投稿元:
レビューを見る
タイトルのセンスがよい~。
「パンツのたたみ方が分からないんです・・」と、奥さんのパンツをどのようにたたんだらよいか分からない男性のお悩み相談から取ったタイトル。
異なる環境で育ち、異なる価値観、習慣を持つ二人が結婚して、新しい家庭をつくる時に、「えっ、こうじゃないの?」「こんなことも知らないの?」と、相手と自分の違いから摩擦、ストレスが生まれたりする。
それに対して、相手に求めるのか、強制するのか、それとも歩みよるのか、相手から学ぶのか。パンツのたたみ方が分からないという小さな悩みに見えることから、お互いの関係の在り方が見えてくる。
家庭科というのは、自分が暮らしていくための術、他人と家族となり、生きていく時の付き合い方を培っていく教科ではないだろうか?
著者は、そんな思いを持ち、英語教員から家庭科教員へと転身した先生。
===========================
キャリア教育に関わってきたのだけど、言葉からかなり勘違いをされていると思っている。キャリア=生き方なので、生きるために必要な力
(思考力、感性、読解力、数的理解力・・)と、どこで生きるかという選択を支援する教育。
家庭科というのは、「副教科」と、扱いで、主要教科に対して、オマケ的な存在なんだけど、これこそ、教科書的に学ぶんじゃなく、実社会を生きる大人や、企業が連携して、学びをデザインしていくべきでは・・・と思った。
著者南野先生は、そこを理解した授業設計をされていて、素晴らしいと思った。
家族をどう考えるか、結婚をどう考えるか、働くことをどう考えるか・・
子どもたちは、こうあるべきという社会の価値観を自然に持っていて、
社会の価値観ではなく、自己決定していくことが大切で、授業によって、
価値観にゆさぶりをかけ、考える機会をつくっているのだなと思った。
===========================
印象に残ったところ(P121)
「お互いさま」という言葉は、別の見方をすれば「自立」を意味する言葉になります。「お互いさま」というのは、自分でやれることは自分でやり、できない部分は協力して助け合おうという姿勢で人と付き合う態度のことです。これはまさに「自立して生きる」ことと全く同じです。
この「お互いさま」の視点で現代社会の労働問題を見直してみます。
教科書的に言うと、「労働」は有償の「職業労働」と無償の「家事労働」に分類されます。
そこに別項目として、「ボランティア活動」が付け加えられることもあります。
「群れで生活しているわれわれを支えるために営まれる行為」=「労働」と考えれば、職業労働にしろ、家事労働にしろ、ボランティアにしろ、どれも大切な労働であって、そこにはなんの優劣もないことがわかります。
~中略~
「お互いさま」という関係が成り立つのは、「各自が群れに参加している」、「参加できている」時であり、「自立」もまた社会参加の文脈の中でとらえる必要があるということなのです。
僕たち一人ひとりが働くことの意味をもう一度とらえなおすことで、周りの人との関係性を少しずつでも「お互いさま」感覚に近づけてゆくことで、
時間はかかっても少しずつ働きやすい労働環境、住みやすい環境に変えていけると信じています。
投稿元:
レビューを見る
師匠のおすすめ本の一つ、ということで読んでみた本。
筆者は、大阪府立高校英語科教員として13年間勤めながら、家庭科で教員採用試験再受験。大阪府立高校での初の男性家庭科教員の一人となる。
タイトル通り「正しいパンツのたたみ方」は14~15ページにイラスト付きで紹介されている。
筆者のいう「生活力」が赤坂先生の「自立」と似ている。
さて、面白かったのは第2章。「家族とは何か」を考えさせられた。
家族とはなんだろうか。
広辞苑では「血縁関係があること」、小学生用の辞典では「同じ家に住んでいること」、社会学の辞典では「基礎的社会集団」であるそうだ。
小学生用の辞典を作った小○館には文句を言っておこう。
よくテレビでも「同じ血をわけた兄弟」とか「血の繋がった○○」と言っている。
血とはDNAのことを言っているのだろう。
DNAについてはよくわからないが、もし親とDNAが違って(つながっていない)いたら、「家族」だと思わないのか? 血でしか証明できないのが家族なのか。
きっと何かの紙を出すときには「家族ではない」と言われるかもしれない。
しかし、紙でしか証明できないのが家族なのか。
家族の条件ってなんだろうか。
著者は、「誰かとともに暮らそうという気持ちが形になったものが『家族』である(p.93)。」としている。
印象に残ったのは次の2つ。
「それ(家族)は常に変化する可能性をはらんでいる。」
→どういうことかというと、著者は高校生の時に「家族は?」と聴かれたら「両親と祖母と兄と僕の5人家族です」と答とえる。10年前に聴かれたら「妻と二人の子どもと僕の4人家族です」と答える。今聞かれたら、離婚したので10年前の家族は家族だと思わないそうだ。
このように、「『家族というのは変化する』と考えれば今の家族と過ごす時間は非常に貴重な時間だと思うだろう(p.95)。」
「昨今は一人でいると『さびしい人』と見られがちですが、本当にそうでしょうか。一人でいることを楽しめる人は、誰かに頼らなくてもいつでも幸せになることができます。自分一人で自分の幸せが演出できる『自立』した人だからです。(中略)『一人を楽しめる人』は『他人といるのが苦痛な人』のことではありません。むしろ、反対だと僕は考えています。つまり、『一人でいるのも楽しいし』、『二人でいるのも楽しい』、そんな状況を作れる人と言ってもいいかもしれません。」(pp.201-202)
(まっちー)
(まっちー)
投稿元:
レビューを見る
とてもおもしろかった。よい意味で期待を裏切られた。家庭科の本というか、自立するとはどういうことか、どう生きるか、という本だ。これは高校生にぜひとも読んで欲しいなぁ。とても勉強になった。
家族とはどういうことか、働くとはどういうことか、一緒に暮らすとはどういうことか、なぜ騙されるのか、「依存」でも「支配」でもない人間関係はどうすれば作れるか、といったことを考えさせる。家庭科、深いなぁと思わせられる。
投稿元:
レビューを見る
すべての基本は、一人ひとりが、まずはしっかり自立すること。
自分の足でしっかり立ち、毎日の生活の中で「いいこと」をみつけ「自信」を積み上げていく。
自分が日々成長していると感じることができれば、自分を好きになり今という瞬間が楽しくなる。少々のことがあっても、もう少し頑張ろうと踏ん張ることができるようになる。
投稿元:
レビューを見る
英語教師から家庭科教師に転身した男性教諭の書いた本。
パンツのたたみかたから過労死、DVまで。
中高生向けの岩波ジュニア新書だけど、大学生でも社会人でも、一人立ちする前に読むのにちょうどいいと思った。
タイトルは、妻の下着のたたみかたが分からず、いつも妻に怒られてしまう男性のお悩み相談から。
ある人にとっては当たり前のことでも、ある人にとってはそうではない。衝突を避けるために我慢を続けるよりも、妥協点を探したほうがいいよ、とのこと。
お弁当はできる範囲で、無理のない範囲で工夫して作ればいいのだと。
戦後は「みんなのために働く」、「お互いさま」という感覚が普通だったのだけど、いまは働くことは個人的なことになっている、と。
投稿元:
レビューを見る
岩波ジュニア新書のベスト10に入ってただけあって、なかなかに面白い内容だった。パンツのたたみ方から個々人の価値観の違いに論が進められて、移行もお金の話とかも織り交ぜながら、家庭生活(ひいては社会生活)を送るのに必要な考え方が網羅されていく。中高生時代、殆ど家庭科が授業として成立してなかったから、こういう講義が聞けていたら素敵だったな、っていう思いが強かったす。
投稿元:
レビューを見る
生活力の備わった大人になるために。家事と信頼関係の不可分を象徴するタイトル(略してただパン)が秀逸。
弁当作り,家族のこと,お金のこと,男女のこと。子供がだんだんと自立していくために,有益なヒントが詰まった良本。
投稿元:
レビューを見る
17冊目。
読んでよかったです。
当たり前のことを当たり前として考え、行動できるようにしなければならないと再認識しました。
今後使いたい言葉も発見しました。余禄。
投稿元:
レビューを見る
この本は高校生向けに家庭科の教師によって書かれた、家庭科と自立した生活について書かれた本です。このキャッチーなタイトルはややうまく出来すぎかと思いましたが、正しいパンツの畳み方は?というある人の質問をきっかけとして、家族の関係を考えてみようとか、いろいろなパンツの畳み方もいろいろな家族関係もあってよいのだ、という章から名付けられたものです。我が家では小学生に読んでみたのですが、仕事はなんのため、パートナーの選び方、家族ってなになど、そのような真面目な話題について会話して考えてもらう題材とすることができました。(さすがに性の話題は飛ばしましたが)。結婚相手をどんな基準で選ぶ?という話題で小5娘は「自分を理解してくれる人」を選びました。理由を聞くと「私はパワフルだから、そんな私を認めてほしい」とのことでした。そのような自覚は良いことかもしれません。また、高校生や大人の考えることがわかって良かったとの感想も言っていました。最後の、一人を楽しめる自立した人間ならば、依存や支配でない良い関係を周囲の人と築くことができ、孤立することもないのだ、というメッセージは素晴らしいと思います。今回だけでなく時にふれて子供に言い聞かせたいと思いました。若干テンポが悪いと言えなくもないのですが、テーマがいいので若い人でも楽しめる人が多いと思います。
投稿元:
レビューを見る
タイトルや絵から、「家庭科」を今の世の中にあった形で解説する、面白おかしい本かと思ったら、全く違った。
この本を読んで、改めて「家庭」を運営するってことは、人間の根幹にかかわる重大なことだと思った。
実際に授業で行われている縫物や料理は、家庭運営の重要な要素ではあるけれど、柱ではない。(いや、今どきは、ボタンつけと、すそまつりさえできれば他の裁縫技術は必要でない気がする。)
この本は柱の部分、「そもそも家族とは何か」「パートナーといい関係を築くには」「経営(お金をどう扱うか)」といったことに重点を置いて語っている。
だから、中学生にはちょっと早いかな。
高校生なら、早い子は就職や結婚を考えたりすることもあるし、アルバイトもできるわけだし。
「家庭科」というとどうしても調理と裁縫ってイメージだけど、ここに書かれていることは、数学や国語を学ぶより重要かもしれない。勉強ができても、こういうことを全く知らず大人になってしまっては、家庭を破綻させることになりかねない。
高校生の必読書としたい。
投稿元:
レビューを見る
家庭科というマイナーな授業に、しっかり向き合っています。読むと「確かに!家庭科大事だね」と思えます。生きること、自立すること、その基本に家庭科がある。日常をきちんとしていけば、幸せに近いと言うことをとってもわかりやすく書いてくれています。
投稿元:
レビューを見る
副題は「新しい家庭科勉強法」。
たとえば80年代に書かれたのだとしたら、それは確かに新しい。とはいえ実際には4、5年前の本とあっては救いようがなく、作者の弁にほとんど同意できないという意味で、驚異的な本であった。
一度でも親元を離れて生活をしたことのある人間にとっては、本書で言われることの大半は、どうしようもなくあたりまえのことであり、それをいまさらどうこう言われても、こちらとしては「左様ですか」で済ませるしかない。してみれば、そんなのはわざわざ家庭科の授業なぞで教わらなくても、そのうちどうにかなってしまうことなのだ。
本書を読んで、「身につまされる!」とか「勉強になった!」と思うのは高校生なら勝手だが、まがりなりにも成人したひとりの人間が言っているのであれば、その人は要するに大人ではないので、畢竟、こんなのは子どもが読む本である。率直に言って、いい大人が読む本ではない。
さも物を知ってる教師風に語りかけてくる著者の調子にもいちいち腹が立ち、たまに披露される著者と生徒たちの掛け合い(?)もいっそお寒いばかり、というよりむしろ新興宗教の教祖とその信者といった体ですらあり、うすら寒い不気味さすら覚える。
自分の見たい世界しか見ていない人間が書いた本の典型といえる。
投稿元:
レビューを見る
「家庭科ウンチク」かと思いきや違った。家庭科の意義や現状を述べた本。うん、「先生が書きました」という感じでよい。いい先生なんだと思う。
投稿元:
レビューを見る
レビューが高く子供が読んでもよい良作との触れ込みで購入したが、しっかりしたテーマが見えず子供が読んでも?となるだけと感じた。
投稿元:
レビューを見る
ジュニア文庫ですが、大人が読んでも十分に為になりますし、むしろ大人が読む本かもしれません。
社会の中で生きていく、家族の中で生きていく、自立するとは?という事は普段なかなか考えませんが、改めて考えさせられました。
自分も含めて、最近は大人になり切れていない人間が多いな、という感想を持ちますね・・・