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小生の手元にあるのは、なんと!61刷!大正時代に著者が訪れた奈良付近の寺院巡礼記。筆致は今もなおみずみずしく読者に迫る。奈良に行きたくなる本。
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1979年刊行(改版前底本刊行1918年)。著者が若かりし頃、奈良を探訪し、見聞した神社仏閣、そして仏像等に関して、自らの意見と評価などを開陳した書。難しすぎた。多少、弁解すれば、仏像等の情報を知らず、知ろうともせずに読んだ自分が悪い。奈良にある仏像なんだけどなぁ…。いくつかは見たことがあるんだけどなぁ…(ただし、30年くらい前)。ただ一つ、著者に美術鑑定眼的素養があるとは思えないのに、その点を無視しつつ仏像の優劣・仏像制作者の優劣に関する評釈を下しているのは、いくらなんでも、どうかなぁ、と思う。
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「仏教論争」で名が出た和辻哲郎の名著を今さらながら読了。最初は日記がわりの短文であったものが、日付がなくなったあたりから考察に熱が入り寺仏への没頭が伝わる内容に圧倒されました。
この愛情の深さに比べて、それを単なる論争家の一人に堕する扱いをするのは、きわめて失礼だと思います。
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【仏像鑑賞におススメしたい本5選 番外編①】1979年に出版され、当時仏像ブームを引き起こしたらしい。私も現代っ子なので、そもそも読むのが難しく、かつ、好き放題語っている(笑)印象だけれど、著者も言っているように、若さも感じられる仏像鑑賞の金字塔。そのため、仏像鑑賞していると必ずどこかで引用されて登場するので一回読んでおきたい。
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大正7年の書。面白いのは、ただ古い寺のことを書いているだけではなくて、ガンダーラ美術やギリシア美術との関わりについてや、天平・平安の時代の日本の様子についてなど、そこから派生する様々な事柄を関連させて、とりとめもなくどんどん話題が広がっていくところだった。
だから、最初は寺のことを契機として書き始めていながらも、その話しがどうい展開をみせるか、まったく予想がつかない。筆者自身が、奈良をまわっている途中に出会った人のことや、宿や食事のことなど、雑談的なトピックも、他の話しとまったく同列に綴っている。
この本がいいのは、教科書的な解説ではなく、著者本人の純粋な驚きや熱気をそのまま書き残しているところだ。新しいおもちゃを前にして、この楽しさをどう表現していいかわからない子供のような興奮が文章から伝わってくる。特にいいと思った解説は、唐招提寺と、薬師寺の章だった。
この本を読んでいると、著者と自分が知り合いになって、その、やたらに詳しい知識を披露していただきながら、一緒に奈良の古寺をめぐっているような気分になる。
芸術家は本能的に物を写したがる。がまた本能的にその好むところを強調する自由を持っている。この抑揚のつけ方によって、個性的な作品も生まれれば、また類型的な作品も生まれる。時代の趨勢によっていずれか一方の作家が栄えるということはあるが、いずれの道によるも要するに芸術は個によって全を現そうとする努力である。(p.75)「写実」
やや境遇の似たギリシアの神像を取って考えてみると、われわれはその芸術的価値を比較するよりも、まず二つの異なった性質の芸術があることに驚かされるのです。すなわち人の姿から神を造り出した芸術と、神を人の姿の内に現われしめた芸術とです。前者においては芸術家が宗教家を兼ねる。後者においては宗教家が芸術家を兼ねる。前者は人体の美しさの端々に神秘を見る。後者は宇宙人生の間に体得した神秘を、人の体に具体化しようとする。一は写実から出発して理想に達し、他は理想から出発して写実を利用するのです。(p.208)「薬師寺について」
偉大な芸術はいかなる国のいかなる人の心をも捕うべきはずであるが、しかし小児が名画に対して強い感動を持たなかったからと言ってそれを怪しむ人はない。そのごとく仏徒の心情についていまだ小児であるものが、仏徒の心情と離すことのでいないこの画に対して、十分の感動を持ち得ないとしても不思議はない。わたくしはこの画に対する親しみのうちに、漠然とではあるが、なおこれ以上の感動の余地のあることを感ずる。(p.214)「法華寺弥陀三尊」
わたくしはそこにたたずんで当初の東大寺伽藍を空想した。まず南大門は、広漠とした空地を周囲に持たなくてはならぬ。今のように狭隘なところに立っていては、その大きさはほとんど殺されていると同様である。南大門の右方にある運動場からこの門を望んだ人は、ある距離をおいて見たときに初めて現れてくる異様な生気に気づいているだろう。(p.250)「当初の東大寺伽藍」
法隆寺の印象についてはかつて木下杢太郎へあててこう書いたことがある。
わたくす一己の経験としては、あの中門の内側へ歩み入って、金堂と塔と歩廊とを一目にながめた瞬間に、サアァッというような、非常に透明な一種の音響のようなものを感じます。二度目からは、最初ほど強く感じませんでしたが、しかしやはり同じ感触があって、同じようなショックが全身を走りました。痺れに似た感じです。次の瞬間にわたくしの心は「魂の森のなかにいる」といったような、妙な静けさを感じます。(p.258)「中門内の印象」
インドの壁画が日本に来てこのように気韻を変化させたということは、ギリシアから東の方にあって、ペルシアもインドも西域もシナも、日本ほどギリシアに似ていないという事実と関係するであろう。気候や風土や人情において、あの広漠たる大陸と地中海の半島はまるで異なっているが、日本とギリシアとはかなり近接している。大陸を移遷する間にどこでも理解せられなかった心持ちが、日本に来たって初めて心からな同感を見いだしたというようなことも、ないとは限らない。(p.280)「日本人の痕跡」
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本当に美しい日本語だと思う。
和辻哲郎の感動のポイントを読んでいると、すぐに奈良に行きたくなる。
うちからだと日帰りで十分いけるけれど、奈良ホテルに10日ほど泊まって奈良巡礼をしたくなってきた。
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読書会課題本。一時期、本書をきっかけに「奈良観光ブーム」が起きたらしい。それもわかるが。仏像への造詣が深いとはとても言えず、感想が表面的でツマラナイのが致命的。また、著者が本音では仏教徒も含めた宗教者全般を蔑んでいるのが伝わる箇所も多く「だったら参拝なんかするな」と感じて、非常に不快だった。きっと著者はタイトル通りの「巡礼」なんかしていない。訪問した寺で香を手向けるとか手を合わせるという行為を一切してないだろう。
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古寺巡礼
著:和辻 哲郎
紙版
岩波文庫 青144-1
大正7年著者が、友人と奈良付近の寺々をめぐった印象記とある
ギリシャ⇒インド⇒西域⇒中国⇒日本 を貫く、美術、技法の伝達
仏像をみてなまめかしい感触をもつなど、結構官能的、学術的にはちょっとはずしているのでは
天武帝や光明皇后などの逸話、万葉集と恋歌、そして、仏像とその作者への思い、など、和辻が案内する奈良の原風景は、時代を超えて日本という国が明確に成立した時代、白鳳時代へといざなってくれる
仏像、菩薩、まさに日本の至宝
東大寺三月堂本尊不空羂索観音
聖林寺十一面観音
法隆寺百済観音
法華寺十一面観音
薬師寺金堂本尊薬師如来
薬師寺東院堂聖観音
薬師寺吉祥天女(画)
法隆寺金堂壁画右脇侍
法隆寺橘夫人念持仏
法隆寺夢殿観音
中宮寺観音 等
目次
一 アジャンター壁画の模写──ギリシアとの関係──宗教画としての意味──ペルシア使臣の画
二 哀愁のこころ──南禅寺の夜
三 若王子の家──博物館、西域の壁画──西域の仏頭──ガンダーラ仏頭と広隆寺の弥勒
四 東西風呂のこと──京都より奈良へ──ホテルの食堂
五 廃都の道──新薬師寺──鹿野苑の幻想
六 浄瑠璃寺への道──浄瑠璃寺──戒壇院──戒壇院四天王──三月堂本尊──三月堂諸像
七 疲労──奈良博物館──聖林寺十一面観音
八 数多き観音像、観音崇拝──写実──百済観音
九 天平の彫刻家──良弁──問答師──大安寺の作家──唐招提寺の作家、法隆寺の作家──日本霊異記──法隆寺天蓋の鳳凰と天人──維摩像、銅板押出仏
十 伎楽面──仮面の効果──伎楽の演奏──大仏開眼供養の伎楽──舞台──大仏殿前の観衆──舞台上の所作──伎楽の扮装──林邑楽の所作──伎楽の新作、日本化──林邑楽の変遷──秘伝相承の弊──伎楽面とバラモン神話──呉楽、西域楽、仮面の伝統──猿楽、田楽──能狂言と伎楽──伎楽とギリシア劇、ペルシア、インドのギリシア劇──バラモン文化とギリシア風文化──インド劇とギリシア劇──シナ、日本との交渉
十一 カラ風呂──光明后施浴の伝説──蒸し風呂の伝統
十二 法華寺より古京を望む──法華寺十一面観音──光明后と彫刻家問答師──彫刻家の地位──光明后の面影
十三 天平の女──天平の僧尼──尼君
十四 西の京──唐招提寺金堂──金堂内部──千手観音──講堂
十五 唐僧鑑真──鑑真将来品目録──奈良時代と平安時代初期
十六 薬師寺、講堂薬師三尊──金堂薬師如来──金堂脇侍──薬師製作年代、天武帝──天武時代飛鳥の文化──薬師の作者──薬師寺東塔──東院堂聖観音
十七 奈良京の現状、聖観音の作者──玄弉三蔵──グプタ朝の芸術、西域人の共働──聖観音の作者──薬師寺について──神を人の姿に──S氏の話
十八 博物館特別展覧──法華寺弥陀三尊──中尊と左右の相違──光明后枕仏説
十九 西大寺の十二天──薬師寺吉祥天女──インドの吉祥天女──天平の吉祥天女──信貴山縁起
二十 当麻の山──中将姫伝説──当麻曼陀羅──浄土の幻想──久米寺、岡寺──藤原京跡──三輪山、丹波市
二十一 月夜の東大寺南大門──当初の東大寺伽藍──月明の三月堂──N君の話
二十二 法隆寺──中門内の印象──エンタシス──ギリシアの影響──五重塔の運動
二十三 金堂壁画──金堂壁画とアジャンター壁画──インド風の減退──日本人の痕跡──大壁小壁──金堂壇上──橘夫人の廚子──綱封蔵
二十四 夢殿──夢殿秘仏──フェノロサの見方──伝法堂──中宮寺──中宮寺観音──日本的特質──中宮寺以後
解 説…………(谷川徹三)
ISBN:9784003314418
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:296ページ
定価:900円(本体)
発売日:1979年03月16日第1刷
発売日:2006年10月05日第52刷
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大正時代からのロングセラー!
日本人として数十年生きてきて
観光や日本史の授業で見てたり
ちらっとテレビ等で観てたりする
お寺さん 仏像 歴史の知識 など
無意識に刷り込まれてるものを
掘り起こして読んでる感じだった
奈良に行きたくなった!
じっくり1-2週間滞在して
また読み返したい