国家は頼るものではなくお得に利用することを少しは考えてみるのも良いかも
2011/05/06 22:42
7人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rindajones - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は半年ほど前に途中で読むのをやめた、理由は忘れた。内容がつまらなかったのか、他に読みたい本があったからか...。でも今回は前のめりに読んだ。
相変わらずイケテナイように思える著者のタイトルなのですが、本書の内容が分かればこのタイトルも「なるほど」と納得する。このタイトルを微妙なものにしている要因の一つに、「貧乏」という言葉が醸し出す「悲惨さ」「惨めさ」があると思う。言葉の定義上では「貧困」よりもましな状況を指すようですが、決してポジティブな言葉ではありません。
さらに「お金持ち」という言葉も曖昧です。数値でおいくら以上の保有者を「お金持ち」と呼ぶのかという定義は存在しません。明らかに相対的な評価でしかない。「イタリアのバイクを持っている」からといってその人が必ずしも「お金持ち」とは限らない、「お金持ち」と見られる確率が少しばかりは上がるかもしれません、所詮その程度です。
本書の主な内容の解説は書きません。ですが、一点だけ。本書はお金の「稼ぎ方」を指南していません、そして「生き方」のアドバイスを決してこの著者はしません。巷にあふれる、少々おせっかいな「こう生きよう!」的な本ではありません、寧ろその反対かも(笑)。言うなれば
日本国をもっと有効(お得)に利用しよう
ということでしょうか。曖昧で恐縮ですが、ご興味があればご覧になって下さい。
さて、相変わらず著者の取り上げる話題や思考は興味深い。今回もっとも「へぇ〜」的に思ったのは、戦後のアメリカ企業の姿から現代へ至るまでの変化。
欧米人から「組織人、会社人間」と評される日本人ですが、実は1950〜60年代のアメリカ人こそが「組織人」だった。会社は家族であり社員はその子ども、だったそうだ。確かにその当時の映画やTVドラマが描くアメリカにはそんな雰囲気があり、現代のとは明らかに異なる。
そんなアメリカの会社というかビジネスを大きく変えた(脅かした)のは、更に強力な家族型企業である日本企業による製品、そうです Made in Japan の台頭です。電化製品はもとより、アメリカのお家芸的でもあった自動車産業をトヨタやホンダは駆逐していった。このあたりから私の記憶もリアルタイムになり、日本車を大勢のアメリカ人がボコボコに叩いて壊す報道は今でも鮮明に覚えている。これが70〜80年代。
そして「明日は我が身」という感じで、日本製品が駆逐される分野も多くなった昨今です。これはいつ頃から始まった変化なのでしょうか?「バブルの崩壊」からでしょうか?個人的にはデジタル製品、デジタルサービスが台頭してきた頃からだと思っています。つまり、日本企業は完全にデジタル時代のスタートダッシュに遅れました。「アナログ技術」があまりにも得意過ぎたので無理も無いとは思いますが、既得権益にシガミツキ過ぎて変われなかった面もあったのではないでしょうか。
「中国製は...」「韓国製は...」「台湾製は...」と嘆くお方がお使いになる日本製品の部品の大半が、これらアジアの国々で作られている事実はもう珍しくはない。寧ろ、全ての部品が日本製品なものを探すのが難しい。「誰が作っても高品質」という、ある意味において日本が推し進めた「モノヅクリ文化」を体得したアジア諸国が、今の日本企業の最大のライバルという皮肉な現在...。
日本製品に駆逐されたその後のアメリカについては各自の見解にお譲りします。日本が全てにおいてアメリカの後を辿っているとは思いません。しかし、その後のアメリカを知ることは、これからの日本を想像するのに大いに参考になるのは間違いありません。
国家より先に個人があるというのが僕の一貫した主張。なので「国に頼る」ことが先にくることはありません。しかし、本書にある「国家を利用しよう」という考えは面白いし、トライしてみようという知的好奇心もくすぐられた。「頼る」ことが先にくる方たちの行く末は「ボケ」ることなのかもしれません(直接的でスミマセン)。何かに頼りっぱなしの人生なんて僕は嫌だな、その反対の「自由」を限りなく楽しみたいものです。
まずやりたいことをみつけて,それからこの本を読もう !
2011/08/08 11:10
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は大企業や国・自治体などを映画館にたとえて,映画館にはいれたひとは努力せずに高給がえられるが,それによって映画館はちぢんでいくので出口付近のひとはおしだされるし,外で待つひとは中にはいれないと書いている. そういう映画館にはいれないひとはフリーエージェントになることをすすめている. そして,フリーエージェントにとっては 「マイクロ法人」 がやくにたつこと,どうすればそれをいかすことができるかを,くわしく書いている.
しかし,この本はマイクロ法人を運用する技術についての本であって,フリーエージェントになってなにをするべきかをおしえてくれる本ではない. やりたいことがきまったら,そこから最大の利益をえて,やりたいことを継続していくための技術だ. ウマい話がいろいろ書いてあるが,やりたいことがないひとには,なんの役にもたたない.
マイクロ法人を作る
2018/12/31 07:50
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投稿者:ライサ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の内容を要約するとタイトルの通りとなる
いかに日本の中小企業が優遇されまくっているか。そこが嫌になる程わかる本でもある
個人で出来得ることに限界はあるが、そこ限界をマイクロ法人を作ることで突破できる可能性が大きい、と
しかしなぜか終盤になると若干トーンダウンする
コラム形式で書いていたものなので読者からの批判が多く、その反論も載せてくれているのは好感を持てるが作者がトーンダウンする気持ちもわかる(法人に関する批判はない様子。むしろ介護業界などの生産性の低い業界の現場からの無理解な批判が大半のようだ。やっぱり)
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独立して事業主になれば、税制上は貧乏な事実上の金持ちになれる。なるべきだ、目指せ、という。
ベンチャー企業に入ったチャレンジャーのつもりだったのに、いつのまにか既得権益防衛*群*のメンバーになっていたことに気がついた。
何から何を守ろうとしているのだろう。
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橘玲氏の東京電力の原発事故対応に関する記事が、とても興味深いものだったので、氏の著作を読んでみようと思ったのがきっかけでした。
とても読みやすく読了しました。
個々のサラリーマンがマイクロ法人化することで、報酬は最大限に、税金は最小限にできます、というのが本著の主旨になります。
つまりフリーランスのための節税対策本なのだけれど、
節ごとに社会的に話題になった事例を取り上げて解説してくれているので、理解がしやすい良書でした。
本著を読んでいると、とにかくマイクロ法人はいいことずくめで、うまく活用していけば、確かに所得は無いけどお金は自由に使える「貧乏はお金持ち」になれる気持ちになります。
でもそれには前提があって、その前提は本著にはほとんど書かれていません。
その前提は、「お金を稼ぐ能力が十分に備わっている場合において」ということです。
その場合において、本著における節税が初めて生きてくるのだけれど、その前提について書かれているのは、あとがきの3行程度だったり。
なので、レビューではこの前提ははじめに言っておきたいです。
たしか年収900万程度を境に、累進課税でかかる所得税より、経費等を計上した法人税のほうが税率が低くなる、とあったと思います。
なので、年収900万程度稼げる能力を持っているひとのためのお話として読んで頂ければと思います。
(もちろん、いまの年収が400万の人であっても、カフェを開業したり、組織を離れたりしたら、一転もっと「稼げる人」になることだってあると思うので、一概に言えないし、とてもタメになる話が多いのでやっぱりお勧めです。)
著者が本著において、特に強調して伝えているマイクロ法人のメリットが個人が法人という「もう一つの人格を手に入れることができる」という点です。
これにより、個人の家計簿と法人の財務諸表を連結させることができる、法人として融資を受けやすくできる、といった話が展開されていきます。
個人と法人という人格を上手く使い分け、個人の消費を法人の経費とする、お金の管理を一元化する、そして別々に払っている税をひとまとめにして最小限にする。
どれも、節税対策としては基本的なことばかり書かれているのだと思います。
でも本著で、それぞれの考え方や原理を知っておくことができたのは良かったと思います。
こういった本ですらすら読めるほど巧く作ってくれている本も少ないのでは、と思うと貴重な良書です。
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マイクロ法人設立のために何が必要で、どうすべきかを具体的に記した1冊。会計の知識とファイナンスの知識を武器に、「法人」としての人格と「自然人」としての人格を上手に使い分けることにより、サラリーマンをしながら会社経営をできるといったことが書かれている本。「社畜が理想の人生」ということに疑問を持つ人なら、一考の価値があると思います。また、株式投資を行うときに役立つ財務諸表を見ると思いますが、財務諸表のカラクリをとても分かりやすく理解できるような説明をしてあります。
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出来る出来ないは、別として、読んで損はないかなぁと思って買いました。
で、個人的は、今の仕事では、無理かなぁ。と。ただ、出来そうなところはやってみたいんですけどね。
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立ち読み:2011/7/31
「臆病者のための株入門」を読んでからというもの、この人の著作は気になる。
どうでもいいが「投資を実際にやってる人」が書いた投資本は「本当に儲けられる方法を知ってるなら本なんて書く必要がない」という論理で退けられ、「投資を実際にやってない人」の書いた投資本は「自分でやったことのないやつの言うことなんか信じられない」という論理で退けられるのだなぁ…。
この世に投資本なんてホントは存在してるはずがないんじゃないのか。
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マイクロ法人の項がアメリカで色々見て来た実際の話なので大変参考になった。つまり、「サラリーマン」では全て天引きで自分でやりくりできないということ。磯野家を実際に例にして財務諸表を使い、磯野家の経営を数字で説明し、マイクロ法人の利点について理解が深まるように書いているのは大変良かったが、実際に実現させようとなると・・・日本ではエージェント・コンサルタント形式での雇用が一般的ではないのでなかなか難しいのではないかと思う。
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この本の著者である橘氏は、サラリーマンで生活するよりも、マイクロ法人化することで税金をコントロールすることで、可処分所得を大きくすることができるメリットを解説しています。
同様な考え方は、「金持ち父さんシリーズ」を書いたロバート・キヨサキ氏も述べていたと思いますが、橘氏は日本の税制に沿った、日本人に役立つ方法を述べています。
とは言うものの、彼の提案を実際に実現できる人は、限られているのではないかと私は思いました、このような偏見を持っている限り「自由人」になるのは難しいのかもしれませんが。
以下は気になったポイントです。
・若いときは人的資本で稼いで、年を取って働けなくなると金融資本と年金で生活する、というのが一般的なパターン(p11)
・サラリーマンとそれ以外の企業家において、ひとつ決定的な違いは、サラリーマンが企業活動の主要部分(会計・税務・ファイナンス)を会社に委託してしまっていること(p14)
・もともと「成果主義」は、年功序列制度を維持しつつ、若手社員の人件費を抑える手段として導入された、なので若者は会社に見切りをつける(p46)
・日本企業には減給制度がないので、実質インフレをマイナス2%とすると、定年まで雇用が保証されて毎年2%昇給していくのと同様、サービス価格が値下がりするのに人件費が変わらないので企業利益は流出する(p54)
・日本で派遣労働がこれほど急速に普及したのは、解雇規制が強すぎて容易に社員を雇えない、中高年を解雇して若手を中途採用すると違法とされる(p56)
・大統領選挙のたびに指摘されるように、アメリカは共和党を支持する南部・中西部の「赤いアメリカ:進化論否定の原理主義」と、民主党を支持する、東部・西部の「青いアメリカ:リベラルでカナダと協力」に分断される(p75)
・19世紀半ばまでは、産業資本家は電力確保のために工場の近くに工業用水や蒸気機関の設置が必要であったが、半世紀後にはすべて廃棄可能であった、効率的な発電技術と送電ネットワークの完成による(p82)
・10年間海外を放浪してきた若者が職を求めにやってきてもネガティブであるが、その若者が会社社長の名刺をだしたのであれば、ポジティブにとられる可能性はある(p107)
・アメリカのフリーエージェントがマイクロ法人を設立する一番の理由は「有限責任」、日本ではそれを認めていたら正常な市場経済が成立しないので、中小企業は融資を受ける際には社長等が連帯保証人になる(p119)
・当時の有限会社法(1940年)は、一般事業者に有限責任を与える代りに、1万円(現在時価で2000万円)の高額最低資本金が設定された、株式会社にはその規定はなかった(p121)
・現在で株式会社を設立したい場合には、最低でも20万円(定款認証手数料:5万円、登録免許税:15万円)かかるが、合同会社は6万円の登録免許税と雑費のみ(p134)
・エンロンは大胆なM&Aで巨大企業になったが、巨額の利払いに苦しむことになり、虎の子の天然ガス井を売ってしまい、ネットワーク(パイプライン)のみを有する会社になった(p164)
・エンロンがイノベイティブであったのは、経済活動のすべての領域にシンプルなビジネスモデル(インターネット上で巨大な私設市場を取引する)を支配しようとしたこと(p165)
・中小企業には30万円未満の資産を一括して経費処理できる特例が認められているので、これを利用すれば、自宅用のテレビなども法人経費となる(p220)
・自宅を事務所として利用する場合、家賃相当分の2分の1までは原則として認められる(p247)
・白色申告では、所得合計が300万円以下では、記帳の義務が免除される、すなわち領収書も帳簿も不要ということ、確定申告の際に「収支内訳書」を書くのみ(p250)
・毎年100万円を株主に配当する会社は、毎年100万円の賃料を生み出す不動産物件と同じ(p305)
・Sクラスベンツの4年落ちを600万円で購入、耐用年数まであと2年なので、定額法では年間300万円を損金、中小法人の実効税率を30%とすると、年間90万円、2年間で180万円の節税、さらに6年落ちのベンツが中古市場で300万円で売られていたとすると、含み益が300万円となる(p315)
2011年9月11日作成
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マイクロ法人ってのは、会社との雇用を正社員じゃなくて、独立した業務委託社員契約でってお話だと理解した。
けど、実際の社会では、難しい・・・。
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公的年金が破綻しているという前提で書かれているが、その根拠はどこにも示されていない。誇大に書くことで、現状を深刻に映し出す。そこで貴重な情報に出会ったように読者に錯覚させるのが、著者の得意なテクニック。もっと心豊かに人生を描きたいものだ。
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これから独立を考えてる方やそれなりの収入のあるサラリーマンには一読の価値ありでしょうが、個人的に読む前に思っていた内容と違ったので評価は下げました。ただ、会計の仕組みや法人化の利用方法などなるほどと思わせることもあり、確定申告と無縁の暮らしをしている者にはいい刺激になりました。
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「好き」を仕事にしたい人たちのためにと、フリーえじぇントやマイクロソフト法人のファイナンスと税務の基本を紹介している。会社や国家のくびきを離れて自由な大海原に帆を揚げる時にはこうした知識がきっと役立つはずだ。(本書より)
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丁度独立を考え始めていた頃に読んだので、税金・社会保険等の知識が非常に役に立った。
役所も積極的には発信しないし、僕たち国民も知ろうとしない。ただ、知っているのと知らないのとでは、人生に少なからず影響がある内容だと思います。