映画「希望の灯り」ネタバレ感想です!
結論から言うと、職場が舞台のドヒューマンドラマであり、静かな雰囲気で悲しい別れもありそれでも人は生きていく系の内容で、個人的に好きな世界観でした。
最後の波音で、「ああこの映画素敵だな」って心底思いました。
でも・・でも・・ブルーノオオオオオオ!!!!!!泣
映画「希望の灯り」のネタバレ感想
※ネタバレご注意ください。
職場が舞台のヒューマンドラマ
過去にいろいろ背負った青年クリスティアンが、再起のためにスーパーで働いたらその職場でとある女性マリオンに一目惚れし、慕ってた上司ブルーノは自殺。それでもスーパーは稼働するし人は生きていかないといけない、ああそれが人生というものよって感じの内容で、面白かったです。
まず職場が舞台ってのが個人的に好きでして。お仕事映画が好きなんですよね〜。マイインターンとかも好きではあるんですが派手すぎるのでもっと淡々と仕事をこなす系の静かな映画が個人的にツボ。
あと死別とか辛い別れってのも結構好き、しんどいけど。
あ、そうそう。
マリオンがとってもセクシーであの笑みもキュート。ザンドラ・ヒュラー・・この女優さんどっかで見たな?と思ったら、落下の解剖学に出てた人でした〜!
希望の灯りではキュートな笑顔が際立ってました。
クリスティアンがピュアすぎるほどマリオンにゾッコンで、この映画の半分以上のウェイトをかけていたのがこの2人の物語でしたよね。
ですが〜 なんとマリオンには夫がいて、そのショックで自暴自棄にいきそうだったのが危なっかしかったけど、クリスティアンがいかに不安定で過去が尾を引いているのかも2人を見ててうかがえました。あと大人の恋愛って感じした。
そんなクリスティアンをずしっと構えてサポートしてたのが上司のブルーノ。
近すぎず離れすぎずクリスティアンを見守る・・まじで父親みたい!
でも、ブルーノにも地獄があったのだと思うと切ない。
クリスティアンの過去
少年時代に刑務所にいて、いっとき悪さしていたのでした。
全身タトゥーを入れていること、そして昔の仲間らしき人たちがスーパーに来た様子を踏まえると、悪さしてた系?と推測できしたが、ブルーノの家で飲んだ時に過去について詳しく話してましたね。
で、再出発しようとしてこのスーパーで働き始めたって感じでしょうかね。
前職をクビになったのも過去が関係しているのかな?と思ったら、マリオンとの会話で「上司を殴った」とのこと。”用無し”と言われてカっときてパンチしてクビにされたそうな。
でもクリスティアンはこのスーパーでは”用無し”ではない、ということが実感できているようで、なんかジーンときちゃった。カチンとくるってことは自分自身に対して用無しかもしれないってことを自覚しているからなんでしょうね。言われたくないからカチンとくるわけで。
マリオンの気持ち
夫がいるけど寂しい気持ちを抱えていた感じでしたねえ。暴力もあったそうで。ブルーノが言ってましたね。
夫からは得られないもの、それをクリスティアンがもってたから惹かれた感じでしょうか。間違いなくクリスティアンのこと好きだった。
でもあるときを境にマリオンはクリスティアンの前から去った。
夫との間に何かあったか、あるいは気持ちが傾いてしまった己を責めたのか不明ですが、ああいう無言の突き放しは一番困りますよね。何か一言くれ、と思います。
そんでクリスティアンまた昔の仲間たちのもとに戻っちゃってねえ。スーパーで売り物ガッシャーン!しちゃうような仲間たちと一緒にいていいわけがない。彼もそれに気づいているのに恋愛って簡単に人を闇落ちさせますよね。不安定なクリスティアンであれば尚更。マリオンの家に行っちゃうほどですし。
(家ん中入っちゃうのはさすがにオイオイオイオイだけど笑)
でもここでもじーんときたのは、一連のことを知ってて理由が分かっているブルーノの心意気。絶対いろいろ察してますよね。ああ・・まじで父ちゃんだ。
ブルーノについて。なぜ自殺した?
クリスティアンにフォーカスされた作品で、彼の不安定っぷりが顕著に出てた映画ですが、一番地獄を見ていたのはブルーノだったというね。
まさかの自殺という。
なぜ自殺したかって、ブルーノとの飲みでチラっと語ってた。昔はトラック運転手で〜とか。統一されて〜とか。それって旧ドイツの分裂してた時代の方が幸せな暮らしが出きてったってことですよね。
で、今はフォークリフト。静かに憂いていた。
人の数だけ地獄はあって、その人にしかわからない地獄があるってまさにこのことだよな〜と思って観てました。
誰からも愛されて職場でも役職ついてて、物事を一歩引いて見てうまいことこなして生きてそうな人でも、中身はどうなっているか側からはわからん。未知数ですもんね。
亡くなったってことは病気かしら、とか思ったら自殺だなんて。とても辛い最後でした。
全く想定していなかったので。何か起こるとするならばそれはクリスティアンかと思ってた。
まあブルーノもそこそこ闇は抱えてそうってのはクリスティアンとの会話で垣間見れたけど、自殺するほどだなんて思わなんだ。
でも、それでもスーパーは稼働するし、人は仕事する、生きていく、この情景がすごくよかったです。
悲しんでいても、毎日は動く。止まらん。その悲しみは消えていく。
でもなかったことにはならない。それはクリスティアンとマリオンを見てて思いました。紐を握った手にジーンときたし、最後の波の音ですよね。
波の音
ブルーノが遺してくれたものです。
ブルーノがマリオンに、フォークリフトを天井まで伸ばして戻すと波音のような音が聞こえると言ったそうで、マリオンがそれをクリスティアンに言ってましたね。
で、実際にやってみると確かに海の波の音が流れ、そしてクリスティアンも気付きました。
で、このシーンで思ったのは、ブルーノはどうしてその音に気づいたのかっていうところに、彼の気持ちが見え隠れしている気がするんです。
普通に仕事をしてたら気づかないですよね。クリスティアンも「どうして気づかなかったんだろう」って言ってたし。
でもブルーノは気づいた。彼が仕事の中でも少しの楽しみを見出したいから気づいたのか、それとも深夜の倉庫で作業してふとその音に気づいたのか、何がきっかけで気づいたかはわからないけど、確実に言えることはクリスティアンのように、流れ作業のようにこなしていなかったってことですよね。
そこだけに囚われていなかったということです。
ちなみのこの波の音、実は一度流れています。マリオンがフォークリフト運転している時にBGMで少し流れていたんですよ。つまりクリスティアンの耳には入ってた、でも自覚していなかった。
ここが重要なポイントと思いました。
そしてその波音を聞いている2人の表情と雰囲気です。決して「そんなことで?w」みたいな態度ではなく、むしろ驚いて「わお〜」ってな雰囲気ですよね。
ブルーノが遺したものと言ったら暗いけど、彼が、この波の音を通してちょびっとだけど幸せは案外近くに転がっているってのを伝えてくれているようでした。
ブルーノは死んでもうこの世にいない。スーパーは彼の死などなかったかのようにいつものように稼働する。残された人は前をむかざるを得ない。悲しみもやがて薄くなっていく。
でも彼がいなかったことにはならない。遺したものは確実にあったのでした。
なんか、ほっこりしちゃいました。
気まずいシーンはある?
あくまで私個人の感覚となりますが、男女の絡み系って意味での気まずいシーンはありませんでした。
感想は以上となります!
ドイツ映画、好きかも!
映画「希望の灯り」の概要と簡単なあらすじ
- 監督:トーマス・ステューバー
- 製作年:2018年
- キャスト:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー ほか
【希望の灯りの短いあらすじ】
スーパーマーケットで働くことになった口数少ないクリスティアン。フォークリフトや在庫管理の仕方などをブルーノから教わる。職場に慣れていき、やがて菓子担当のマリオンと仲良くなって・・・な話。
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それは、ノマドランド!と思う。
↓下記はネタバレ感想ページです。
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