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久しぶりのキング。大きな短編集の前半部分だってハナシ。早く後半分も出ないかな。
どれももちろんおもしろかったんだけど、印象に残ってるのは『ジンジャーブレッド・ガール』、『エアロバイク』、『彼らの残したもの』かな。それぞれジャンルは違うものの、良い意味でキングらしくて期待を裏切らない。とくに脂質株式会社(だったけ?)なんて思いつかないもの!
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4本がホラー系、3本がサイコ系の短編(〜中編)集。作品ごとに翻訳者も異なり、その雰囲気の違いも味わえる。
ウィラ
遅延した列車を待つ中、駅舎から一人荒野にさまよい出た婚約者ウィルを捜しに出たディヴィッド。そこで彼はある事実に気がつく。
ジンジャーブレッド・ガール
突然の病気で子供を亡くしたエミリーは、常軌を逸したジョギングにはまり夫との関係も怪しくなる。間を置くために父親の別荘に出かけた彼女は、一軒の別荘で一台の車を見る。
ハーヴィーの夢
ジャネットとは長年連れ添うハーヴィーから悪夢を見た話を聞く。最初はあまり気にとめなかったジャネットだが、やがて夢の現実に気がつく。
パーキングエリア
ハードボイルド作家のジョン・ダイクストラは、尿意に耐えかねてパーキングエリアに車を寄せる。トイレに向かった彼だったがそこで男性の怒号を効く。DVだと察した彼は、自分の小説の主人公のようにはいかないと逡巡する。
エアロバイク
医師にダイエットを勧められたリチャードは、自宅アパートの地下にエアロバイクを持ち込む。最初は嫌々こいでいた彼だが、壁に景色を描くことによってエアロバイクにのめり込むようになる。健康になるにつれ、絵の世界と現実が交差するようになる。
彼らが残したもの
損害査定人だった私の元に、ある日からいろいろなものが現れるようになる。やがて、ゴミ捨て場に捨てても自宅に帰るとすでにうちの中に戻っているそれらの品々から、声が聞こえるようになる。
卒業の午後
高校を卒業した日、ジャニスはボーイフレンドのバディの屋敷で卒業パーティをしていた。将来を夢見る彼女はその庭からニューヨークを眺めていた。
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「偶然に偶然が重なれば、誰がどこに行くことになるかわからないし、何をすることになるかわからないんだから。」
長旅に備えて、空港で買った本。
余韻も重厚な雰囲気も特に必要としてない、単純に読み物が欲しいときに、キングの短編集に手を出すことが多いけど、今のところ失敗した!と思ったことはない。これもそう。
日常的な世界から、キング独特の世界に足を踏み入れる時のテンポが好き。
本格的なホラーやSFファンタジー、もしくはグリーンマイルとかスタンドバイミーなんかの感動作で知られてるけど
短編は、そのあっさり加減がまた美味です。
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スティーブン・キングの久々の短編集。それぞれ、いい。キングらしい短編が続く。「ジンジャーブレッド・ガール」は、まさに王道。そして、この本に納められている全ての短編の中で、「彼らが残したもの」が何よりも、印象深く、よかった。本当に、久々に本読んで泣くかと思った。解説によると、大きな短編集の前半部分がこの本とのことなので、後半部分も楽しみ。
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不思議なお話の数々。
個人的には「エアロバイク」が好き。
ただ、傑作なのは「彼らが残したもの」だと思う。
同時多発テロの被害者の人たちに思いをはせることができます。
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キングの短編集。
*ウィラ
*ジンジャーブレッド・ガール
*ハーヴィーの夢
*パーキングエリア
*エアロバイク
*彼らが残したもの
*卒業の午後
ここに描かれているのは、喪失なのだと思う。
人が生きるということは、常に何かを失っていくことなのだろうか。きっと、同じだけ何かを得ているはずなのに、最後に残るのは失われたものの空白だけだ。
そして、それが宇宙の真理であるからこそ、あがく。
「ジンジャーブレット・ガール」の主人公の強さは、まるで暗闇をてらす光のようだ。
「彼が残したもの」の主人公の行いは、体を温める炎のようだ。
そうか、命という輝きが最後の最後には、全てを照らすものになるのだ。
やはり、キングはかわったなと思う。
…年を経て、丸くなったという類のものかもしれないが、それは一種の美しさなんだと感じる。
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ひたすらに具象を積み重ねた質実な行間からしっかりとみずみずしい感傷が立ち上がる。今、自分はこの本と、とても人間的な何かを分かち合っているという思い。
『ジンジャーブレッド・ガール』では筆力は最高潮に達する。非常にスピード感のある緊迫した文章に、「読んでいる」意識がすっかり飛んでいたほどだ。それにしてもまるで現在の自分の体験を実況しているかのような、具体的描写のうまさはすさまじい。私が文字を追う速度と、描かれている事件が進行するシンクロニシティも絶妙だ。この中編を読んだあとはしばらくの間、自分の些細な行動を頭の中で詳細に実況してしまう癖がついてしまった。
ストーリー的には、どの作品も起承転結があいまいで、完結した印象をあえて排除している。その代わり、ある人物のある状況を、深層までも克明に浮かび上がらせようと試みているようで、個人的には好きな作風だ。しみじみした筆致が胸を打つ『彼らが遺したもの』、ナンセンスで可笑しい『エアロバイク』、得も言われぬ不安の予感を的確に文字に置き換えた『ハーヴィーの夢』、さすが巨匠とうなずく粒ぞろい。
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スティーブン・キングの短編集の分冊化一冊目。
七話収録。
「キャリー」「it」「シャイニング」の雰囲気はない。
どちらかというと「アトランティスのこころ」「マンハッタンの奇譚クラブ」に近い作風。
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読後より、随分と時間も経ってしまったので、心許無いレビューになってしまうが・・・
ひさかたぶりのスティーブン・キングということで楽しみにして読み始めた短編集であったが、どうもピンと来ないというか高揚感に欠ける感じが全体的に漂っていた。
「ジンジャーブレッド・ガール」だけはそのタイトルのインパクトとともに、途中からのスリリングな展開に心を奪われ、先を急いで読み進めたのであった。映画にしても良いほどのスリル感があった。
過去に読んだ作品がどれもこれも面白かったので期待し過ぎてしまったのであろうか。
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キングの短編集。世にも奇妙な物語って感じです。最初の二話はふーん。こんなもんか。という感じ。「ハーヴィーの夢」でちょっとひっかかり、「パーキングエリア」はちょっと笑え。「エアロバイク」はこれがキングかも!と思える面白さで、「彼らが残したもの」は前半ん?とおもいながら読んで、後半なきました。「卒業の午後」はキングの夢からきたものらしいですが、まさにそんなかんじ、え?ここで終わり?という(^_^;)。
久々読んだキングですが、彼の心理描写はああ、わかる!と思える部分があるものはほんとに共感できて面白い。「エアロバイク」と「彼らが残したもの」だけでも読む価値ありました。
「彼らが残したもの」は読み手によっては不謹慎って思うかもしれないテーマだけど、とても客観的で変に思想アピールしてないものなので、素直に読めました。
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短編集で、僕のお勧めは「ジンジャーブレッドガール」と「エアロバイク」。
ちょうどジム通いを始めたせいか、ちょっぴり精通のあるストーリーです。
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キングの割りにはひっそりと出版されていました。気付かなかった・・・再開したダークタワー・シリーズがあまりにつまらないので少しキングから離れ気味だったのですが、この短編集(第2分冊もあるとのこと)は面白い!しみじみ幽霊話から、これでもかっ、の殺人鬼からの脱出、自分のしょうもない夢、9.11後をテーマにした作品など多彩。短編の書き方を忘れたなんて嘯いてますが、昔の短編集より断然面白くなっています。著者の作品はホラーといわれていますが、ホラー的には怖くない。でも、ちょっとした不安感もキングにかかれば、虫眼鏡で見るように拡大して、とてもグロテクスクな世界として描き出されてしまうし、遠くの大災害や事件も望遠鏡のように目の前で起こっているように恐怖させてしまう。エアロバイクをホラーの題材にしますか普通(話としては、どうということはないのですが忘れられなくなります。)虫眼鏡や望遠鏡で「こんな不安、気持ち悪さを感じているでしょう」が明らかになる快感。これこそが僕がキングに感じている魅力なのだと思う(マゾか俺)
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時々ブンガク的な小説も出すキングだが、やはりこういうちょっとホラーチックなものがよい。翻訳も安定感のある人たちで分担されており読みやすい。超自然的な話や殺人鬼との追いつ追われつなど、7つの短編が収められており、著者自身によるあとがきもある。二分冊のうち下巻にあたる部分も近日刊行予定だとか。■生きている赤ん坊は夫婦をつなぎ止める糊だが、死んだ赤ん坊は絆を溶かす酸だ。
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正直微妙な話も含まれてる短編集だが中編「ジンジャーブレッド・ガール」はガチ。
幼い娘を亡くした痛手から立ち直れない女は、ある日ふと走ることに興味を持つ。何の脈絡もない行為ではあったが「取り憑かれたように」走り始めた。倒れるまで走る彼女を夫は理解できない。
夫婦は「冷却期間」を設けることとなり、エミリーは父親の別荘がある島へ移った。
普通に予想される展開としては、人々と触れ合い心の交流を果たすうちに傷が癒え、人生と前向きに付き合っていく決意を固めたところで夫と和解して終わりだろうが、そこはキング御大。まったくこちらの期待どおりにならない。
エミリーは頭のイカれた殺人鬼に遭遇する。死体を発見してしまったのだ。一度は彼に捕まったエミリーだったが隙を見て逃げる。そして彼女は走る、走る、走る。なぜ走るのか。これまで自分でも分からない衝動に突き動かされてきた彼女は、今度はハッキリと「生きるために」走る。その中でエミリーは再生していく。その姿が実に感動的。
小難しい哲学や宗教、通り一遍の感傷的なスタイルに用はない。エミリーはガムテープを剥がし、肉切り包丁を振り回し、椅子の肘掛けで男を殴打するのだ。そして追いかけてくる男を振り切るため走る。そうした具体的でサスペンスフルな行動の積み重ねがエミリーを再生させる。
説明してしまえば1行で終わることを1ページ、2ページかけて語り尽くさねば気が済まないキング御大の執拗な描写も今回は冴え渡っている。
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大好きなキングの短編集です。7編収録。大好きなキングがあの「9.11」を題材にしているなんて、それだけでどんなものか心躍らせて読み始めました。
「ジンジャーブレッド・ガール」
ローズマダー的な怖さ。追われる恐怖、逃げる女性。すごい緊迫感で次々読み止まらなかった。
「ハーヴィーの夢」 、「パーキングエリア」、「卒業の午後」
世にも奇妙な的な。しかし描写が緻密。
「エアロバイク」
すごくドキドキした。自分の体という工事現場でカロリーと糞の処理に働く4人の男たち。画家の想像の産物にすぎないはずだった彼らは、「ダイエット」によって自分たちの仕事を奪う「体の持ち主」に憤りを感じ始めていた。
絵が動く、自分が自分に殺される。現実か夢かわからなくなっていく構成が良い。
「彼らが残したもの」
9.11を偶然回避した男。しかし彼の部屋にはなぜか死んだ同僚たちのデスクにおかれた”遺品”が現れ…
アメリカに大きな衝撃を与えた9月11日のテロ。少し怖く、ミステリアスに、しかし暖かく短編にまとめているのは素晴らしいと思う。いいエンディングだった。