前原一誠が愚か過ぎて哀れになる・・・
2015/09/20 09:48
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投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾出兵後も国内の士族の不満は収まらなかった。長州では元参議の前原一誠が挙兵を目論み、警視庁の川路利良は警戒を強める。しかし、先に蜂起したのは熊本の異色の思想集団・神風連であった。
この巻は後に萩の乱を起こす前原一誠の描写が多いが、到底政府の要職や反乱軍の指導者たる器では無かった様子が伝わってきて、警視庁の密偵をほいほい信用して自分の心中をさらけ出してしまうあたりは哀れとも滑稽とも見えてきてしまった。人間、その才能の合う所にいるべきなのでしょうか。
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改めて司馬遼太郎さんの文学力・文章力には脱帽します。司馬さんはこの様な小説を書く時には資料を徹底的に調べて書いたそうです。それに、司馬さんの素晴らしい事は、読者に時代背景をキチンと説明していてくれている所です。時代背景を分かってから、時代を読まないと、その時代の人は分からない。司馬さんの言う事が最もだと納得した巻です。西南戦争がおこる序章の乱が何故起きたか、その根底にあるものを分かりやすく、そして深く書いている巻にまとまっています。
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どちらかというと伏線の話。
西南戦争に向け着々とした動きが描かれている。
当時も今も人間の本質は変わらない。
一部の有能なものに使われるのが大多数の人民と言うのはわかる気がするなぁ。
それを取り違えた平等精神が今の日本じゃないだろうか。
リーダーはなるべくしてなるもの、単に年功序列じゃダメだよね。
強烈な思想に基づいた行動、してみたいものだ。
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士族の不満がたまる中、薩摩の立ち上りを恐れる政府は、この場合、大警視川路は、長州に密偵を送り、まずは長州の士族壊滅を狙う。薩摩と協力されることを恐れているためである。ところが、熊本における神風連が先に行動を起こした。のちの神風連の乱として知られる。
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薩摩人は幼少のころから「議ヲ言フナ」という教育を受ける。理屈をこねたがる人間はその性癖そのものをもって不道徳とされるという他郷にはないモラルの基準がある。
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熊本、神風連の乱に関する描写が主題。
一転して、反政府運動家側の活動内容が時系列で各団体の思想の相違点などを比較しながら、詳細に記述されている。
島津久光の読書ふり、春秋左氏伝、資治通鑑、史記、十八史略。国家の興亡の摂理がよくわかる。
長井雅楽の航海遠略、幕末における佐幕派の国策案としては歴史的な名論
西郷の人柄、親族の臨終直後でも、主治医に対して、丁重に落ち着いた礼を言った点で、
人に対して、常に丁重であったことをうかがわせるエピソード。
旧会津藩士永岡久茂、反政府指導者の中でも、優れた世界観と、人間としての魅力、力量を持っていた人物。目的意識も明快であった。
当時の警察の密偵調査の徹底振り。幕府時代からの継承もある。既にこの時代から、ウラ取ってから、戦略を練る情報戦は始まっていた。
札幌にビール製造所、人民にビールを飲む習慣を付けさせ、開化の気分を普及させる政策。
政府は国の制度作り・外交・軍備の他に、人民の教育・指導も施さなければならなかった。
革命政府としては、多忙を極め、多くの脱退者がいながらも、正否はともなかく、なんとか政府を維持し続けられたという事は、
木戸・大久保等の高官だけでなく、その他官吏の個々の資質や意識も相当高かったのであろうことが伺える。
その事は、小説の中でも、あまり知名度はないが、有能な行政者らがその具体的成果と共に頻繁に紹介されていることでも
分かる。(熊本県令安岡良亮等)
秋月党と神風連党、その後の右翼の原型。
前原一誠、まじめで純朴で、親孝行。典型的な日本人の優等生。だが、萩の乱という反政府活動の首領になれるタイプの人間ではなかった。
渦中、常に精神が動揺してしまい、取り乱している。秩序の中で、力を発揮するタイプ。
反乱の首領になれる、人の上に立つ人物とは、いざ事を決定したら、それに向かって一心不乱に行動し、
自分の心の中で乱れを起こさない、鈍感になれる人物でなけれなばならない。
薩摩人は幼少のころから「議ヲ言フナ」という教育を受ける。理屈をこねたがる人間はその性癖そのものをもって不道徳とされるという他郷にはないモラルの基準がある。
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司馬遼太郎に初チャレンジした作品。が、10作もあり読むのに2ヶ月超もかかってしまったww
舞台は戊辰戦争後の明治初期。西郷隆盛を大きな軸として揺れ動く日本政府の動向をあらゆる人物の観点から追っている。よくもここまで調べたなって感心してしまう
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全巻通読後のレビュー。
全10巻という超大作であるが、もともと毎日新聞に連載された小説であるから、多々同じ記述が見られる。
しかしながら、明治維新後の日本の姿を鳥瞰的手法で世界史と関連付けて論じられている点で、日本近現代の始まりを理解する際の基礎理解には最適の入門書であると考える。
島津久光という超保守派の考え方から、維新を支えた革新派の面々の考え方が手に取るように分かる小説である。重要なのは士族の不満、百姓の不満がどのようなものであったか、であるが、それもこの小説では網羅されている。
物語は維新開始直後から、西南戦争(明治10年)を経て翌年の紀尾井坂の変(大久保の死)、さらに川路利良の病没までを描く。
明治維新は天皇の威を借りた王政復古という形でスタートした。それが後に軍の独走いうものを招くが、この時点ではそうせざるを得なかったということも、小説中で書かれている。
後の日本を支えていく山県有朋、伊藤博文、板垣退助、軍人で乃木希典、川村純義などが登場する。
西南戦争は8巻の半ばくらいから始まる。桐野、篠原ら薩摩隼人に担がれた西郷、悲劇のような最後の激闘である。西郷が桐野や篠原といった兵児(へこ)を最も愛し、彼らと生死をともにしたことは、西郷をうかがい知る上で、見逃せない点である。
西南戦争の中身についての描写は一流である。
時間がない方にも、8~10巻は読むことをお勧めしたい。
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西郷の唱えた征韓論は知っていたが、征台論は知らなかった。それもまさか征韓論を反対した大久保利通が征台論を唱えたというのは、その時代背景の複雑さを物語っている。例えそこに事情があったとしても、やはり民衆から見れば太政官に対する信頼を失うことになりかねない。
大久保は西郷のことを考え、そして、薩摩士族の不満を少しでも解消させる手段として負の影響を少ないと考えた台湾出兵を考えた。しかし、結果的にはそのこと自体が士族の不満を増大させることになる。
一貫性の無い政策はいつの時代も国民の信頼を失う。
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士族の反乱気分を抑えることが出来ず、この巻では「神風連の乱」が起きてしまいます。
やはり物語が進むと読みやすいですが、余談などの脱線で集中しないと訳が分からなくなってしまい、何度も前に戻って読み直しました。
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主要人物が、宮崎八郎、島津久光、前原一誠と目まぐるしく変わり場面転換する。そして終盤、神風連ノ乱が起こる。
たぶんこれまでの話は西南の役への長い助走なんだと思う。
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明治維新直後の不安定な時代を描いている。
征韓論から西南戦争にいたる5年間が舞台。
西郷隆盛を始め多数の人物のエピソードと緻密な時代考証にその時代を知る思い。
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やっと6巻まで読み終えました~
字が小さくて多いので時間がかかるのと、電車の中では老眼に辛いです(^^;
萩の前原一誠が川路警視の放った密偵に騙されるあたりは悲壮感が漂っていましたね。
続いて7巻に突入します。なんとか夏までには読破できそうです(笑)
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明治維新という大きな流れのなかで、小さな動きが頻発し、それが徐々に時代の動きになる。
いやー歴史は深い。
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熊本神風連の乱を中心に、西郷隆盛を担ごうと各地の落ち武者が立ち上がる。
武士の世の中から、近代化するために、武士を排除する必要があったと思われる。「維新前より維新後の方が難しい」そんなことを感じさせるこの小説から、この3年の民主党政権の成れの果てが重なって見える。