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少年少女の初めての性の前後における心身の繊細な描写と避暑地の風景。
大人は影。少年に初めての性を教える年上の女性も影。
少年と少女にもだんだんと影が差していく。
そしてまだ残る童心の輝きや色彩豊かな風景と、迫り来る影とのコントラストの中に切なさ、甘酸っぱさがあるんだろうな。
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あまり期待していなかったが、意外と面白かった。幼なじみの15歳の少女と16歳の少年がお互いを意識し始めた。そこに年上の若い女性が現れた。よくありそうなテーマです。各々の心の動きがうまく描かれていました。
また、解説の第一次世界大戦前のフランスにおける恋のパターンがフランス文学を読むのに参考になりました。6パターン分けされていました。ぜひご一読を。
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純粋に愛し合うがゆえに関係が変わってしまうことを恐れ危ういバランスの上にたっている少年少女と年上の女性。今読むとかなりありがちなストーリーだが、解説を読むと1922年のフランスの小説としては画期的な内容だった模様。
しかし、思春期まっただ中の少年少女の揺れ動く繊細な情感を瑞々しく描いていて、心理描写と密接な関係を持っている随所に挟まれる植物、風景の描写も凡百の似たような小説とは一線を画すかと思われました。
でも個人的にものすごく苦手なタイプの小説です・・・。
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小説自体も面白いのですが、あとがきが特に興味深かったです。
あとがきでは当時の恋愛事情がまとめられています。
なぜこの「青い麦」が当時のフランス文学界に衝撃を与えたのかを説明するためですが、
私が長らく疑問に感じていた、フランス小説で人妻と若い青年の恋愛が多い理由が分かり、なんだかすっきりしました。
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お酒が入ってて、苦いオレンジみたいな味がした。フランスの恋って、もやもやしててクラクラするのかな、読んでると。
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光文社古典新訳文庫シリーズの特徴は、奔放な翻訳と優れた解説、この二点だと個人的に思っている。
その意味で、コレットの『青い麦』を河野訳で読むことの面白さは、彼女の明快な解説と共に評価するのがよいと思う。彼女の解説は、若い男女の恋愛を描いた『青い麦』のテーマは、いかにもありふれて見えるのに、なぜ仏文史上「新しい」ものだったかを、コレットの伝記的事実も交えながら、分かりやすく、興味深く説明している。
本作を読んでまず目にとまるのが、夏の海辺の家を背景にした爽やさな情景。そして、十代の男女恋愛がもつ苦々しさを繊細に描いた巧みな心理描写である。謎の三十女が登場する展開は、フランス文学のおなじみのものだが、二人の主人公の関係が変化するための契機として効果的に使われている。直接的な性描写を排しているのは、何も彼女が性的なことがらに嫌悪感をもっていたからではなく(そうでなければストリップ同然のパントマイムを仕事になどできないはずだ)、十代の男女のぎこちなさを表現するのに適当だったからであるようにも思う。
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15,6歳の頃って根拠のない自信と、将来への不安が交互にやってくるよなあ、と共感。
フィリップもヴァンカもお互いのことを好きで、支配欲すら併せ持つくらいなのに、随所で不安が現れてくる。そんな心の動揺を、あえて悪く言えば執拗なまでに描いてた。おかげで、自分まで彼らの考えの中でぐるぐると堂々巡りしそうになるくらい。心情表現そんなにするのかと。
海外作品にしては平易で読みやすかったけど、登場人物に共感できないと読めないと思う。
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「シェリ」「シェリの最後」「青い麦」とコレットを読破。あまり恋愛小説は得意ではないな。私自身がレンアイに向いていないのかも。
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16歳の男の子が15歳の幼馴染と「大人の関係」になりたいんだけど、どうしていいかわからないでいたら、三十路を過ぎたマダムに誘われて…ってお話。
ところどころの描写にラベンダーとかタイムとかいろんな香りが出てくるんだけど、内容は全体的にモワっとしていて、好みのお話ではありませんでした。
作者さん自身も40代のときに30歳年下の再婚相手の連れ子さんと危ない関係だったそうで、おフランスはすごいな~と思いました。
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解説とあとがきを読んで、「なるほど、こういう話だったのか」と納得した部分が大きい。本編だけを読んだ印象としては、夏の描写が綺麗だと思った。そしてこういう恋愛の話は苦手だとも……。
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最初は正直フィリップの青さにすごくイライラした。けれど最初薄っぺらいと思っていたヴァンカがストーリーを追うごとにすごく面白くなった。最後の方はとくによかった。あとはちょいちょい訳の言葉遣いが気になったのでフランス語をもっと勉強して自分で原書を読んでみたい。
p.134「だって、わたしにいじわる言ってるあいだは、そこにいるでしょう、あなた……」
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文章の中に色彩と香りを閉じ込めた素晴らしい物語だった。不器用な幼い恋をヴィヴィッドに灼ける青い夏に、秘密と嫉妬というほろ苦い果実の味を知った二人を深い群青の秋の憂いに映す鮮やかな筆致。短い夏を毎年海辺の別荘で過ごすフィリップとヴァンカに訪れる、微妙な恋の温度差。ことに年上の女性との逢瀬のあと夜更けの丘で逡巡する場面と、少年の秘密を知ったヴァンカの心情との対比が実に見事だった。雲が太陽をよぎる瞬間の静寂、タイムの葉を包む手に移った香り、朝焼けに赤くたなびく靄。フランス映画を観ているような映像美に溢れていた。
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おフランス…!という感じでした。
ヴァンカ、本当に15歳?家庭的通り越してる気がしますがこの頃の外国の娘さんはこんな感じなのかな…
カミーユのせいで…みたいになってたけど、小さい頃からお互いを知りすぎてるというのも問題アリなのかもしれないと思いました。苦い。
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幼馴染と、夏に出会ったマダム。ああ、僕は。
フィリップは別荘で夏休みを過ごしながら、幼馴染のヴァンカとすれ違う自分、マダム・ダルレイに惹かれていく自分をもてあます。大人になりゆく少年の戸惑いをみずみずしく描いた作品。
この作品は、「若い男女の恋」を描いたことで画期的だったそうである。なぜかというと、それまでフランスには「若い男女の恋」がなかったから。恋愛マスターのフランス人をイメージすると「!?」となってしまう。それまでのフランスの恋愛は、若い男と人妻だったり、男と高級娼婦や階級が下の若い娘との金銭的恋愛だったりと、ベテランが若者を導くような恋しかなかったらしい。
本文は「あーはいはいわかるわかる、夏休みの別荘、年上の女性、ひと夏の体験、思春期、ヴァンカの気持ちをわかってあげろ、しかしこういう年代ってあるある」など、通常運転のオシャレなフランス文学と思って読んでいたが、解説でその話を知ってびっくり。あらためて、新しい恋愛を描いたコレットの才能に感服。現代でもこういう話あるよな、と思うのは、いつの時代も普遍的な人間の姿を描いているということ。
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鹿島茂さんの解説によると、恋愛の本質はイニシエーションらしいです。
はて?
その辺りは自分にはよくわからないけれど、フランス文学や作者についての解説がわかりやすくて良かったです。