名著『岳物語』から27年、「じいじい」となった椎名さんの日常を私小説的に描いたシリーズ最新作、待望の文庫化。
2012/05/18 02:18
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しのはら - この投稿者のレビュー一覧を見る
可愛い孫の風太くんと海ちゃんを授かり、いまや「じいじい」となった椎名さん。じいじい生活やいかに?と手に取った、久しぶりの椎名本。
これは、名著「岳物語」に連なる私小説的作品群の、わりと最近の部分なのですね。
本書の中で岳くんは、サンフランシスコ在住。一男一女の父なのです。働き盛りの椎名さんと少年・岳くん、体ごとぶつかるような子育ての日々がつい昨日のようなのに。これだもの、おばちゃん年とる訳だわー(遠い目)
野菜中心の食事に切り替え、カツ丼の事、「もうそんなあぶらぎったものは食う気はしない」なんて仰るけれど、美味しいお店のは召し上がる。
そんな風に、加齢による衰えをほとんど感じさせぬ椎名さん。熱い心失わず、西へ東へ南の島へ北海道の山荘へ、執筆と旅から旅の忙しい日常。ふいに降りかかるアクシデント。
そんな中、時折かかってくる風太くんからの国際電話には、たちまち「じいじい」の声となり、他愛のない会話を交わす。
そこで「じいじい」が風太くんと交わした約束とは・・・。
繰り返し挿入される電話のシーンは、孫ちゃんも「じいじい」も可愛らしく、一服の清涼剤のような反復ギャグのような。読んでる身にも楽しみで、「早くまたかかって来ないかなー」と思ってしまう。
また、長年の読者は、岳くんちの赤ちゃん(女の子)の名前が「海ちゃん」である事にグッと来るでしょう。椎名さんご自身の第一子(女の子)赤ちゃん育児体験を元に書かれた「海ちゃん、おはよう」という小説を思い出さずにはいられません。
(椎名さんの著書で同タイトルの小説が二編ありますが、私が好きなのは妻目線で書かれた中篇の方。「はるさきのへび」に収録)
椎名さんの文章と、椎名さんの目を通して見るこの世界は、(思うに任せぬ事も多々あれど)やはり魅力的でした。
冬山の雪が木の根の周囲から鹿の子まだらに解けて行くのを、「樹木の根がその成長していく熱で周囲の雪を溶かしている」と表現する心の持ちようが好きだなあ。(人は自分にないものに憧れるのだ)
日常を淡々と描いているようでいて、不穏さや大きな動きの予兆も隠されているような本書。
「続 大きな約束」も文庫化。そちらも楽しみです。
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シーナ誠にも、確実に時間が過ぎていて、あの息子の岳にも子供が出来た。孫の名は「風太」君。流れていく時間、変わり行く時代の中に、変わらないものを見つけにいった旅の記憶を様々なところで話しながら、変わらない友人達と過ごす。でも、わしわしご飯を食べたり、かっとなってしまったり、僕らの思っているシーナさんは、変わってなかったりして安心。
「岳物語」が中学時代テストで出て、回答より内容のほうに引きずり込まれて酷い点だったけど、すぐに図書館に借りにいってきた記憶が懐かしい。自分も年を取ったということです。
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椎名さんも孫ができてすっかりおじいちゃん風になってきているけれど、アクティブな生き方はすこしも変わっていなくてとても嬉しく思う。文章も相変わらずとても読みやすくて、好き。
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孫の風太くんとの電話のやりとりは、ほんわか和みます。電話がかかってくるのを楽しみにしつつも緊張している椎名さんもなんだかかわいらしいです。
岳物語を読んだころを思い出すと、、、自分も年を取ったんだなぁと感じます。
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岳くんがパパになって、椎名さんがじいじいになってます。
岳くんって小~中学生のイメージが強いけど、もうパパなんです、親戚のおじちゃん気分です。
てか岳くん、普通に私より年上なんですけどね。
ふたり目のお子さん、お孫さんの名前が海ちゃん!岳くんよくやった!!
椎名さんの作品に「海ちゃん、おはよう」ってのがあるんです、椎名さんが初めてパパになった時の経験をベースに書かれてる、私小説に近い作品。
やっぱり椎名さん一家、素敵です。
※続編もありますよ
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ちょっと、知らない人のブログを読まされてる様な、つまらなさが…。
もともと、岳物語が大好きで
「私の子供の父親になる人には読んで欲しい」と夫にプレゼントした手前
夫に「その後が出たョ」と貸してもらったら、読まない訳にいかなくて…。
そっか岳くんもパパなんだぁ~とか、
家族が一緒の食卓を囲める時は、ホント一瞬にして過ぎ去るのだな…と
椎名さんが自分の食事の支度をしてるシーンでしみじみ思ったりはした。
ただ、最後まで仲間内の固有名詞が多くて、内輪ネタの感は否めない。
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しばらく読んでないうちに、シーナさんがじいじいに!
できるだけ時間を取って、やさしい言葉を選んで、
全力で行う、マゴの風太くんとのやりとり…とてもいい。
特に大きな事件もない日常の話ということですが、
交通事故関係は結構大きな事件ではないでしょうか。
運転には気をつけて長生きしてほしいです。
分類はエッセイかなと思ったけど「私小説」とのことなので
とりあえずnovelに。
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淡々とした感じで日々のことがつづられているのが好き。
でも、やっぱり年をとってくると、友人知人の死や病気が多くなってくるのはしかたなく、読んでいてちょっと憂鬱になってくるような。(わたしは基本、ユーウツ気味な性格なのでそのせいも多分にあると思うけど)。
無理やりなカラ元気とか前向き思考がないのもいいかな。
続編も読みます。
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椎名さんの私小説を読むのは、もう何度目かになりますが、未だに辺境の国に旅をするというワイルドな生活を送りながらも、孫の前ではひとりの「じいじ」になってしまうのが、とても微笑ましかったです。
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エッセイかと思ってたら私小説だったらしい。
エッセイと私小説って何が違うんだろう……。
仕事で旅行行って、魚釣って、孫の「風太くん」と話して、似非ベジタリアンやって、仕事で講演して、奥さんが旅行行くのを見送って、飲み友達と新宿で飲んで。
エッセイにしか読めない私は私小説に慣れてないだけなんだろうか?
特に面白いなぁと思うこともなく☆2つ。
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椎名さんの本は「岳物語」に続いて二冊目。
奥様がワイルドなので驚いた。
「大きな約束」って何のことだろう?
と思って内容に思いを巡らした。
あ、わかった。
「じいじいは死なない」だ。
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久々に読んだ、椎名誠さん。旅に持って行きました。ゆるりゆるりとした生活、年をとるって悪くないのかも、と思わせてくれる本でした。そんなふうに年をとるには、若いうちが大切。
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私小説。還暦を越えてじいじいとなった椎名誠の少し穏やかだが移動の多い日々。特に事件は起こらないが、たんたんとした中でも時は過ぎて人は歳を取る。
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60代になっても、相変わらず旅に出て色々と考え感じている、モノカキの普通の日々を書いている本。
椎名誠は、やはり自分が目指す父親の姿であり、おじいちゃんの姿のように感じる。
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時が流れてとうとう「じいじ」に。でも、年を取ってもずいぶん忙しそうなのである。あっちこっち移動してばかり。タフだなぁ。