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多田将 「ミリタリーテクノロジーの物理学」
原子の構造から 原子炉や核兵器の仕組みまで わかりやすく説明した本。文系でも 原子炉と核兵器の相違点、エネルギーの正体、核兵器の原理を理解できる良書
環境や安全性への不安から 国際社会だけでなく日本の世論も脱原発や核不拡散の流れにあると思うが
物理学的な原理だけを知ると エネルギー技術としての魅力はある。
この本を読む限り、民事利用の原子炉と 軍事利用の核兵器(原子爆弾)の原理は同じ。
核兵器を持たずとも、原子炉を持ち、原子炉の臨界点管理について 豊富な技術と経験を持っている日本は 原子爆弾を持っているに等しいように感じる。
潜在的核保有としての外交的脅威はあると思う。
開発と商業化の途中にあるニュートリノに期待するより、原子力の暴発を防ぎ、暴発を止める技術はこれ以上進まないものかとも思う。原子より小さいニュートリノを使って 破壊できないのだろうか?
強大なエネルギーの正体、核分裂や核融合といった核兵器の原理は 原子の構造がわかれば 単純だった
*エネルギーの正体=陽子と中性子をくっつけている 原子核の「強い力」と電磁力の結合エネルギー
*核分裂=大きくなりすぎた原子核を分裂したもの。核融合=小さな原子核が合体したもの
原子爆弾と水爆の違い
*原子爆弾=核分裂させる核兵器〜 高濃縮ウランを燃料とすることにより、一瞬で超臨界状態をつくる
*水爆=核融合させる核兵器〜超高温プラズマ状態を作り融合させる。核融合の方が手間がかかるため、核兵器や原子炉は核分裂型が主流
原子の構造
*原子核は中性子と陽子の組合せでできている
*陽子と中性子を結合させる力と陽子の電磁力のバランスがとれていなければ原子核として安定しない
*原子核の「強い力」〜電磁力より強い力を意味〜陽子と中性子を繋ぐ力
*電磁力は陽子にしか働かない反発力〜強い力は陽子、中性子とも働く繋ぐ力
*強い力は、少し離れると強くなり、近すぎると弱くなり、離れすぎると働かなくなる