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ひまわりのさくころに
2009/05/20 12:58
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間が物事を見て感じて「認識」する際、最初の立ち位置が間違っていると視点がズレる。 ミステリーではこの読者の認識を完全に騙してスタートする作品と、話を進めるにしたがって段々と混乱させていく作品とがあり、本作を含め道尾の作品は前者が多いように思われる。
そもそも自分が認識しているこの世界は本当に存在しているのか?彼は本当に「彼」なのか?私は本当にここに存在しているのか?そういう基本的な、最も根本的な認識・・・つまり何を始めるにも必ず必要となるベースの部分、共通の情報、基準点・・・そういうものがずっとあやふやなまま最後まで引っ張られるのである。
今回の『向日葵の~』は特にその傾向が強い。何しろ誰が人間で、誰が「彼(だけ)にとっての○○」であるのか、誰が本当に存在しているのか?それが最大の謎、トリックなのだ。主人公の小学生ミチオの言動に薄々気がつきながらも、私達読者はその実体が解らないまま事件の真相に目を奪われる。
終業式の日に小学校を休んだ同級生S君の家にプリントを届けに寄ったミチオ。そこで見たのは首を吊って死んでいるS君だった。先生と警察とが再び戻ると、なぜか死体は消えていた。
しかも家に帰ると妹と僕の前にクモに生まれ変わったS君が・・・彼は自分が殺されたことを訴え死体を捜して欲しいと頼みだした。事件の真相は???
足の骨を折り石鹸をくわえさせられるという犬猫の惨殺事件も相次ぐ。
岩村先生のポルノ癖、死体の足を折る異常犯罪者、精神異常をきたしている母、「純粋」な妹、猫を死んだ婆さんと思い込む家人・・・異常な世界と異常な人間が渦巻いている。
はっきり言ってこの物語にマトモな人間はいない(笑)ことごとく優しく壊れている。
皆、傷ついて傷つけて、自分の罪を隠すために都合のいい世界をつくり都合のよい東城神仏を「見立て」て誰もに優しく生きている。
ここには人間のしようもない2つの性癖が描かれている。
周りからの重圧、抑圧、孤独、憎しみに押しつぶされそうになるとき、人間は自分より弱いものへその負のパワーをぶちかます。排出する。弱いものははけ口として犠牲にされる。
自分の所業に非があると気がついたとき、それがどうしようもなく取り返しの付かない過ちであり責められるべきものであることと罪の意識にさいなまれる時、人間は往々にして逃げる。
自分の都合のよい周囲と世界とに逃げ込み、何も無かったかのように「日常」を生きる。
そうやって起こってしまった事件と、犠牲になった被害者と、そうせずに入られなかった加害者とが自分に優しい世界を守ろうと必死になっている。そんな話だ。
単純に読了後の感想を言うと、キモイ。おぞましい。狂ってる。
とりあえず私が私であることを心から願う。
所詮主観でしか生きられない
2008/08/16 20:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:George - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーなどほとんど読んだことのない私が、なぜか気になり購入し、一気に読んでしまった一冊だった。
消えてしまったS君の死体、それに対する自分の「これを仕組んだのはあの人に違いない、だとしたらわかりやすいストーリー」と思ってしまっていた先入観が裏切られたあの一瞬。裏切られたのはストーリー内の謎解きだけではなく、そのストーリーの土台までもがガラガラと崩されていくのを感じた。
騙されたのか?ありえないただのおとぎ話?いや、そんなことはない。人はきっと、多かれ少なかれ、自分の主観によって生きている。自分が見たものを信じ、感じ、考え、他との関わりによって他に対する自己というものを確立している。自分の主観でしか生きられないと言った方がよいだろう。自分が今「正しい」と思って生きているこの世界も、所詮私が作り出した世界でしかないのかもしれない…そんなことを考えさせられた。
それにしても見事にしてやられた。それが気持ちよくさえあり、もっとほかのミステリーというものも読んでみようかと思わせてくれたこの本に感謝したい。
夏にオススメ
2022/07/19 03:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さりりる - この投稿者のレビュー一覧を見る
冒頭は主人公と自分との年齢差がありあまり話に入り込めそうに無いなと思って暫く積んでいましたが、夏が来たのでなんとなくまた読み始めました。
読み進めると、主人公に対する両親の様子が自分の幼い頃のそれと重なり、一気に読了しました。
3歳であるミカの違和感は子育てをした経験のある人では無くとも感じるのではないかな?
こんな3歳ないわ!と読みながらつっこんでましたが…でも納得。
ファンタジー要素に関しては、この主人公の幼く無力な状況であればファンタジーではなく自我を保つツールなんだよなと不思議と懐かしく愛おしい気持ちになりました。
かなり好みの分かれる作品であるとは思いますが、私にとってはずっと心に残りこの先何度も読み返す本になると思います。
中高生向け
2021/08/29 17:47
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投稿者:マリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
出来れば、中高生くらいに読んでおきたかった。ある程度、知恵がついてくると、思わず内容に疑問を抱いてしまうから。
どんでん返し
2021/02/05 13:23
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投稿者:なめこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめての道尾作品はこちらで、ここから道尾秀介にはまりました。
グロテスクな描写もありますが、ラストの怒涛の展開が素晴らしく、次へ次へとページをめくる手を急かされます。
中毒性
2018/11/01 16:55
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投稿者:しーれ - この投稿者のレビュー一覧を見る
解説にもあるように、好き嫌いが分かれる小説であることは間違いない。この世界観を、受け入れられるかどうか、まずはそこから。しかし実際は、他の道尾作品同様、「なぜ?」の答えがどうしても知りたくて、一度手にしたら最後まで読まずにはいられない。そして、読み終えた時には、抵抗なくこの世界観を受け入れている自分に驚くことになる。そして、彼の別の作品も早く読みたくなってしまう。
おどろき
2016/10/27 00:49
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投稿者:mimiponta - この投稿者のレビュー一覧を見る
途中から人間なのか生まれ変わりなのかがわからなくなった。
ミステリのようで、現代文の問題に出てきそうな文学でした。
ただ、言えることは続きが楽しみすぎてすぐに読めてしまいました。
えっ?こわ・・・
2016/01/19 09:51
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投稿者:ヴァン - この投稿者のレビュー一覧を見る
道尾秀介氏の作品の中でも人気の高い作品。
この作品から道尾氏の作品にのめり込んだ方も多いはず。
道尾ワールド全開で、推理を楽しみつつ独特の世界観に迷い込み、
最後には衝撃のラストが待っている。
ラストで全てを明確には記さず、読者に推察の余地を与えるのも
道尾氏らしい作品と言えるだろう。
初、道尾作品
2015/09/11 02:00
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投稿者:たか - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて道尾秀介さんの作品を読んだが、今まで読んできた他の小説家の作品にはなかった印象でした。
何か登場人物に秘密があるのはうすうすわかっていたが、読み終えてみると不思議な感覚で、思わず惹きこまれた。