の機種で、アンペックス社とNASAが軍事偵察機搭載用に開発したという、当時の最先端技術が集約された機械だ。キー局すら持てず、パビックという会社とひかるの八峯テレビしか持っていないため、ドラマロケ...1043VTR