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公家でしかも年少の北畠顕家は、まさに蘭稜王のイメージそのまんま。美少年のイメージが強かったですが、本書ではなんとも男らしいです。
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「お待ちいたします。安家利通は、命の続くかぎり、北畠顕家様をお待ちいたします」人を星に例えるならば、北畠顕家はまさにそんな人だった。夢を託す、夢を見る、夢を追う・・・こういう話好き。顕家なら私もついていく。若くして完全無欠の人っていうのは、命数を与えてもらえないんでしょうかね。
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オープニングは主人公、北畠顕家(きたばたけあきいえ)が陸奥守に任じられて若干16歳で
奥州入りするところから始まる。
安家太郎(秀通)が山の中からその行軍を見るところから始まり、次には親房(顕家の父)が
六の宮(義良親王、六歳)を膝に抱いて輿に乗り、その行軍の中からの風景だ。それを経て、漸く登場するのが顕家だ。
もーなんつーか、さすが、としか言いようのない初っ端から引き込まれまくりのストーリィで。
時代は南北朝時代、わずか4歳で従五位下になり凄まじい勢いで朝廷に登り詰めた顕家くんの、
21歳で終える生涯を詰め込んだ一冊だ。
学問に秀でたところがあり、後醍醐帝にそれを見込まれたのか、陸奥守に任じられたのだが――それまで
朝廷人だった顕家に、武人になれ、と言うようなもので、しかしやっぱり只者ではない顕家くん。
新陸奥守を警戒していた安家一族を筆頭に陸奥を素早く治めてしまわれる。
ただの若輩者、と侮るものなど1年も経たないうちにいなくなる。
顕家くんがしでかした歴史の事実は、まぁ年表見るかこの本を読んでくれ、と言うのが早いのだけれど!!
あ――くそ、叫びたい!!
クタバレ足利直義!!(尊氏の弟)
こいつがこいつが大塔宮を・・・・!! と本を引きちぎりたくなるほどの怒りでした。
本当は、足利の棟梁である尊氏を憎むべきなんだろうけれども・・・なんだろうな?
他の本を読んでいるからかもしれないが、どうしても・・・尊氏くんは捻り潰したいほど憎くならない・・・
不思議だ。
顕家が素晴らしい人物なのは、集まる武将たちが命を懸けるところを見れば一目瞭然で。
さらに顕家の最後は八万の軍勢に百騎足らずの自軍で打ち向かうもので、そのとき21歳。
その若さは、若さゆえ、誰もの心をひきつけたし、周囲への目の配りようもまた信頼を大きくさせるもので。
尊氏が顕家を脅威と感じるのも無理はない。
顕家の人生は、まさに公家ゆえにさらに出来る人物ゆえに、時代に振り回された、とも言える。
けれど私の心を捕らえ打ち振るわせるのは、彼が自分の人生を自分に悔いなし、と生き延びたと分かるからで。
この読みにくい漢字の人物は、一生私の頭から消えることのない存在になってしまわれた・・・
北方さんの時代小説を、ここから入れたことに秋野は感無量でございます。
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2012年10月 12/85
2009年02月 6/19
たぶん、3回目くらいの読みなおし。北方南北朝シリーズの2作目、北畠顕家の物語。基本のパターンは同じなのですが、毎回ハマるこの熱さ。
ゆるい日々に活を入れるドーピングみたいな感じ。
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鎌倉幕府倒幕後から室町幕府成立までのわずか数年間、
武士ではなく、皇族による政治を守ろうとして奮闘する一人の青年の生涯。
主人公がとても魅力的な人物。読みやすく、ドラマチック。
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なかなかまとまった時間が取れずに読み終わるのに2ヶ月近くもかかってしまいました。北畠顕家が、どうにもリアルでなく義務のようにナイトキャップ代わりにダラダラと読んでしまいました。本当にあんなすごい16歳が実在したのだろうか?
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南北朝、義良親王(のちの後村上天皇)を奉じて北に下った、北畠顕家の物語。短い生涯を彗星の如く生きた人。南北朝、よく分からないわって人でも、これだけでも読む価値はあると思う。とても面白いです。
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16歳で陸奥守に任官された、ある意味天才の武将・政治家である北畠顕家が、天皇制を守るという義ために、陸奥に理想国を建国するという夢を果たせず、21歳の若さで死んで行くという、如何にも北方謙三らしいロマンを描いた作品です。
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太平記物で北畠顕家が主人公の作品です。
16歳で陸奥守となり東北地方を治め、尊氏の反乱後、破竹の勢いで京まで攻め上る天才武将。
足利尊氏、佐々木道誉、楠木正成などの老練な大人達とは一線を画した、青年としての清々しさを持って表現されてましたね。
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北方謙三の時代小説を読むきっかけとなった作品。始めて読んだ時の感動が忘れられず、3回は読んでいます。北方謙三の時代小説は南北朝ものがいいですね。良い意味で主観の入る余地が大きく、北方謙三の表現しやすい時代なのかもしれませんね。
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485P
初出:1990年11月集英社より刊行
初刷:1993.11/25
印刷:凸版印刷株式会社
最後の一文:「軍勢の後方に広がり、朝の陽を照り返して輝く、海だけを見ていた。」
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北畠顕家という青年武将は、理想の塊みたいに思えます。清しく勇ましく優しい、どこまでも高潔な魂の人。わたし個人の理想というんでなく、人間のもちうる美質を集めたような。これを読んじゃったあとだったので、吉川太平記の顕家像が物足りなかったんですよね。
陸奥の地で進行していたことはともかく、着地点は史実通りなので、いわゆるハッピーエンディングにはなりえません。でも顕家は納得していたんだろうと思ってしまう。くやしくても、やり残したことばかりでも、「夢が私を試しそうとしている」と言った以上、失敗したら試練に負けたということになるんだろうなあと。
このあとに読んだのが『武王の門』だったもので、夢の寸止めとも言うべきもどかしい読後感を二度も続けて味わってしまい、懊悩した去年の夏でした。あまりにのめり込んで読んだので、一年近く経つのにまだ冷静になれません…。素だと顕家さまとか言っちゃう。何せすごい思い入れができてしまいました。
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1330年ごろの話。南北朝時代の幕府軍 足利尊氏と朝廷軍 北畠顕家の話。顕家は尊氏が唯一恐れた男と言われるほど,文武に秀でた公家出身の武将と言ってよく,尊氏をあと一歩のところまで追い詰めつつも,新田義貞がとどめを刺しきれず,遂には,取り逃がし,再起のチャンスを与え,朝廷軍は敗れることになる。ちなみに,顕家の父は親房であり,後醍醐天皇の建武の新制を補佐していた。足利を倒すため,赴任地であった奥州から立ち上がりつつも,顕家は帝の新制や足利のような武士の取り扱いについてあまり心よく思っていないようであり,戦死する直前に後醍醐天皇に対して新政の失敗を諌める奏上文(顕家諫奏ともいう)を記した。内容的には,南北朝戦乱で疲弊した民を思いやるような内容や,乱れていた官爵や恩賞を公平に扱うよう求めている。政がどうあるべきかを書き綴り,帝の周辺で利権をむさぼる貴族・女官・僧侶など佞臣の存在も含め帝を痛烈に批判している。
『夢は見るものではなく,追うものである。追うことで初めて,その姿もはっきりと見えてくる。』
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とても楽しく読んだ。
南北朝時代というのは、天皇を大切に思う考え方から言えばちょっと難しい時代なわけで、NHK大河ドラマだって「太平記」を取り上げるのはなかなか大変だったと聞いている。その大河ドラマの中では、後藤久美子が演じたのが、この小説の主人公である青年だ。
10代でで東北地方を完璧に納め、向かうところ敵なしの天才戦術家でありながら、時代の趨勢には勝てず23歳で戦死する。ものすごい人生である。ちょっと人間離れしている。こういう人を下手に書くと出来の悪い漫画にしかならないと思うけど、さすがに作者はたいしたもので、夢を追いかける若者の姿を、美しく描き出していると思う。
「炎立つ」などという小説のおかげで、平安時代末期の「奥州藤原」をある種の理想郷として考える癖が、僕にはある。その癖は、時々自分自身の生き方を考えるときに影響を与えているような気がする。良くも悪くも、だけど。そういう思いに対して、この小説はまっすぐに直球を投げ込んできてくれているような感じがして、なにかずしんと来るものがあった。
もっとも、歴史的事実として「ハッピーエンドにはなり得ない」ことがあらかじめ決まっている物語なのだけど。
2009/6/29
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南北朝時代、国のあるべき姿を追い求めた北畠顕家の勇敢な生き様を描く。顕家は、民衆のための統治を理想としつつも、その理想と葛藤しながら堕落した朝廷側で最後まで戦う。
かなり夢中になって読んだ。朝廷、武士、公家武士の3つの視点から、顕家、足利尊氏、楠木正成、新田義貞、山の民安家一族、斯波家長などの多岐にわたる人物にスポットがあてられ、どの人物のストーリーであれワクワクさせられる。戦にはもちろん賛成できないが、男達のボリシーには単純に惹きつけられる。