【映画】悪夢の帰郷 ダーク・アンド・ウィケッド ネタバレあり感想

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ダーク・アンド・ウィケッド 見出し
(C)2020, Panther Branch, LLC All Rights Reserved

製作国

アメリカ

監督
ブライアン・ベルティノ
脚本
ブライアン・ベルティノ
出演者
マリン・アイルランド
マイケル・アボット・Jr
ザンダー・バークレイ
ジュリー・オリバー・タッチストーン
リン・アンドリューズ
マイケル・ザグスト

田舎から巣立ち滅多に会わなくなった両親の危機からの帰郷。
よくある事ですがもしそれが帰るべきではなかった状況だったなら?

今回はそんな不穏さと善意が踏み躙られる映画ダーク・アンド・ウィケッド(原題:The Dark And The Wicked)の感想です。

ジャンルはホラーで上映時間は約95分です。

ストーリー構成としては登場人物達に対して意地悪な構成となっている理不尽なホラーですが、演出と雰囲気作りが素晴らしい映画でした。

ちょっとだけあるグロには注意です。

この映画の見どころ

常に付き纏う不気味さと不穏さ

善意や信仰といった人の信じるものが踏み躙られるような展開

あらすじ

両親から離れてそれぞれ暮らすルイーズとマイケルの姉弟は、父の病状が悪化したとの報せを聞き、久方ぶりに生家であるテキサスの人里離れた農場を訪れる。父はそこで母に見守られ、ひっそりと最期を迎えようとしていた。ところが母は「来るなと言ったのに――」と彼らを突き放す。やがて彼らは両親の様子がおかしいことに気づく。そしてその夜、母が首を吊って亡くなった。それは彼らを待ち受ける想像を絶する恐怖の幕開けにすぎなかった。

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登場人物

ルイーズ

マイケルの姉

父の危篤を聞き帰郷した

マイケル

ルイーズの弟

父の危篤を聞き帰郷した

デービッド

ルイーズとマイケルの父

危篤状態

ルイーズとマイケルの母

ルイーズ達の帰郷には反対していた

チャーリー

母の仕事の手伝いをしてくれていた

ストーリー感想

『何か』に翻弄される悪夢の7日間

この映画は月曜日から日曜日までの7日間で構成されています。

その中でルイーズとマイケルの姉弟が遺された父を中心に『何か』に翻弄されていきます。

父の危篤で帰郷する2人ですが、帰った実家はもうとにかく不穏さしかありません。

軋む音、なぜか開く扉など何者かの気配が示唆されています。

月曜日ではまだ生きている母は『何か』の声を聞き2人には来なくていい今すぐ帰れと拒絶しています。

そして月曜日の夜に母が首を吊っているといういきなりショッキングな展開です。

さらにその母の死までの過程も指の切断なとちょっとヒェッとするようなグロ描写があります。

そこまでグログロしい感じではなく、見ていてきつい痛々しい描写ですね。

そして母の日記から示唆される父を狙う悪魔の存在、無神論者のはずの母が大量に所持していた十字架。

母の死後からルイーズとマイケル達に牙を剥く『何か』の気配など雰囲気作りがかなり絶妙ですね。

勝手につく電気から外を見ると死んだはずの母が立っているなど、かなりベタですが演出が上手くかなり気味が悪いです。

そして父の口から出る蜘蛛、これは後半にも出ますが『何か』の存在の正体を示唆しているようにも見えますね。

ストーリー感想(ネタバレあり)

善意や信仰が家族愛が踏み躙られる辛さ

後半からは元々の不穏さに加えてこの展開が続きます。

『何か』が人に化けて懇意にしてくれた知人との連絡を断つなど頭脳的なことまでしてきます。

最初に死んだ母からの電話をかけさせ、
その夜には心配してくれた『何か』ではない純粋に心配してくれた知人の電話を取らせないように人に化けて誘導させるのはなかなか上手い手口でちょっと感心します。

ルイーズとマイケルは不穏な存在を共有し、父を家から出して入院させようとしますが父がもう持たないとされそれも叶わず。

人の最期は愛に満ちてる、ここにいると感じる、愛があれば魂は守ってくれる

そこでのこの会話の最大の善意と家族愛が全て後半へのフラグにされるのは同情を覚えるレベルです

更にこの後農場のヤギが惨殺され、マイケルが生き残った妊娠しているヤギを見守りに、ルイーズが危篤の父を恐怖の中にありながら看病します。

ここも彼らの善意と家族愛が逆手に取られてしまっていますね。

そしてラストの最大の意地悪な展開、これは本当に意地が悪いと思います。

最も大切な自分の家族のために逃げることを選択したマイケルは自宅で死亡した妻子の姿を見て自殺を選びますが、
それは『何か』の罠で実際はただの幻覚だったという家族愛故の最期を迎えることになり。

ルイーズもまた逃げようとしますが瀕死の父を見捨てることが出来ずに息を引き取る瞬間まで側にいます。

そして最期は死んだ父に乗り移った『何か』に襲われて終わるという彼女もまた家族愛故の最期を迎えることになります。


結果として見ると『何か』の存在は最後まではっきりしません。

とりあえず悪魔ということは間違いないのでしょうが、所々でイエスの絵が写ったり看護師の信心深さを見ると、
信仰や善意が悪魔に負けたというちょっと自分も含めて日本だと馴染みが薄い向こうならではのホラー描写のストーリーでした。

母の忠告を見ると人の忠告は身内の危機でもちゃんと聞き入れるべきと言う話でもあったかもしれませんね。

この映画の良いところ

雰囲気は抜群にいいです

ともかく話の中で不穏さの雰囲気を積み上げていくのが上手いです。

ホラーとして雰囲気だけで怖がらせるというのはとても大事だと思っている身としてはこれはかなりいいホラー描写でしたね。

スケアリーホラーのように大きな音や急な登場で驚かすというのはほとんどなく、しっかり構成で怖がらせてくれました。

この映画の残念なところ

ホラーのストーリーとしてはちょっとベタすぎなところですかね

あまり欠点は感じないのですが無理やり捻り出すならこれかなと。

言ってしまえば予定調和通りに破滅に向かってしまったというストーリーですので、
ホラー慣れしているとここは物足りないかもしれません。

まぁ、変に捻るよりはこういうものの方が安定感はあるのでこれでいいと私は思っていますが。

印象的な台詞やシーン

印象的な台詞はこれでした。

“1人で死ぬほど辛いことはない”

大きな善意と家族愛による台詞でしたが、彼らの結末を決めてしまった台詞でもありました。

普通の映画であれば尊い台詞と決断もホラーというジャンルにかかれば、
ほら、この通りと言わんばかりのフラグとなってしまうそんな台詞でした。


印象的なシーンは結構多いのですが、まず1つ目は母の死。

これは母の死そのものよりも、その前にある自分の指を切り刻むという異常性が印象に残ります。

ルイーズとマイケルの恐怖の始まりをしっかり演出してくれていました。

もう1つはマイケルが目撃する死んだ筈の母ですかね。

首を吊られるように浮くその動きは不気味さとシュールさがあり独特な不気味さがありました。

最後は予告などでも使われたヤギの死体達。

これは何というか絶望感が凄かったですね。

もう彼らは逃げ出せないそんな風に思わせてくれるこの映画の象徴的なシーンでした。

まとめ

不穏さと意地の悪さが魅力なダーク・アンド・ウィケッド。

雰囲気で怖がらせてくれる構成なのでとても良質なホラーに仕上がっていたと思います。

きつめではないにしろグロもあるので苦手な方は注意ですが、
耐性ある人なら是非ともこの雰囲気の怖さを感じてみましょう。


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