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真っ直ぐな性格の若きゼネコンマン平太君が、談合をするオジサマ達に立ち向かっていく話かと思ったら全然違った。 量的にもかなり分厚い本だけど、内容的にも談合だけでなく、恋愛、家族との関係、サラリーマンとしてのあり方、大物フィクサーとの関係と盛り沢山。 特に印象に残ったのは、恋人の萌との関係。学生の頃や新入社員の頃にはそんなに隔たりの無かった物の見方が、働く環境の違いによってどんどん隔たっていく。どんな業種のどんな会社で働くのかによって、人の考え方というのはかなり影響を受けるのだという事を改めて認識した。 どこで働こうと、誰と出会おうと「自分は自分」だと思うけれど、「自分」は廻の影響で作られる。 大物フィクサーの三橋さんが魅力的。私もお茶席に招かれたいです。もちろん他のゼネコン幹部が居ない席で。
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ストーリーの基軸にはゼネコン業界の談合が何故なくならいのかといった、ある意味では社会の縮図を描いたような内容なのに、相変わらず読みやすくて分かり易い作品として仕上がっている。要素的にも違法である談合を巡ってゼネコンや検察、銀行といったそれぞれの立場から掘り下げられた企業小説としての側面、主人公の平太が初めて直面する談合を自分なりにどう捉えて乗り越えていくかといった成長期としての側面、更には主人公とその彼女とのすれ違いなどもリアルに描かれ、とどめには社会派ミステリーとしての展開も押さえいてる。正にてんこ盛りなストーリーをエンターテイメント作品しとてまとめあげ、飽きさせずに読ませる作品力は見事!!ホントにハズさない作家だと再認識させられる。。。
読了後に改めて感じたが、主人公の設定の仕方がとにかくうまいんじゃないかと思う。「空飛ぶタイヤ」での赤松社長もそうだったけど、今回の平太も特に非凡な部分は見られず、至ってどこにでもいる若手サラリーマンとしての人物像になっている。その等身大の主人公と読者の視点とをリンクさせることで、少し小難しいと思われる裏事情に関しても誰が何の思惑でやっているのかといった構図がスムーズに受け入れられるような整理した展開がなされているし、普通のサラリーマンだからこそ生ずるプライベート的な問題も織り込むことで親近感を湧かせて感情移入がしやすくなっているからこそ、読者も惹きつけられるんじゃないだろうか。
とにかく、色々な要素が入りつつも単に事象を追いかけるのではなく、あくまでヒューマンドラマに焦点を当てた展開になっていることが好ましい。
個人的には、様々な余韻を残した終わり方も良かったしで…
ゼネコン業界に関する正しい知識を持ち合わせていないから本作がどこまで現実に則したものかは分からないし、テーマとなっている談合の是非についても何とも言えないが、ビジネスマンとしてのしがらみで深みにはまってしまう恐ろしさや、その理不尽さは共感できた。そして、自分の信念を持ちつつ、しがらみから抜け出せないような生き方の哀しさも…
ビジネスをしている以上は何かしらのしがらみが生ずるものの、如何に己を見失わずにやっていけるのかは改めて考えされられた。。。
…しかしながらコスト重視だけの入札って制度は見直してほしいもんだ。
それ故に泣かされる下請けの気持ちは業界違えど一緒だし。。。
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「面白い」の一言に尽きます。長編で全P.646ありますが全く長さを感じずあっという間に読めた。今回は「大手ゼネコンの談合」について。
私的に身近にここまでの規模じゃないですがゼネコン関係者がいて、いつも話を聞いていたので人ごとでは終われなかった。
教科書通りの「談合」は確かに違法だし、無くすべきもの。
だけど、地方の談合は生き残る為の策。私腹を肥やす談合ばかりではないのも事実です。世の中は微妙なバランスで成り立っていると思います。
なんで池井戸さんの小説ってこんなに面白いんだろう~♪
他の作品も楽しみです!
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小説として非常に単純化したドラマとして描かれているため、社会派小説としての深みはないし、登場する多くの人物たちはステレオタイプ的な人物ばかりで、世の中、こんな単純な人たちでは成り立っていないだろうと思うが、話を引っ張って進めていくためには、この程度のデフォルメは必須であり、でなければ小説としては成り立ちえず、それでも、これだけの紙面が必要であったということが、テーマとして選んだ談合が社会事情として本当に複雑たる所以だろう。主人公の若者の成長譚としても話が成り立っているので、それだけでも十分に面白いが、その結末が尻つぼみ的な感があるのが、唯一、残念である。また、主人公とエリートの間で揺れ動く彼女の心のありようは反感を覚える読者もいるかもしれないが、彼女も成長したという成長譚として読めば良いだろう。初めて、作者の作品を読んだが、他の作品も読んでみたい。
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池井戸さんの著作は下町ロケットしか読んだことなかったけどこっちの方が好きだな。幕切れはあっさりしてた。尾形がなんにもしゃべらないで終わっちゃうのがな。
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しばらく積ん読させてあったが、長い休みを利用して読了。
仕事がばりばりできるスーパーサラリーマン(本小説ではゼネコンマン)が出てくるなあ。特に、主人公の平太の業務課での先輩である西田は、よくできる奴だ。
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最近ヘビーローテーション気味の、池井戸作品。今回の舞台はゼネコンで「談合」がテーマです。
談合というと「悪いこと」だというくらいの認識しかありませんでしたが(お恥ずかしい話)、この小説を読んで談合が生まれるメカニズムや、談合からなかなか抜け出せないゼネコンのしがらみがよくわかりました。ゼネコン、政治家、検察など、複数の視点から談合を描いており、その仕組みが立体的に浮かび上がってくる構成もよいですね。ミステリーのようなスリリングさもあって、結末も「なるほど、そうきたか」という感じです。
企業に関わる難しいと思われがちなテーマを、分かりやすく、面白く描き出す池井戸作品。今後も目が離せないです。
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「風車に向かっていくドンキホーテみたいなものかもしれない。だけど結局のところ,そうやって地道に進めていくしかないんだよ。お前が何で業務課に配属されたかしらないが,それが俺たちの仕事なんだ。俺たちは,雑草なんだ」
「だとするとあと四十年近く,この会社にいることになるよな。大学で何を勉強しようと,最初のたった三年何をやろうと,そんなのは関係ねえ。肝心なのはこれから何をするかじゃねえのか」
「だがな,あいつらのようにはなるなよ。ああいう人間にはなるな。あんなゼネコンマンにもなるな」
「自由競争といったって,現実にはダンピング合戦をしろといってるようなものだろう。どこがやったって技術力が同じなら,コスト削減の行き着く先は同じさ。あとはどれだけ儲けを削るかしかない。だがそれをしていたんでは,株主の収益期待に応えることはできない。矛盾した話さ」
「生きるための談合のはずが,利益のための談合になったとき,それは真の犯罪になる」
「いまが一番いい。そう思うことが大事なんだ。過去を懐かしむのは構わない。だが過去を羨んではいけない。決してな」
「部品といえるのは,仕事という目的にかぎっての話であって,同時に私たちは人間だ。サラリーマンである以前に人間なんだ。…人間であることを忘れたサラリーマンはつまらない部品になってしまう。…実は,この世の中で規格通りの部品であり続けることは意外に難しい」
「それによって大手ゼネコンが倒産し,傘下や下請企業とその従業員が失業し始めたとき,社会に与える影響は相当なものになるだろう。本当の制度改革が行われるとすれば,それからだ。日本という国は,一度痛い目に遭わないと分からないんだ」
「業務課は調整に参加できる部署かも知れないが,同時に,調整ではなく真の競争入札を目指すことのできる唯一のセクションなのかもしれない」
「金を集める政治家のところには票も集まってくる。票が集まれば人も集まる。人が集まれば注目も集まる。注目が集まればさらに,金も集まる。政治の世界はこの循環でできている。…あの男の考え方は逆だな。金に集まる者は金がなくなった途端いなくなる。だから,最初から金などない方が本当の政治ができるはずだと,そんな調子だ」
「確かに伝統というのはいいものです。ですが今利休が生きていたtら,この世の中に受け容れられるように,もっと茶の湯を変えていこうとしたでしょう」
「調整しないように,調整することもできるんじゃないですか」
「自分が面白いと思える仕事は大事にしたほうがいいわよ,萌さん。それもひとつの出会いだから。…好きなことしなさい。そして気が済むまでやること。そうじゃなきゃ後悔するわ。後からやろうなんて,結局は無理なの。人間,いましかできないことっていのがある」
「俺たちは課長の指示で,こうして仕事してきたんですよ。…しがらみかなんだか知りませんけどね,俺たちの苦労知ってる人間が,そんなに簡単に納得してどうするんですか。課長は自分の仕事にプライドないんですか?自分の仕事,大事じゃないんですか?だったら一言くらい尾長常務に噛みついて,喧嘩でも何でも,ふっかけるくらいの気概を見せ��くださいよ。…組織の論理かなにか知らないですけどね,簡単に納得しないでくださいよ。もっと抵抗して欲しいんだ,俺は」
面白かった。この人は,銀行ミステリーみたいのより,空飛ぶタイヤとかこういうのの方が面白い。
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すっかり直木賞作家として、売れっ子になった池井戸作品。
江戸川乱歩賞受賞作は、それほど印象に残っていなかったけど、着実に実力つけてきたのですね。。。
本作品も、文庫本で650Pageと大作ながら、一挙に読めてしまいました。
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ゼネコンの談合のお話、ページ数も厚く読み応えアリ。
一つの談合についてそれぞれの視点から書かれているので、わかり易くて面白い。
どの程度の内容がリアルなのか気になる・・・
建設業界の抱える問題もわかり、読みごたえもある一冊。
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中堅ゼネコンを舞台に談合の実態を描いた池井戸氏の作品。
入社4年目の主人公が配属されたのは、談合課と揶揄される業務課であり、そこで、談合に巻き込まれることになる。
談合を取り仕切っているフィクサーとの絡み、談合の裏側、そして平太の恋愛模様などが同時進行で起こり、一気に読ませてくれる。
ただ、最近読んだ同じ著者の作品(下町ロケット、空飛ぶタイヤ)と比べるとやや躍動感に欠けるという感じであった。
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またまた池井戸さんの小説。
単行本が出たときから、
読みたくて読みたくて仕方なかった本です。
ゼネコンの「談合」をテーマにした小説で、
熱血漢のある新米社員が現場から業務課に異動になり、
談合に関わってくストーリー。
談合とは何か?や談合は何故なくならないのか?が
素人にも分かるように書かれています。
この本を読んで、結局は産業構造自体を変えないと、
談合はなくならないのかなと感じました。
建設業界は談合というわかりやすいフレーズがありますが、
もしかすると、ある程度停滞した業界なら、
どこにでも見て取れる現象なのかもしれません。
自分の会社や業界を振り返る良い機会になりました。
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NHKでやってたドラマが面白かったので、原作も気になってました。
文庫本になったので、さっそく購入。一気読みでした。
ドラマとは大分違いますね。
人物描写も違ってましたが、原作もとても面白かったです。
原作はミステリー仕立てが目立ってましたが、ドラマを先に観ていた為、おどろきが薄れてしまったのが残念。
原作を読んでから、ドラマを見る方が楽しめる気がしました。
原作あってのドラマというで、原作おすすめです。
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面白い!
この作者の描くストーリーは
テンポがいい
登場人物が痛快
そして
社会悪とはどんなものか
じっくりと
考えさせられた
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ゼネコンの談合をテーマにした長編。率直にめちゃ面白かった!池井戸潤小説は銀行テーマが多いが、企業主体で担当者の葛藤やキリキリしたやりとりが描かれており、文庫本にしては分厚いが一気に読んでしまった。
仕事がら入札を経験することが、多いたみ業界違えど、入札に臨むギリギリ感もかなり共感でした。オススメです!