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最近、愛着(attachment)とその障害に関する書物をぼちぼち目にするようになってきた。とはいえ、それらは虐待や発達障害との「関連」や「相関」に焦点づけているものが多い。その点、この本はAinsworthのタイプ分けをベースに、一貫した論点でまとまっている。著者は精神科医という肩書きの他に、小説家という顔も持つだけあり、愛着障害の例として挙げた(臨床事例ではない)有名人のエピソードを、うまく各章に散りばめている。専門書を紐解く前の前菜のつもりで手にしてみたが、予想以上に得るものが多かった。
繰返しになるが、本書は虐待や発達障害と愛着の問題を「区別」することを主眼に書かれているので、「関連」を求めて読むと期待はずれですよ。
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愛着障害という概念を初めて知った。今まで発達障害関連の本を読んでも今ひとつしっくりこないところがあったのだが、愛着障害という捉え方をすると腑に落ちるところがたくさんある。
ACもそうだが、「なんでも親のせいにするな」とか「過去に囚われても仕方ないじゃないか」ということをよく言われる。
しかし現在の自分の基盤が過去の出来事によって作られていることは否定しようがないし、そこから理解していかないと現在の状態を改善することも難しい。
少なくとも私は、自分がなぜ人と対立すること、喧嘩することをこれほどまでに忌避するのかが今までわからなかったが、これを読んで自分が「不安ー回避型」であるということがわかっただけでも読んだ価値はあったと思う。
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愛着(アタッチメント)大学の児童心理の授業で学んだ記憶がある。
たとえば、子どもがはいはいをして、お母さんの元を離れてどこかに行く。行った先で、痛い目に会って泣いてお母さんのところに戻る。心の安定、生きてくための支えとなる人がいるから、はいはいしてどこかに出かけるということもできる。
幼稚園、小学校、中学生、高校生、社会人・・と人が生きて行く過程は、常に、挫折、葛藤、悲しみ、苦しみ、挑戦、克服の連続。それができるかいなかは、人が人生の最初の方で築く人との関係によってできた基盤。それが愛着。
歴史上の人物、イノベーションを興した人は愛着傷害を抱えている。小さなころの親との関係が不安定だったり、否定、攻撃を受けたり、別離を経験していたり。
谷崎潤一郎、バラク・オバマ、スティーブジョブズ。
発達心理学のルソーも。。
果ては、釈迦も。
苦しみ、傷があるから、何かを生み出さざるを得ない必然性があったり、向かうものへのパワーが出たり、癒しとなっていたりする。だから、だれでもあるんだということではなく、一生苦しんで生きることに困難を抱えながら生きる要因となってしまう。
アスペルガー、多動性傷害も、先天的なものではなく、愛着障害によるものともいえるみたい。
教育では、最後は家庭だとよく言うけど、親と子というごく小さな人間の関係にある問題なのです。
専門的であるけど、事例も豊富。
これはいい本。
東日本大震災で子どもたちが親を失ったり、離ればなれで暮らすことになったりしている。
また、震災後、経済的理由で、子どもが煩わしくなったという調査結果も聞いた。
幼少期の大事な時期に不安定な状況におかれいる子がたくさんいて、そこで受けたものが傷として残って生きていく。
いろいろな形でその傷が痛むわけだけど、それは、ずっと続く。
・・それを思うと、、、うーーん。
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反応性愛着障害は知っていた。どうも、被虐待児の愛着障害のことにばかり注目していたが、それだけではないことがわかる。様々な有名人のエピソードを出していて興味深く読むことができた。
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テストする前からわかっていたけど、自分は不安型。
仕事上の相手には客観的になれても、夫に対しては明らかに認知が歪んでいる部分もあり、気になって読んだ。
前半ほとんど削っていいから、克服のプロセスをたくさん書いて欲しかった。あの偉人もこの偉人も愛着障害だと言われても、だから何だと思ってしまう。
実際に愛着障害×パーソナリティ障害×発達障害の人と接しているが
ゴリゴリに精神が削られる。
治療やサポートする側はかなりメンタルが安定した人でないと向かないのだな。
また、回復の過程で支援者に否定的反抗的になると書いてあるが、ここで大体の人は折れてしまうと思う。
生半可な気持ちで関わってはいけない。
年単位、一生をかけて向き合う必要がある。
・役割を持つことで対人スキルの向上や自己有用感が得られること、
・子ども時代を再現すること
・自分が子どもを持ち、理想の親となること
などはハッとさせられる部分もあった。
経験上、実際に効果があると思う。
ただ、過去の辛さを語り尽くし、安全基地をみつけて
親との関係を客観視して清濁併せ持つことで和解すると自分自身も回復する、というのはかなり難しいと感じた。
自分の場合は子どもを持ったことで、
「こんなに可愛い我が子に、よくあんなことをできたものだ」とますます親の気持ちがわからなくなり、
憎悪が増した側面もあるからだ。
せめて安全基地となってくれた夫に対しては優しくありたいと思うが...
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愛着障害について、これ一冊に凝縮されている。
紙幅をうまく使い、論じてある点は、医師であり作家としても活躍する筆者ならでは。
教育にかかわる者すべてが読むべき書だと思います。
愛着障害とは、しっかりと育ててもらえなかった者がなるもので、表面上は発達障害等として現れることが多い。怖いのは、世代間連鎖。
克服するのはすごく大変であるが、きちんとした愛着関係を築ける人が周囲にいたり、自分がきちんと何かしらの役割を果たしているという自己肯定感、自己有用感を得たりすることで、回復していくケースが多い。そのために、本人も、思い切りをもって物事に挑戦していく姿勢をもつことが大切である。
全ては、将来の子どものために!!
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この本によって、「愛着障害」という言葉がメジャーになるかも知れない。読んでいてそう思った。面白くて分かりやすい。多くの人に受け入れられる余地のある本だ。
対人関係などに苦しむ愛着障害というのは、決して子どもだけの問題ではなくて、大人にも当てはまり、それに苦しんでいる人も少なくないのだという。精神科医でもあり作家でもある著者は、愛着障害の例として作家を数多く取り上げている。小説好きの僕としては余計に分かりやすかった。
愛着障害の診断テストも付いているので、是非やってみて欲しい。
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両親との葛藤やいろいろな感情を
かかえている人は多いです。
そういうものを「愛着障害」というのですが、
実は三人の人が集まると、
そのうちの一人が愛着障害をかかえている割合が、
なんと70パーセントもあるということです。
それぐらいありふれているのです。
もちろん軽度から重度まで程度はありますが、
軽度のものは誰でも少しはかかえているのです。
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これを読み、子育てにプレッシャーを感じる母親がまた増えそう。
病死での離別は、不可抗力でどうする事も出来ないし、
現在の虐待の問題の根は「貧困」だったり「連鎖」だったり、「核家族」という身近に育児を助けてくれる人の不在だったりする。
この問題を論じずに「子の幼少期に一生が決まるから愛情を命一杯かけましょう」は、母親を追い詰めるだけ。
ただ、最後の方に、親からの愛情を受けられなくても、成長するうちに周囲からの情に触れて、人格の改善がされる・・・という点で少しだけ救われる気がした。
最終的には「親を赦す」になるそうだ。
う~~~難しい・・・・・・・・・。
最後のテスト、私は「安定ー回避型」でした。
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まだ読んでいる途中ですが、ここでひとまず忘れないうちに記録します。
はじめの部分は予想期待していたことが書かれていて、読みながらふむふむといった感じでした。”愛着”というのは環境に影響があるということ、それによって人への信頼度や密接度がかわり自己表現に影響をきたすこと、統制型といういい子ちゃんタイプの愛着障害が存在すること(これが一番内在化している気が)
どのパターンでも個人での葛藤が多いと思います。なぜこんなに気象が激しいのか、無意識のことであるため当の本人が理解することは至難であると思います。
納得いく内容ですが、事例にでてくる人物が偉人に偏っている点が少しバランスがよくないと思いました。偉人は愛着障害を持つ人の中で基礎能力が高く、障害がうまく作用した(あまりよくない表現かもしれませんが)特例となんとなく思うので、読んでいてちょっと非現実的な気もしました。
続きは読み終わってからまた。
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続き!
終わり方が建設的でよかったです。
愛着障害というものがもっと世の中に認知されるようになればいろいろな問題が解決されるのではないかと思います。
しかし愛着障害の認知の問題として、
・安定型の人は愛着障害に陥っている人の心理がまったくわからないこと、それ故に不適切な行為を与えてしまい混乱を招くこと
・愛着障害を少しでも自覚していないがために、愛着障害を持っている者同士やその他の人に及ぼす影響を正しく把握出来ないこと
などの問題があると思います。
自身の問題を内在化させて向き合うことが大切ですが、そういったきっかけや試みを掴むタイミングや環境に恵まれるかはまた難しい問題だと思いました。
克服には周りの理解が必要という点ではちょっとPTSDの問題と近いようなそうでないような。
PTSDの本も読んでみたいと思います。
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久々に心理学の本に触れたくなった。そういう時はたいてい、自分の心と向き合いたいと思っている時だ。
この本を読むと、自分だったり近しい人に当てはまることがたくさん見出せる。多かれ少なかれそういうものは皆持っており、それが突出して生活に支障が出ると「障害」だと思っていたのだが、最近は「障害」だと認識する閾値が下がったように思う。実際、本を読んでいる中で、私は絶対愛着障害だと確信したのだが、最後の愛着スタイル診断テストをすると、安定型ということで問題なかった。
昔は子供が多く、兄弟が亡くなってしまうことも多かった。子供たちは乳母に預けられたりしていたため、さほど愛着という概念が発展していなかったように思う。だから親が決めた結婚相手と割り切って結婚できたのだ。そしてそれが何世代も繰り返される。結構ドライな関係だった。ご近所さん付き合いや親戚関係も頻繁で、社会全体が緩い愛着で結ばれていたと予想される。
一方、現代は子供の数が減り、手塩にかけて育てた一人の子供が亡くなったら大問題。固い絆で結ばれている。結婚相手にも親との愛着に替わる非常に強い絆を求めるため、恋愛結婚が多くなる。とっても濃厚な関係だ。お隣の人がどんな人かは分からず、親戚も地方におり、愛着を示す相手が限られる社会になったように思う。
ある特定の人に向けて濃厚な関係を築く社会になったから、そこに対する愛着の弱さが「障害」としてクローズアップされてくるのだろう。ならば、昔のように緩い愛着関係に戻るのはどうだろうか?実際に私も特定の人と強いきずなで結ばれていた時は、社会が皆敵に思えて怖かったし、一人で行動できなかった。でも、思いきって飛び込んだら、意外と一人でも行動できることが分かったり、みんなに応援してもらったり。そういう経験を積み重ねたら、少し心が楽になった気がする。
心理学の本を読んで自分の心や行動の傾向を知るのはとっても良いことだと思う。そんな中でも悩める仲間たちに紹介したい一冊。
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自分の過去と照らし合わせながら読んだ。
自分に当てはまるところもあるし、そうでないところもある。
愛着障害をタイプ分けしているが、必ずしもこのタイプ分けが万全であるとも思えない。
血液型のように、何でも人間を型にはめようとすると無理が起きる。
本書の最後の方に、愛着障害をどのように克服するかについて記載してあり参考になった。
ただ、光文社新書は、少し原稿が冗長な気がする。
もっと編集してもいいと思う。
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子ども時代の経験の影響で、大人になってから「愛着」に問題を抱えている人は1/3位だという。カップルとして考えると、半分以上は少なくともどちらかが問題を抱えている。その根幹を認識することで、現状に対応していく道がひらける。
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愛着障害についての本。
自分のことも含めて、目を開かされた部分が多かった。
近年の文豪などを例にあげ、わかりやすかった。
欲を言えば、克服の部分も、事例を出して、詳しく書いてほしかった。
一人ひとり、対処法が細やかに分かれるだろうことを考えると、ここまでしか書けなかったのか?とも思う。
現代、70%もの人が愛着障害を持っているというのも、驚く反面、分かる気がする。
これから先、もっと増えるのかもしれない。
子育ても怖さ、大切さを改めて思いもした。
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子供の頃の親との関わり方で、大人になってからの性格に特徴がでてくる。
著名人の話が所々ででていて、すごくわかりやすく、興味をそそられた。
巻末には、自分の愛着障害を調べるテストがついていた。
読み進めるなかで、なんとなく、自分は愛着不安傾向があると思っていたら、愛着不安がやや強い、愛着安定タイプだった。納得。
愛着障害を打破する過程で、幼い頃の体験を思い出し、話すというものがあった。
それで、思い当たったのは、ここ最近、記憶の底に沈めていた幼い頃の嫌な記憶を思い出し、それを納得するというか、赦す思考がある。
これは、障害克服の段階なんだ。。と思ったら、なんだか安心した。
この本は、障害に苦しむ人にも良いし、障害がない人には苦しむ人の原因がわかって良いと思う。