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南長岡町で八百屋を営みながら貧乏長屋の大家をやっている太吉という男が殺された。家賃が払えなくても住んでもらわなくては困るというのだ。曰くありげな長屋である。この太吉の死体に出くわしたのが、吉原での遊蕩帰りの南町奉行所見習い同心八巻卯之吉である。
卯之吉は江戸一番の札差であり、両替商であり、大名や高級旗本相手の高利貸しも行っている三国屋の若旦那だったのだが、祖父の意向で金の力で同心になってしまったという御仁である。若旦那姿に戻っての遊蕩が続いている。
一方、南町奉行所には5年前に取り逃がしてしまった夜霧ノ治郎兵衛が江戸に戻ってきたとの報が入る。太吉殺しの探索に携わっていた筆頭与力村田銕三郎は「手前ェ程度で十分だ」卯之吉に大家殺しの一件を任せてしまう。売れない幇間の銀八を連れて長屋に出かけていくが、銀八は相変わらずの間の悪い発言をするわ、聞き込みに失敗するわで、探索は前途多難を思わせる。
江戸へ戻ってきた夜霧ノ治郎兵衛は、早速、吉原に出かけるが、そこで三国屋の若旦那の豪遊ぶりを見せつけられてしまう。次に深川に出かけた時もである。思惑をじゃまされた治郎兵衛は若旦那を目の敵にする。 同心の八巻卯之吉と三国屋の若旦那、卯之吉本人さえ「本当の自分はどっちだったのか、なにがなにやら本人自身でもよく分からない生活」の中で、卯之吉側だけでなく治郎兵衛側の勝手な思い込みや誤解が積み重なり、事件解決への大団円へと話が進んでいくのは、このシリーズの決まり事になっている。
テンポのいい展開、同心八巻卯之吉に対する誤解と思いこみの滑稽さ、三国屋徳右衛門が同心八巻卯之吉に手柄を立てさせるために考え出す奇想天外な策と、エンタテイメント性がこれでもかというくらいに詰まった娯楽作品である。 1巻目では名前ももらえず、2巻目ではちょい役でしかなかった、売れない若衆方の役者由利之丞がこの『一万両の長屋』では重要な出番が与えられている。この巻での由利之丞の役割が次巻以降も登場し、話の展開の一翼を担うことになっていくので、シリーズを読み続ける上では、読み落とせない巻である。
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後々まで因縁を残すお峰が初登場する3巻。
由利之丞が卯之吉役をするのもここから。
そんな由利之丞を守る&お礼をたんまり戴くべく、弥五郎が大活躍。
今回の悪玉の親分は、江戸の人間を馬鹿にした、手下をトカゲの尻尾切りするのも屁とも思わないイケ好かない人物だったけど、そんな治郎兵衛も平三ばかりか忠蔵にも裏切られてたりと、2巻の霞の一党と対照的な夜霧の一党だった。
伸吉やお直がその後どうなったのか気になる…。
この3巻で一番嫌いだなぁと思う平三を、最後だけ『お、潔いな』と見直したんだけど…その直後の奇跡的なマヌケっぷりが今作で一番笑った気がする。
表紙の絵にもなってるこの場面、一枚絵じゃなくて動画で見てみたい。
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この作家さんのとぼけた作風が気に入りました
このシリーズも読破しよっと!
さて、相変わらず実力以上に評価される富豪同心
また上手く解決しちゃうんだよね~
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大富豪同心シリーズ3巻。五年前、一万両にものぼる大金を盗み、大坂に逃げた大盗賊の夜霧ノ治郎兵衛の一党が江戸に戻ってきた。南町奉行所あげて探索に奔走するが、見習い同心の八巻卯之吉だけは、吉原で放蕩三昧。そんなとき、卯之吉は貧乏長屋の大家殺しの探索を夜霧ノ治郎兵衛一党探索に手が離せない上役・筆頭同心から命じられる。今回も卯之吉の周りの誤解と勘違いで痛快にストーリーが進行します。脳内変換⇒大富豪同心=中居正広・幇間・銀八=柳沢慎吾(「あばよ!」の決めゼリフで大ブレイク)のコンビで読み進めてます。
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盗賊、夜霧ノ治郎兵衛一味が江戸に舞い戻ったというので探索に懸命な奉行所。卯之吉は一人、長屋の大家殺害事件を押しつけられて慣れない探索にウロウロするが、二つの事件はつながっていた…
相変わらずとぼけた味の肩がこらないエンターテイメントである。卯之吉の祖父三国屋や荒海の親分、剣客の弥五郎などのレギュラー陣も絶好調。序盤から捜査陣だけでなく治郎兵衛やその手下の視点からも描かれているので、読む方には事件のからくりはすぐ明らかになるが、様々な誤解と偶然、思い込みでそれがどう転がっていくかが笑いどころで面白かった。
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大富豪同心シリーズ、3作目。
夜霧ノ治郎兵衛一味の捕縛&貧乏長屋の大家殺し。
まだシリーズ3作目ですが、すでに安定的な面白さ(良い意味で)。卯之吉のキャラはもちろんだけど、周りの卯之吉の持ち上げ方が絶妙。策士の祖父・徳右衛門と勘違い上等の荒海ノ三右衛門が良い味出しております。シリーズ読みが楽しみな作品。
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大富豪同心シリーズ3作目。
相変わらず卯之吉の金遣いが突き抜けています。
いっそ気持ちいいくらいで、読むのが癖になりそうです。
事件については、タイトルからも想像し易く、
読者の立場からは割と早い段階で全容が読めます。
もちろん、(読者と違い)全部の場面に立ち会う訳ではないので、
卯之吉達は前作までと同様のドタバタ騒ぎになるのですが。
卯之吉は、殺人現場に遭遇したり、
知り合いが悪党の密談を盗み聞くことになったり、
同心としてかなりツイてます。
お金だけでなく運まで・・・、持ってる男ですね。
蘭方医学の知識なんかもあるし、頭も悪くないので、
最後には、真っ先に真相にたどり着くのに。
本人は、まるでやる気無しなのが面白いです。
前作からの登場人物も新たに登場した人物も、
またまた勝手にやり手同心と誤解してくれてますし。
南町奉行所の同心仲間や、
今回でいうと夜霧ノ治郎兵衛なんかの立場になれば、
絶対嫌な人間だろうなとは思いますが、
気楽な読者の立場からは、ほんと楽しませてくれました。
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まず表紙を見て、「卯之さん、どうせ格好だけでしょ?」「相手がくるっと上手に回ってくれてるんでしょ?」って突っ込んでしまいました。私も卯之さんみたいに「ふ~ん15両ね」なんて言ってみたい。今回も変わらずの勘違いのされっぷりで。この勘違いで、卯之さんはどこまでいけるのか?!荒海の親分の勘違いと銀八の心の突っ込みに今回も笑いました。銀八、大変だな~。最後の太吉に対する始末、卯之さんもこういう気遣いができるんだなと感心しました。基本優しい人ですからね。卯之さんのくねくねと気持ち悪い動きちょっと見てみたいです。
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卯之吉の遊びっぷりが凄まじい。
吉原中の花魁を集めて踊り、砂金を撒く姿を見てみたい。
下手人を調べることを任されたもののどう調べたらいいのか苦労した卯之吉が、今後同心としてどうなっていくのか、気になる。
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シリーズ第3作。2019年にNHK BSプレミアム及びNHK総合で放送された中村隼人主演ドラマの第7回の原作。3作目になって、読むほうもすっかりこのペースに慣れてきた。この作品では荒海ノ三右衛門と水谷弥五郎が卯之吉を支える。美鈴は原作では出てくるのかしら?
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退院後の自宅療養中に読了。
入院中の読書用にと、本好きの叔母から全巻揃いで供与。
シリーズ3作目。
五年前に江戸の町を荒らしまわった、大盗賊・夜霧ノ治郎兵衛一党が江戸に戻ってきた。色めく南町奉行所の面々。そんな中でもどこ吹く風と泰然自若としているのが、見習い同心の八巻卯之吉。夜霧ノ治郎兵衛一党探索に手が離せない上役から、貧乏長屋の大家殺害の捜査を命じられるが、この事件には深い秘密が隠されていた。
(↑手抜き)