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殿様と鼠小僧
2020/08/27 02:21
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
氏家幹人らしい、読み物として面白い学術書。さらに松浦静山の『甲子夜話』自体が面白いのだから、相乗効果でとても面白い。身分制によって隔てられていても、こうして興味を持って様々な情報を集めていた人物がいるというのは、すばらしいことだと思う。
著者が「あとがき」で「伝記でもない歴史書でもない・・・・」と言っているように実に不思議な本である。
2016/11/15 23:23
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が「あとがき」で「伝記でもない歴史書でもない・・・・」と言っているように実に不思議な本である。『甲子(かつし)夜話』を題材としてそれを繙く形をとってはいるが、それに捉われることなく様々な文献を駆使して「老いとは何か」「老人とは何か」を多面的に論じている。例えば、約300ページのうちの160ページが諸資料の解析による江戸時代の老人問題の社会学的解析に当てられており、当時の高級武士の隠居基準が70歳位であったとか、1700頃には60台前半だった平均隠居年齢が1800年頃には50台前半に早々と止めるグループと70・80歳と勤め続けるグループとに2極分化していったというような解析を行っているのである。さて、こうした長い前段が終わってやっと本題の47歳で隠居した平戸藩藩主・松浦静山が没するまでの20年間にわたる随筆(日記)『甲子夜話』を中心に据えた展開に入っていくのだが、ここでも『甲子夜話』を辿りつつもその周辺を様々な資料で肉付けすることで、松浦静山が生きた江戸時代の社会像が写実的に描かれているのである。また、『甲子夜話』に記載されているエピソード自体もなかなかに面白く、更にそれに著者が調査した諸知見を加味した推論を加えていくことで推理小説的な面白味も加味されている。確かに、著者が述べているように「伝記でもない歴史書でもない・・・・」のだが、かといって小説でもないのである。しかし読んでいて面白いのである。つくづく不思議な本である。
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