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1~20巻まで一気読みしたので、こちらに感想をまとめます。
大変面白かったです。なんと言ってこの面白さを説明すれば良いのか、わからないけど…。とにかく、なんだかすごく面白い漫画です。
なんというか、まず、真面目じゃない。時事ネタが多く、明らかに実在の人物が元ネタであるキャラクターを出したりなんかも平気でしちゃって、しかも平然と殺しちゃう。ドラマや漫画のパロディや、有名な今時の都市伝説なんかも、あっさりとネタにしちゃう。老人の孤独死、自殺問題、犯罪被害者の心情や加害者のその後、児童虐待、中絶問題、復讐についてなどなど、かなり重いテーマを扱っているのに、深刻になりすぎずにさらっと次の話に移っていく。それから、死体がないと始まらない物語なので、次々と人が死んでいくのに、しかも主人公たちも巻き込まれて毎度かなり大変な目にあっているのに、不条理なまでに異様に落ち着いているので、読者としても「なんとかなるだろ」感があって、なんだか全然ハラハラできない。名言っぽい名言もないし、演出も、生々しい死体の描写はショッキングだけれど、なにかあんまり大袈裟じゃなくて、どことなく地味。例えるなら、映像作品で言うところのBGMのようなものがずっとなく、自然音だけで構成されている様な感じだな、と思います。
なのに、なぜか面白い。大笑いしたり、感動したりするわけじゃないけど、なんだかずっと読んでいたくなるような謎の魅力を感じます。本当に不思議。
実は、結構昔からなんとなく知っていたからもう完結しているものと思い込んでいたので、20巻まで読んでようやく完結していないと知ってびっくりしたのですが…でも、それはそれで良いような気がします。やいちの正体など、気になることはあるけれど、この漫画は細々とゆっくり続いていって、ただただ唐津と沼田と谷田と佐々木と槙野が、死体を探してあっちに行ったりこっちに行ったりして、とんでもない目に遭って、いろいろな事件を解決して、結構すごいことをしてるのに表沙汰にはならずお金もなく、でも、案外楽しくやっている。いつまでも、そういう常識外れな日常を、終わることなくずっと繰り返している…。そういう風な漫画が、堂々完結なんてすることもなく、なんとなく続いているのも、良いな、という気がします。…もしかしたら、この主人公たちの飾らない態度につられて、別にどうということもない自分も、このとても奇妙なメンバーの仲間に入っているような気がしているのかもしれませんね。
本当に、なんだか面白い、独特な漫画だなと思います。続きも楽しみにしています。