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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、この小説をすごく褒めていた同級生がいたのですが、自分は、その同級生のことが好きではなかったので、この小説はスルーして読んでいませんでした。しかし、映画化された作品と聞き、読み始めたのですが…。まぁ書かれた時代ならば斬新かも?
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高3の夏休み、図書館で借りた一冊の本。それに稲妻が走ったような衝撃を受けました。
今までになかったような、心理描写を冷徹に追っていく文章構成力に一気に引き寄せられ、その本を読んだ時から、大学の学科志望はフランス文学に決まりました。
それは、ラディゲの『肉体の悪魔』という本でした。
この本を読まなかったら、仏文を選択することもなかったので、これは私の人生を変えた一冊だと思っています。
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すばらしかった。感嘆した。
話の内容は本のタイトル通り、いやむしろ、そのままであるので、本の中を読まずしても話の筋はわかってしまうかもしれません。
この作品でおもしろく感じたのは、今の心理状況を説明するために作られた文章たちで、平易な言葉によって適した表現をしているところにあると思います。
私の好きな読み方ができたので、本作は最もおもしろい部類になります。
2008.04.27. 22:10 自室にて読了
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翻訳本には苦手意識があってほとんど読まないのですが、友人に誘われた私的な読書会の課題図書で、さらに光文社古典新訳文庫がおすすめと紹介を受け、本書を手に取りました。
家にあったカビくさいような世界文学全集とは違って、みずみずしく、時代を感じさせないような訳文には「ほぉ!」と思う。読まず嫌いはよくないのかもしれません。
世界大戦中の混沌とした時代ということが過分に影響していたとはいえ、やはり16歳で書き始められたということが信じられない。年上の女性との濃密な恋愛に溺れながらも、愛のかけひき、肉親への冷静な視線など、、「早熟」という言葉で片付けられない気がする。ラディゲって。
とはいえ、ヤワな恋愛の域をとっくに超えているのに、両親や彼女の親との関係性が出てくるあたりに、大人になりきらないアンバランスさが垣間見え、そんなところが当時の文壇で受けたのかな、なんて思ってみたり。
読み終えて、おもしろかったのか、そうでなかったのか正直わからないけれど、このようなみずみずしい訳本に、高校生の時に出会っていたら、、とは思わずにはいられない。
と書きつつ、夏の読書感想文でこの本を取り上げていたら、国語の先生も評価しにくいだろうから、ひっそりと読み継がれてほしい1冊の気がした。
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ここ(「肉体の悪魔」)には愛にまつわるすべてがある!そして、愛は結局、エゴイズムなんだよなぁ。
男や女の恋愛におけるエゴ。家族がお互いに抱く愛とエゴ。
それらをニヒリズムを背景とした、冷徹なリアリズムと詩的なフレーズで描き出す。
自らのエゴを真っ向から受け止め、分析的に、自分とその周辺を俯瞰的に見取る力はものすごい。
読む前は「きっとなんだか青臭い青少年の恋愛話なんだろうなぁ」と思っていたけれども、とんでもない!老練ともいえる文章で、いくつも共感したり、感心したり、心に刺さるフレーズがあった。読了後はちょっと、遠い空を見たい気持ちになったというか。
分析は怜悧だけれども、言葉のひとつひとつには人間の熱い血潮を感じる。それが若さだと言えば、若さなのかもしれない。
なぜ、18歳という年齢でこれほどまでに人間の真理にたどり着くことができたのだろうか。どんな恋愛をするとこれほどまでに恋愛を主観的かつ客観的にとらえることができるのだろうか。年齢からしてもそう数多くこなしたわけじゃないんだろうになぁ。
ストーリーというか、起る物事というよりも、彼の「人間観察力」に感嘆したのだなぁ。
やっぱり、天才っていうのはいるんだな。
今回、参考に、同じような青年の恋を描いたものとして、ツルゲーネフの「初恋」も読んだのだけれども、こちらの方が、青春を美化しているような、やさしい目線を感じる。一方ラディゲは本当に容赦ないんだよねぇ。
そして、同時代の作品として、ランボーの詩もつらつらと読み返していたのだけれども、こちらはやはり少しラディゲと通じるものを感じた。この時代の早熟な青年が到達する境地としてもしかして近いものがあるのかもしれない。 (2008/Dec)
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17か18歳でこのような文章を書けるのは驚嘆に値する。たしかにこう言うことができるだろうが、もっと年月を経てから書かれた作品であってもこの文章は驚嘆に値するだろう。おしくもラディゲの生涯は20年という速さで閉じられたのだが。神は優秀な者をはやく手元に置きたがるなんて、ガラにもなく惜しい思いをする。
さて、本書の内容は年上の女性との不倫であり、不倫に溺れてゆく心情である。このテーマ自体は極めて凡庸である。しかし、感情とはなんと文章にしがたいものであろうか。自らを美化してみたり、相手方を辱めてみたりと素直に表現することが大変困難なのである。それは無意識にそう思い込んでいるために一層タチが悪い。10代というもはや奪われた年月を思っても仕方がない。勝手に自分の中で美化して、「俺は若いころはよぉ〜」的発言はしないようにしたい。10代には10代の苦しみがあり、今には今の苦しみがある。比べることは何の意味もない。
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わたしの個人的好みとして、不倫ものってすきじゃないんだなあ。あとこういう後ろめたい幸せと触ったら切れそうな危うい思春期の恋は読みやすい平易な文章だと魅力が伝わりにくいかも。もうちょい重い訳を読んでみたい。
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ちょっと硬質な文章が肌に合わなかった。
主人公、そして若い作者の鋭い観察眼が見事なだけに
思春期の少年とは思えなかった。
もちろん考えさせられる文章もあっただけに、ちょっと期待外れで残念な印象です。
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■学び(見たもの・感じたもの/テーマ)
(1)恋愛とは、各々のエゴイズムがぶつかり合うこと。ぶつかり合うことによるこの衝撃は何にも勝り、魅惑的な甘味をもって人間の心身を支配する。
(2)フランス文学には、恋愛における人間心理を精細に分析する伝統(心理小説)がある。「精神の純潔」をテーマにしたもの、また「悪魔的な官能」がテーマになる。(解説より 中条省平)
(3)ラディゲの文体は硬質で冷たさがある。人間の心理と感情を、機械のように動く純粋なメカニズムとして分析する。(解説より 中条省平)
■感想
「文学と呼ばれる名作」がなぜ私に合わないのか、この疑問が解けるキッカケとなった作品でした。個人のエゴイズムを正当化しながらの葛藤を見せつけられるのが生理的に合わなかったのだと思います。特に恋愛小説ものというのは、自分勝手なエゴの暴走、それによって生じる良心の呵責、また葛藤の繰り返しですからね。うんざりしてしまうんです。
でもこの作品は面白かったです。ストーリーはありふれていますが、解説にもある「硬質な分析」が好みでした。特に残虐性をも認めて隠していないところです。残虐性は特殊なものではなく、これが自然な人間というものではないでしょうか。世界大戦を体験した者が目の当たりにした今までの道徳観や倫理観というものの正体や、人間の本能にメスを入れた鋭い洞察、正当化せずに全てを認める潔さが好みでした。
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彼の愛情は殆どが幼さと性欲に言い換えることが可能。まあそう読まれることを自覚して描いている感はある。数年前の自分の姿を徹底的に俯瞰して書いているところはすごい。しかしマルトちゃん頭弱いすなー
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自分が心の中で取り留めなく思っていたことが、はっきりと文章として描写されていて、共感できる箇所が度々あった。感情描写が緻密な作品だと思う。文体が硬質なので大人びた印象の主人公だが、彼もマルトも精神が幼い(と言うか年相応?)のように思う。
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恐ろしい小説でした。
あらすじは、15歳だか16歳だかの若造が、19歳の人妻に、
旦那が第1次大戦に出征しているのをいいことに不倫する、といった内容。
主人公の「僕」が1人称で淡々と語るという手法を採っているが、
恐ろしいのはその起伏。大きそうでありながら、微動だにしないという印象。
時にサディスティックに人妻を激しく罵り、傷つけ、欺き、
時にマザコンのように甘く、しどけなく、年齢後退のように甘える。
人間の心理が非常に巧みに描かれているが、どこか異質。
それぞれが突飛でありながら、一貫性をもって成立しているのは、
語り手である「僕」自身が、そのまま「僕」を観察対象としており、
文章に、一切の呵責や躊躇いを感じない点に秘密があるのでは、と感じた。
この作品を著した著者は、20歳で急逝したという。
自伝的要素も強いという本作。不気味な質感の小説でした。
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人を愛することの喜びと哀れさ。2人の関係はどうなるのかとドキドキしながら読む。タイトルはこうだけど、性描写は一切なし。
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十五歳の男の子が女のひとと遊ぶはなし
思春期特有の愛慾と愛情の混合。結果的にイコール。たぶん女のひとはずっと変わらない
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超クールな15歳の少年が19歳の人妻マルタと不倫愛に陥る話。
少年が肉体に溺れることもなく覚めた目で観察してるのが怖いところです。妻を信じてるジャックが不憫。