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俳句の良し悪しは分からないけれど、好きな句は幾つかあった。平明で、言葉のリズムを大切にしていて、漱石は、俳句でも漱石だった。
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イギリスに出発した時よんだ「秋風の一人をふくや海の上」、晩年の「秋風や屠られに行く牛の尻」、32歳時の「われ折々死なんと思ふ朧かな」が特に好き。
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660
私の全体的に感じた印象ではオシャレな俳句が多いなと思った。キザな印象もあるし。276番の菫程小さき人に生まれたしこれは真性の天才だと思った。
漱石は生涯に約2600句の俳句を残したとのことだが、本書にはその約3分の1に当たる848句が収録されている。
8.わが恋は闇夜に似たる月夜かな
10.朝貌や咲たばかりの命哉
13.君逝きて浮世に花はなかりけり
17.骸骨やこれも美人のなれの果
21.聖人の生れ代りか桐の花
27.弦音にほたりと落る椿かな
30.風に乗つて軽くのし行く燕かな
110.陽炎の落ちつきかねて草の上
126.うつむいて膝にだきつく寒哉
128.凩に早鐘つくや増上寺
194.大空や霞の中の鯨波の声
224.反橋の小さく見ゆる芙蓉哉
232.月東君は今頃寐てゐるか
243.盛り崩す基石の音の夜寒し
258.どつしりと尻を据えたる南瓜かな
268.落ちさまに虻を伏せたる椿哉
276.菫ほどな小さき人に生れたし
287.角落ちて首傾けて奈良の鹿
292.濃かに弥生の雲の流れけり
294.魚は皆上らんとして春の川
314.冷やかな鐘をつきけり円覚寺
316.仏性は白き桔梗にこそあらめ
322.こおろぎのふと鳴き出しぬ鳴きやみぬ
324.明月や無筆なれども酒は呑む
342.行く年や猫うづくまる膝の上
352.一尺の梅を座右に置く机