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年功序列、終身雇用。
かつて、日本の経済を支えた日本独特の雇用システムは、崩壊しかかっていると言われながらもやはり根強く日本企業に染みついている。
新卒至上主義の日本では、大学3年生の時にいっせいので!で横並びで就活をスタートさせ、新卒で一番はじめに入る会社によって人生が変わる。入社してからは年齢によって、給料が変わるので、成果を上げようが、上げまいが大して変わりはしない。高度経済成長期のような、日本全体が「良い暮らしをしよう」という思いを共有している時代はそれでも大多数の人が懸命に働き、企業の売り上げ利益もうなぎ登りだったのかもしれない。だからこそ、入社時は安い給料でも景気の波とともに、給料もあがるものだったのだから、年功序列も年齢給も有効だったんだろう。
でも今はどうだろう。
年功序列と終身雇用は働く人の意欲を奪い、企業の売り上げの伸びない原因になっているんじゃないだろうか。
本書に記載されている通り、バブル時代に入社のうちの7割の社員は一生をヒラ社員で過ごす。そして、それはバブル入社の社員だけでなく、間違いなく、07、08、09入社の若手社員も同じ運命になることを示している。ただ会社に行き、漫然と席に座っているだけでは、生涯重要な仕事を任されることもなく、ただ定年までの時間を待つだけの会社員生活が待っているかもしれないのだ。入社時には安い給料で働き、昔とは大きく違う閉塞感の漂う不景気の中で働き盛りを迎え、上の世代でポストが埋まっているために大して給料も増えないような雇用システムで、皆がやりがいをもって働ける社会を作れるんだろうか。
本書では皆がやりがいを持って働ける社会を作るために、職務給(仕事の内容によって給料が決まる)により給料を決める社会になることを提言している。そうすれば、プレーヤーとしては優秀だがマネジメントのできない管理職が生まれたり、博士課程まで進み勉強していたのにフリーターになるような可能性は低くなる。
また、職務給が主流になった社会はおそらく、現在のような新卒至上主義ではないだろう。若いうちに色々な経験をした上で働くこともできるし、就活生が大学3年になったとたんに期間限定の「自己分析」をすることもなくなるして、友達に内定が出たのに、自分は卒業間近になったのにまだ内定が出てないと焦ることもなくなる。人材サービスの企業で働く私が言うのもなんだけど、やっぱり今の新卒採用って変だと思う
今はまだ外資やベンチャー企業など一部の企業のみしか適用してないとは思うが、この流れがもっと広がって、日本の雇用システムが変わり、日本経済が勢いを取り戻す時がくればいい。
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第三弾。
良かった。特に、規制緩和によって様々な層にどのようなメリットがあるのかを解説してある点。
日本が沈むかどうか微妙なとこだとは思うのだが、城さんの声が若者に徐々に広がっていけば、まだ持ち直せる、かな。
僕の知り合いで、TV局に就職した人がいるが、彼が入社した年から給与体系が変わってこれまでに比べて3割減とのこと。仕事内容は同じなのに・・・。それでも下請けとかから見れば貰いすぎってレベルではあるが、経営不振のツケを若手に押しつけているわけだよね。
学生の皆さん、終身雇用・年功序列が本当に幸せかどうか良く考えてね。今の就職難は不況のせいだけでは決してないからね。若い人がこの搾取のメカニズムを自覚することが改革の第一歩。
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(2010/1/17読了)日本の身分制を、大手正社員が上位カーストで、非正規・中小社員が下位カーストと、「カースト」という言葉で表現しているのがツボった。まあ実際カーストだわな(笑)日雇いはさしずめ不可触民扱いでしょうか・・・。笑えない話である。
日本としてヤバイだろうと思うのが『知識社会を勝ち残るために、世界中が高等教育に予算を注ぎ込むなか、日本だけは「フリーター博士」の就職支援に予算を注ぎ込んでいる。』(P72)日本以外の以外の先進国では、ホワイトカラーは修士が当たり前の中、日本では文系で修士なんか行っちゃったらまず大手の正社員になんてなれませんね(笑)よく考えてみると本当に変な話だ。
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『若者はなぜ3年で辞めるのか?』の著者の新刊。
『若者は…』がマクロな視点から深く日本経済に切り込んでいる良書だったので、こちらも期待ができる。
就活生はもちろん、社会人にもおすすめ☆
「1990年入社の大卒者で課長以上に昇格している人間が、たったの26%」
という数字が、日本経済の鈍化を示している。
そして、これからはもっと悪くなる。
それを知らずに、就活をしている人がなんと多いことか!!!
人生時計の1/4程度しか生きていない若者が、なぜ「安定」を求めるのかが分からない。
そっちのほうが、人生を「不安」にさせるのはわかりきっているのに!!
伝えられない自分の力不足が悲しい…
皆にはぜひ読んでほしい。
一人でも多くの人が読んで、日本経済の危機を伝えてほしい。
***
「ストレートで来る人間より、いろいろまわり道してきた人間のほうがおもしろい」
と提唱するリクルートのような会社もあるが、
まだまだ日本企業のほとんどは新卒至上主義だ。
結果、若者がいろいろな経験をし、
さまざまな才能を伸ばす可能性を摘んでしまっている。
→”現役”に拘る学生が多い。もっと”自分の人生”に拘ってほしい。
現在、35歳以降の昇給を据え置き、
賃金カーブのピークを引き下げようとする動きが顕著になっている
能力のある生徒の芽を摘むことで「平等です」と喜ぶのは、
ただの責任放棄でしかない。
各レベルに応じた教育を提供することで、
全体の伸びしろを伸ばすことこそ、公教育の本懐
ゆくゆくは勤続年数ではなく、
「担当する仕事内容」で賃金が決まる職務給システムに移行するはずだ
真に再チャレンジ可能な社会とは、
失敗の存在を前提に設計された社会のことだ
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一種の下剋上物語。
それはそれでいいとして、高齢者を一括りに経済的強者とする主張はどうなのか…。
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本書の最終章で描かれている社会が「失敗もあるが希望の持てる社会」であることには大いに頷ける。「勝ち組・負け組」とか「ワークライフバランス」「ワークシェアリング」という言葉を使っても、現実に基づいた改革を提示しなければ空虚なだけであることが良くわかる。
若い人がこれを読んで理解し、投票行動に結びつけることを筆者は訴えているのだが、果たしてその目的は達成されるのか甚だ疑問。もちろん何もしないよりこうした本を世に問うのはいいことだと思うけど。
と言うわけで、若い人には是非読んでもらいたい。お金が無ければ図書館でも借りられると思う。
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■「転職も雇用問題も興味ない、正社員でいられさえすればいい」という人は、自分の足元だけを見て生きるといい。ただし将来、何があっても文句は言わないことだ。断言するが、これから先もサラリーマンの賃金は下がりつづける
■「ストレートで来る人間より、いろいろまわり道してきた人間のほうがおもしろい」と提唱するリクルートのような会社もあるが、まだまだ日本企業のほとんどは新卒至上主義だ。結果、若者がいろいろな経験をし、さまざまな才能を伸ばす可能性を摘んでしまっている
■30代男性正社員と非正規雇用労働者の既婚率には倍の開きがある。不安定な雇用であるため、世帯をもつ意欲が限られるためだ
■若者が保守化しつつあるのは、相変わらず企業が新卒至上主義を捨てておらず、そこでこけるとどうなるか、少し上の就職氷河期世代を間近に見て、よくわかっているためだ
■強固で安定した身分制度を屋台骨とした江戸時代、社会は安定していたが発展はしなかった。一方でかつての“南蛮人たち”は大挙して黒船で押しかけてきて、危うく植民地化される寸前だった。流動性を失った社会は、必ず停滞し、競争力や活力を失うのだ
■一九九〇年入社の大卒者で課長以上に昇格している人間が、たったの二六パーセントしかいない
■現在、35歳以降の昇給を据え置き、賃金カーブのピークを引き下げようとする動きが顕著になっている
■日テレ以外で働く若手のみなさんは、35歳を過ぎたあたりで、転職も昇給もできない袋小路に追い込まれるリスクがあることは認識しておくといい
■企業は必ずしも知識を求めてはおらず、実質的には「大卒証明書」の発行機関でしかなかった
■主要先進国では、すでに学士の株価は暴落しているホワイトカラーは修士以上が基本だし、政策立案者の多くは博士号取得者だ
■みんなが「ぶら下がって生きよう」と考えたときに、支えられる屋台骨など存在するのだろうか
■うわべだけの学歴社会から、中身の問われる学歴社会へ日本全体が緩やかに移行しつつある
■対策は公立校の充実ではかられるべきで、それにはバウチャー制度(教育限定のクーポン配布)、学力テストの実施などによる公立校の再編と、査定制度、免許制度などによる教職員自身の活性化が不可欠
■能力のある生徒の芽を摘むことで「平等です」と喜ぶのは、ただの責任放棄でしかない。各レベルに応じた教育を提供することで、全体の伸びしろを伸ばすことこそ、公教育の本懐とすべき
■少子化問題の本丸とは、子供をもちたくてももてない家庭の閉塞感にこそ存在する
■平均以上の人間に敬遠され、平均以下の人間にウケがいい日本型雇用
■「自分はつねに平均以下だ」と割り切っている人間にとっては、終身雇用はいまも変わらず魅力的な制度である。そういう人材だけで商売が成り立つかどうかは別問題だが
■「小泉改革で格差が広がった」とデマを流す人々がいるが、小泉政権誕生のずっと前の九二年から新卒求人は減り、企業の労働分配は高止まり、非正規雇用の拡大は始まっている
■この国はすべてにおいて若者にツケを回そうとする。そもそも、年収1000万超の高給取りを守るた��に、初任給300万円の人間を3人雇わないでおくことに、何か意味があるのだろうか
■仕事だけ増やしておいて、残業は制限する。暗にサービス残業をしてくれというメッセージ
■「法律で決めさえすれば、いくらでもお金が湧いてくる」のは公務員だけ
■世の中には、時給1万円の仕事が出来る人間もいれば、時給1000円以下の仕事しか出来ない人間もいる。グローバリゼーションが進んだ現在、最低時給を引き上げるのは、後者の職を奪うという事だ
■雇用調整助成金=正社員の雇用を守ってもらうための制度。失業者や短期雇用の人間には全然関係ないどころか、椅子が空かないぶん、失業者には不利。2009年7月度の対象者は243万人。それだけの失業者を、国が企業に雇わせている
■雇用調整金などの制度は、インフルエンザなどの一時的な経済状況によって需要が減り、その危機をしのげば受容が回復するような場合に使われるべき
■「終身雇用を前提に勤めている企業名で貸す」という日本のローンシステム自体、とっくに時代遅れ
■もっとも強力な日本型雇用信者にして反流動化論者は、人材派遣会社
■「規制緩和によって、正社員が派遣社員に置き換わった」ではなく、実際には「規制緩和が全然足りなかったから、派遣社員が増加した」というのが正解
■日本において、高齢者は経済的強者
■「仕事で完全燃焼できる」のは、能力とかスキルとはまったく別の資質である。それ自体、1つの強力な才能と言っていい。日本型雇用の最大の強みとは、そういう才能のない人間までも、冷酷で画一的な企業戦士に仕立て上げられたことではないだろうか
■「景気回復まで待とう」などと考えている人は「永遠にやる気がないです」と告白しているようなもの
■ゆくゆくは勤続年数ではなく、「担当する仕事内容」で賃金が決まる職務給システムに移行するはずだ
■真に再チャレンジ可能な社会とは、失敗の存在を前提に設計された社会のことだ
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とても気になります。笑
まぁ考えてみれば当然と言っちゃ当然。
平社員のほうが人数が多いんだから。
一生平社員で終わるのはいやだなぁ。
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【感想】
城繁幸さんの本。
日本の雇用の問題点を提起しています。
大きな問題となっているのは中高年層の既得権益と若者への少ない利益配分です。
自分も周りでも同じ世代の派遣社員の人が簡単に解雇されたり、
計画的に仕事を経験できなかったりしているのをみていて、
受難を受けている世代であることを感じています。
(自分は正社員なのであまり被害は受けていませんが・・・)
同世代がかわいそうだという感情的な面も問題だと思いますが、
それ以上にこんなシステムを続けていくと日本の国力が落ちていくことが問題だと感じています。
下手をすると日本企業が本社移転して海外企業となってしまえば、
国が滅んでいくだけだと思うのですが。。
国レベルの問題として危機感をもって考えていけたらと思います。
【内容】
(日本企業だけは勘弁してください:エリート一同)
28歳の李さんと大企業の面接。
「ところで、私の年俸はどれくらいいただけるのでしょうか?」
「そうだね、一年目は規定により28歳相当の450万円というところかな」
~
「では伺いますが、いつ、どうすれば、1000万円に届きますか?」
「え、えーとね、それは課長に昇格するまではちょっとムリだな」
「では、いつ課長に昇格できるのでしょうか?」
「うーん、たぶん10年くらいまじめに働いて、運がよければなれると思うけど・・・。」
「10年以上も先の口約束を信じて働けというのですか?それは無茶苦茶ですね。そもそも企業と労働者は対等のはずです。私を評価しているのなら、明確な基準や適正な報酬を用意すべきでしょう」
『平均以上の人に敬遠され、平均以下の人間にウケがいい日本型雇用』
リストラは面倒くさいと先送りにするトップに、偽装請負に嬉々として協力する労組。
そして一見リベラルな顔を見せつつ、表になる正社員労組以外は見向きをしない既存左派。
自身、既得権益というぬるま湯にどっぷりと浸かった大手メディアも、決して真相に迫ろうとはしない。
この国はそんな偽善者で満ち溢れていた。
~この国はすべてにおいて若者にツケをまわそうとする。
そもそも、年収1000万円長の高給取りを守るために、初任給300万円の人間を3人雇わないで置くことに何か意味があるのだろうか。
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面白い!主義、主張がストーリー仕立てで展開されており
入り込みやすい。
最終的に人材が流動化されるのっていつだろう。
職業・職種・その仕事に応じてお給料が決まるシステム、
より人々は必死に働くし、それで経済が下を向くことってないのかも
しれない。
もっと人が好き好きで生きれるような社会がいいと思う。
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の著者の本は読んできましたが、今回の作品はあまり参考になりませんでした。
著者の思い描く雇用の世界を語っており、その世界は一見理想に見えるのですが、自分には結局成果主義の助長であり、出来ない人は結局ドロップアウトするしかない様に感じますね。
大前提として、やる気の無い人や、能力の劣る人は厳しい状況になり、益々格差が開く事になります。
成果主義にせざる得ない社会の状況は理解していますが、本当にそれが正しいとは思えません。
著者の言いたい事は恐らく、今の仕組みでは能力のある人が正当な評価がされずに、下から上がる機会が無く転職も能力よりも年齢で制限があり、しがみつくしか無いと、だから50歳を過ぎても自由に転職出来る世界が必要だと訴えています。
でもそれは今でも能力があり、人脈があれば可能だと思います。
問題は雇用の創造が先ではないかなぁ、思います。
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いってることは「若者はなぜ3年で会社を辞めるのか」と大差ないんだけど、サブプライム後の経済状態にアップデートしましたって感じ。
ドラマ仕立てに具体例が出ているからわかりやすいけど、読んでてものすごく滅入る。お先真っ暗って感じorz
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派遣切りの話題が、一昨年、社会問題化しました。
日本の労働形態は、正規社員とその他の二極化している。正規社員には、手厚いシステムが存在し、派遣社員は、雇用の調整弁としての役割を負い、景気悪化時には、解雇されることとなる。
わかりやすいといえばわかりやすい。
リーマンショック後、景気が持ち直しかけてきても、雇用環境は、改善しない。仕事がないのではない。派遣社員を雇いにくい環境になっているのだ。
残った正規社員は、いままでの仕事に、派遣さんの仕事が追加されて、忙しい。
巷では、仕事がなく、会社内には、仕事があふれている状態だ。
労働環境がねじれている。
では、その解決策は、
労働市場の完全な流動化である。
正規社員に対する解雇規制、労働条件の不利益変更規制の緩和し、処遇の柔軟な見直しを可能とする。現在、労働契約法により、労使でルール化すれば賃下げや降格は可能であるが、そういった方向での議論はほとんど進んでいない。そこで、金銭解雇も含め法律で明文化し、一気に経済全体の新陳代謝を進めるべきだ。中略
3300万人の正規社員と1600万人の非正規雇用労働者が自由競争することになるのだ。
だれもが努力するわけだから、組織の生産性は大幅に向上する。
非現実的だが、労働市場は、流動化させ、生産性を向上させる方法としては、面白いかもしれない。
今後、労働人口は、どんどん減ってくる、それぞれの役割(ステージ)に応じて、どんどん仕事をチェンジできる環境が必要であろう。
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購入:湖浜
タイトルが気になってつい購入してしまいました。
たとえ話のストーリーのおかげで、雇用と経済の問題がとてもわかりやすく理解できました。 今すぐ何か自分にできるかどうかは別として、考えるきっかけになった一冊。 面白かったです。
貸出:吉田 裕(2010.05.07)
日本の雇用問題の本質が見えてきます。終身雇用への幻想に誰しもが気づく一冊でしょう。。。がんばろ。
貸出:中山(2010.10.23)
昔、フリーターしてました。もし、フリーターのままだったら、と思うとゾッとします。社員として雇ってもらっているガモウ関西に感謝です。
貸出:石賀(2010.11.1)
日本の良さだと思っていたのに終身雇用。。。美容室の終身雇用を考えいましょうと言っている自分が怖い。
渕口(2011.12.30)
とりあえず今正社員として働けてる事に感謝です。政治の根本から見直さないといけないような気がします。
誠 2012.08
終身雇用が悪い訳ではなく、年功序列と既得権益がセットになってるから問題な訳で。弱者に厳しく、強者に甘い世の中であることは再認識しました。ゆゆしき問題です。
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3部作の最後ということだけど、日本型の雇用にこれまで疑問も不安も感じてこなかった人にとっては、これが最初の1冊になると良いような気がする。