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かなり面白く読みました。
読み手によって感じるところが結構変わるんじゃないかと思いました。
私には、いろんな敗北感とかトラウマを感じながら喧騒を離れて、これでいいんだ、これがいいんだ、と書き付けているように感じました。そうだとしたら、いたく共感します。
そう思いたくなるときもあるし、心の奥底にはいつもその思想があるような気もします。だから自分も、その結論にいつか達するんじゃないか。
随筆の古典て、すごくブログっぽいですね。
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「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。世の中にある、人と栖(すみか)と、またかくのごとし。」から始まる鴨長明(1155-1216)の方丈記。これをとても分かりやすい現代語訳と原文、解説に分けて書いた本だ。高校時代の古文の授業ではちっとも面白くなかった本だが、今になって読み返してみるととても面白い。平安末期から鎌倉時代にかけて、諸行無常を知り質素にシンプルに生きようとする長明は現代のミニマリストのようだ。高校時代に面白くなかったのは、いろんなものが欲しいし、未来に期待している状況なのに、無常と言われても共感できないからだ。これが未来に期待しなくなった中年になると面白くなる。この800年間にこの本を読んだ人たちも同じ感想を抱いたからこそ、代々写本され読み伝えられてきたのだろう。人間というのは、実は進化していないらしい。800年の時代を超えて共感できる人と出会える楽しみが、この本にある。
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このシリーズは、原文、現代語訳、解説で読め、原文の雰囲気を味わえる。原文の全文ではなく、部分が取り上げられているものが多いが、「方丈記」は全文が載っているよう。キンドルの原文で比べると、すこしカナ、文章周りが異なる点もあった。コラムとして関連情報が挿入され、またイラスト、地図的なものが登場するのもありがたく、便利。
天災のあとに、しばらくは誰もかれもが天災に対し、人間が無力であることを語りあい、少しは心の濁りも薄らいだようにみえるが、月日が経ち、年が過ぎてしまうと、話題に取り上げる人さえいなくなるというのは現代にも言える。
また、自分一人で住む菴での生活も、結構楽しそうで、面白そう。無常について、住居や環境、人間付き合いの観点から考えてみるというのも面白かった。しかし繰り返し読みたいほどではない。
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時代背景を記す部分が言わば長い前書きのよう。方丈の庵について描いた28〜34章は読み応えがあったが、最後の2章で執心をめぐる問答となって、ずっこけた。平安末期〜鎌倉の時代にもかかわらず、人々の感じ方や考え方は、現代とそれほど変わらないのだなと感じた。
ビギナーズ・クラシックスのシリーズは現代語訳がわかりやすいのでありがたいのだが、この本に関しては解説がやや批判的なのが引っかかった。
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方丈記は、学校の授業で少しやったくらいだったが、全ての話を読んでみて、鴨長明の人柄が見えてきて、印象が変わった。
読んでよかったと思う。
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「冬は雪をあはれぶ。積もり消ゆるさま、罪障にたとへつべし。」p.120
どこかに出典がありそうでもありますが、この例えは好きです。
罪は自然に消えず、行動で雪ぐしかないという固定観念があったのですが、雪に例えるなら時間と共に消えてしまうものになります。
それは方丈の庵での生活の清々しさが洗い流してくれるからということなのでしょう。
鴨長明の方丈自慢について解説文は批判的ですが、私としては鴨長明に憧れてしまうので、大目に見て欲しいですね。
ビギナーズクラシックスは大抵抜粋ですが、方丈記は短いテクストなので全文訳です。
シリーズの体裁上、語釈がないのですが、その分意訳多め、解説長め、図版多めになっています。
原文は全編にわたって流れるような文章となっているため、意味を汲みきれなくてもつい読み進めてしまいそうなところがあります。
なので、訳・解説は過剰だけれど、ありがたかったです。
原文の大まかな構成としては、災害の話からはじめて、方丈の暮らしの話に移っていきます。
世の無常から自己の心へという構成は、例えば杜甫の詩でも多用されていますが、すごく収まりがいいですね。
平家物語の時代の災害について描写されているので、比較してみるのも面白いです。
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時代こそ違うが、同じ人間、思考する内容感じる内容は現代人と変わらず、驚くほどに共感できる。
1000年前と比べて間違いなく文明は発達しているものの、自然災害を前にすれば今も人間は無力である。
また、見栄や虚勢に左右され疲弊する様も同様である。
自分はどのように生きるのか、生きるべきか、現代人の我々にも問いかけられる。
ビギナーズ・クラシックの名前通り、現代語訳、解説は非常に読みやすかったです。別の版の方丈記もいずれ読みたくなりました。
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方丈記の原文と対訳が節ごとに掲載されている。解説も解説者の主観がかなり入っているように感じるものの、必要最低限で分かりやすかった。
出世の機を逃した鴨長明は隠遁を気取りながらも、社交界と接触を続け、天皇とも懇意にしていたという。そんな人物が自己を肯定したり否定したり、ブツブツ言いながら人生を模索するさまは普遍的な鬱陶しさがある。こういう人は古今東西いたし、誰の心にもこういう逡巡はあるものだなというのが分かった。
鴨長明は文章が非常に上手い。それは認めるし、それだけでも方丈記を読む価値はあるが、彼の人生観や思想に特筆すべき点はないように思う。
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著者、鴨長明。1155生~1215没ということは、平安末期から鎌倉時代前半に生きた人物であり、60年間の人生における社会の様相などをルポルタージュした作品である。
当時、世の中の様相は自然災害が頻発しており、長明が記している災害だけでも、大火、竜巻、飢饉、大地震等
と、被災した民衆は多数に及び、悲惨な光景を嫌でも目の当たりにしていたようである。
しかしながら、著者は一人暮らしであったほか、被災から守られ、むしろ客観的に、世の中の様子をとらえていたようである。現在でいうルポライター、またはジャーナリスト的な存在だったかもしれない。
この「方丈記」、まずは鴨長明の「無常観」から始まり、最後は彼の人生哲学で締めくくられる。
彼は、どちらかというと貴族階級に生まれたが、当時の世の中が貴族社会から武家社会への転換点を迎えていたことから、彼自身には武家社会に対する反抗心みたいなものもあったように思われる。
また彼は確かに貴族階級に生まれたが、跡継ぎ問題でモメ、結局その争いに負けてしまい、不具な環境下に放り出されることとなった人生であった。
誰かに常に守られ、手厚く扱われてきたような人生かが、一転して自分で生きていかねばならない境遇となった。それでも彼はけっこうたくましく、その環境に一人挑んでいった。
また彼は文才もあり芸術をたしなむ才能も持っていた。つまり彼は、一人で生きていける素養を持った人物であったということだ。
都の生活をしていた者として、都の様子に当然関心が向くのであるが、次々に起こる自然災害で悲惨な様相を呈している都の様子を見ながら、冷静な視線でルポルタージュし、そして思索を巡らしそれを記している。
彼は、自分一人で生きていくことの達人だったかもしれないが、人の為に尽くすという発想にまでは至らなかった。その点で歴史の名を遺した人物として、少々物足りなさを感じるのはやむをえないかもしれない。
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好きです
鴨長明の飄々とした語り口。
だけど彼もいろいろ大変だったようですね
人生の辛酸を味わってこそ描ける、水のように柔く濁りのない文体なのでしょうか
ゆく川の流れは…
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書き下し文を音読したくて買った。
冒頭の「ゆく河の流れは絶えずして…」の続きがどうなってたか気になって読みたくなった。
解説も含めて音読して読み進めて行ったのでめちゃくちゃ時間がかかった。そして、分かった。
これ、鴨長明のエッセイやん。
学校の授業で取り扱ったが、当時はどんなお話か全く理解しておらず、長年の時を経てようやく分かった。
時代背景の描写が無ければ、ただのブログと同じ。こんな中身だったのかぁ、と新発見。
終盤になってようやく気付いたが、解説が主観に寄りすぎ。好みはあるだろうが、古典ですんなりと意味が分からないからこそ余計な感情は入れて欲しく無かった。それが先入観となって、方丈記の見方自体に影響が出る。
古語の書き下し文を音読するのが気持ちいいので、古事記、方丈記と読んできた。次は源氏物語辺りも読みたいな。
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災害文学の授業ネタとして、初心者用のこのシリーズを読みました。現代語訳、解説を読んで長明の無常観を深められた気がします。後世に影響を与えた和漢混淆を音読しようと思います。
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教科書で扱う古典だが、きちんと読んだことがなかったので読んでみた。和訳が最初にあるのでわかりやすいが、解説はやや主観的で偏った印象。とはいえ、文面だけからは辿り着けない解釈が語られているので参考にはなる。
方丈記は、災害文学で、かつ隠遁文学なのだなと感じた。また、訳を読んでから長明の原文を読むと、その意味がわかりやすいだけではなく、長明の文章力がとても的確であることを感じられ、原文の方も楽しむことができる。
古典に馴染みのない人でも気軽に読めて良いと思う。星3つなのは、隠遁文学的なところと、やや解説が偏っていたことによる。