「その女アレックス」を読む前に読め
2021/10/07 10:08
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投稿者:jack - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず重要な点ですが、同著者による「その女アレックス」以前の物語になるので、
先に「その女アレックス」を読んでしまうとネタバレになってガッカリするところが出てきます。
内容はひたすら残虐性の高いものになっています。
人間がボロ雑巾のように描写されることに耐えられる人だけが読んで下さい。
あとは著者のデビュー作だけあって、詰めの甘いところもあります。
「その女アレックス」はサスペンス色が強かったのですが、
本作品はミステリ寄りになっています。
本作品は「面白い」と言ったような評価をするようなものではありません。
人間の持つ闇の部分を好奇心で覗いてみるような、そのような作品です。
話変わって、こういう系統の日本のミステリとしては、我孫子武丸の「殺戮にいたる病」があります。
個人的には暴力性も残虐性も「殺戮にいたる病」の方が上だと思います。
総評ですが、暴力性の描写に頼ってる部分があり、ミステリとしては最後の詰めが甘すぎる。
サスペンスとしてはそこそこの出来。しかも日本訳の出版の順番がおかしい。
なぜネタバレになってしまうような順番で出すのか?
よって星は3つ。
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悪くはないが、その女アレックスの方が段違いに良いのでちょっと残念。死のドレスを花婿に、もなかなか良かった。本作はもうひとひねり欲しい感じ。
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『その女アレックス』の前日譚。
邦訳の順番は本書が後になってしまったが、本来はこちらが先……というか、色々な意味でこちらを先に読むべきだ。しかし、『アレックス』のヒットが無ければ本書の邦訳もなかったわけで、これも翻訳ものの宿命か……。
これから読もうとしている人は、こっちから読んだ方がいいよ~。
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ルメートルのデビュー作であり、ヴェルーヴェン警部シリーズの1作目なんだって!
なんでシリーズ順に翻訳しないかね……『その女、アレックス』読了の人には、タイトルだけで大ネタバレだっつーの!
とはいえ、ネタバレしてなかったらつらくてせつなくて読めなかったかもしれない……とも思う。
大人の事情もあるんだろうが、文春のミステリベスト2015海外部門1位も納得です。
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怒涛の猟奇殺人が描かれる一方で、小説へのオマージュが感じられて奥深かったです。私のような凡人でも、早い段階で犯人の目星がついたのですが、まさかこういう展開とは、、。読了後呆然としました。この事件の後、アレックスにてカミーユは復帰したんですよね。精神力強すぎです。
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残念なことに、『その女アレックス』とタイトルの盛大なネタバレのおかげで、結末はだいたいわかってしまっている。それでも一気に読んでしまうくらいに面白いお話だった。
この作者の持ち味である、あるきっかけで読者の認識を180度変えてしまう仕掛けには、今作でもやられてしまった。なんてものを延々と読まされていたんだという怒りすら湧いた(笑)。
しかしこの仕掛けのせいで、よく知っている人のことを本当は何一つ知らなかったというような心細さを感じてしまった。後半には、前半のようにのめり込めなかったかもしれない。
しかしそれすらも仕組まれていたことなのかも。結局読者は、作者の掌の上でいいように転がされてしまうものなのかもしれないなあ。
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読みやすく、展開がスピーディーで1日で読み終えた。最後の展開が少し荒っぽかったが、とてもおもしろかった。
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3冊目にして、初めて終わり方がもやもやしなかった。
でもでも!今回、相当早く犯人がわかってしまい、あーカミーユ、なんてバカなことしてるの!と、何度も思った。
そういった意味では、違ったもやもやが発生した。
そんなカミーユも、人間らしくて魅力的なのかもしれないが。
今年、ルメートルと出会えて良かったな。
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最後まで気の抜けないストーリーでした。読み終わった後の何とも言えない気持ちの悪さ。でも、それが癖になりそうでした。
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カミーユ警部シリーズ第一弾。
完全にやられました。
二部構成でとんでもないトリックを使ってきました。
ミステリー的には平凡とも言えますが、過去の名作へのリスペクトなども感じられ、著者は本当に本好きなのですね。
それにしても猟奇事件が多すぎ、フランス版ライムシリーズという感じもしてしまいました。
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『その女アレックス』を読んでいいれば
最終的に何が起こるかわかっているはずなのに
ながいながい第1部を読み終わるまで騙され続けた。
凄惨な事件を追う第1部、
第2部に向けて加速度を増すその後半、
結末を知りながら読まざるを得ない第2部。
読み終わってみれば後味どころか、
事件発覚から途中の胸糞悪い過去も、
心休まる場面や葛藤も、
舞台や題材、目的は異なっていても
I.マキューアン『贖罪』にも似た
読後にもう一度読み返したくなる感覚。
アイディアというかテクニックともいえるか、
しっかり物語、犯人の真の問いかけに
知らず知らずのうちに引き込まれ、
すべて作者の手の内で転がされた一気読み。
『その女アレックス』を読んだ後、
ヴェルーヴェン班の友情、信頼、チームの補完関係を
より読みたかったが、こうして築かれたことを知ると
胸が痛くなる。
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気持ちがザワザワする。頭もザワザワする。本当にそこへ行くの??そして読んできた物の本当の作者は誰??うう~~確かに起きた事はいったいどれ??
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こうして読んでみると、こちらが日本で先に刊行されず、シリーズ2作目の「その女アレックス」が先に刊行されたのが残念でならない。私はあまりネタバレを気にしないほうだが、これはどこをどう読んでも順番が逆であるべきだった…!
2作目自体が本作のネタバレになっているので、もしまだどちらも読んでいない人は是非「悲しみのイレーヌ」→「その女アレックス」の順に読んでほしい。後者で折に触れて描写されていたヴェルーヴェン警部の悲嘆と喪失感は前者で痛いほど分かる。
「その女アレックス」ではアレックス視点も大部分を占めていたが、こちらでは完全にヴェルーヴェン警部視点で話が進む。
シリーズ初回なだけあって、仲間のルイ、アルマン、マレヴィル、そしてボスのル・グエンを含めたチームワークも色濃く描かれている。
ただし、アルマンのサプライズや警部たちの情がいくらか救いを残してくれていた「その女〜」と違って、本作ではまるで救いがない…orz
まだ刊行されていないシリーズ3作目が待ち遠しい。
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「怖い…」、同時に「不可解極まりない」状況の殺人事件が発生してしまい、刑事たちは懸命に捜査活動に勤しむ。そして思いもかけぬことに気付き、捜査が大きく動く…
「怖い…」と思う一面も在りながら、何か「脱け出せない」感じになって、どんどんと頁を繰ってしまい、夢中で読了した…
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筆者のデビュー作で、ヴェルーヴェン警部シリーズ1作目。
評判だった『その女アレックス』を先に読んでいたのだが、細部を忘れていたので、個人的には「ネタバレ」は感じず、本書の読後感の後味の悪さは、この上なかった。
本書冒頭から始まる殺人事件が、これまた凄惨な描写。
(ここで読むのを止めてしまう人が多いかも。でも、少し我慢して読み進めて欲しい。)
また、物語の内容・展開のために、殺人事件(そのどれもが凄惨なもの)も多く出てくるので、こういうのが苦手な人は読みにくいだろうが、丁寧に展開を追っていくと、様々な伏線がきれいに置かれていることが、クライマックスを迎えるにつれわかってくる。
また、他の実在するミステリー小説も絡ませ(上記のように凄惨な事件)ているのも、巧みな仕掛けになっている。
小説の中の「新聞記事」「手紙」といった小道具もストーリーテリングに使われている。
『その女アレックス』よりも『悲しみのイレーヌ』の方が、はっきりいって、猟奇性、凄惨な描写が多い。
『悲しみのイレーヌ』も、『その女アレックス』と同様に、物語(事件・犯人追及)が、次々と「どんでん返し」されていき、思いもよらない展開に。
そして、結末…。
どんどん読み進められます。
ただし、繰り返しになるが、猟奇的殺人事件が多く出てくるのが辛い。
だが、それでも、ページをめくる手を止めさせないストーリーテリングはみごと。
なんといっても、実在のミステリー小説と架空のミステリー小説と物語を絡ませて物語を進行させる手腕が凄いと感じた。
長い長い、とにかく長い「第一部」と、まさに正反対に、短い「第二部」・「エピローグ」の差が激しい。
そして、この上ない後味の悪い読後感。
『悲しみのイレーヌ』は、単独のミステリー小説の作品として楽しめると思う。
「ヴェルーヴェン警部シリーズ」の未邦訳の作品が楽しみである。
ただ、多くの方が指摘されているように、やはり、原題の“Travail soigné”(『丁寧な仕事』か)を考えると、邦題はもう少し考え直した方がいいと思う。