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ネガティブなこともまなまなしいことも一貫して爽やか。
頭で考えることが多くなってしまいがちだけど、『感じる』っていうのも大事なんだと思った。
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よしもとばななの小説を読んだ後にいつも感じるのは、短篇であれ行間にみっしりと詰まっていて、その感情の細やかな起伏を読み取っているうちに終わってしまう、分量以上のものを読んだという充足感であるのだが、この作品にはそれが無かった。
それは決して悪いことではないのだが、少なくとも言葉の厳密さと文章の緊密さが、従来までの作品にはなく緩慢で、悪く言えば散漫に近いかもしれない。
それでも、妊娠という命を宿す状態を、そのまま書き下すとしたらこういう描写にならざるを得ないのだろう。
この作品では自分と人との関わり方を、妊娠し出産するという期間を通じて一人称で生々しく描いている。それは両親と姉妹という過去の家族であり、自分の子を中心とした未来の家族であり、その間に常に存在する自己を見詰めようとしている。
精神的にも肉体的にも不安定な状態で、感情も理性も揺れ動くのだが、それでも人との交わりを根元から見直そうとしているのが、ある意味新鮮なように思え、かつ直観的に正しいことを描いているような気がする。
素直に、「女性って偉大だなぁ」と思えた。
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女としての生生しさを個人的には感じた作品。
ばななさんの私小説とも思えるような内容で、素直で淡々とした文面から
日常とその中にある非日常が伝わってくる。
男と女の違いというものを、否応なしに考えた。
やはりまったく変な意味でなく、役割が違う生き物なのだと改めて思った。
人間と言っても動物なのだから、本能というものはある。
雄は戦い、雌は守る。
そういう役割分担がきちんと出来ているのだ。
現代は女が戦いながら守ることもしなければいけなくて
というような記述にははっとした。
また性別の違いを抜きにしても、本能について考えさせられた。
『現代化』でセンサーが鈍ってきていて
霊感や直感、第六感だとか虫の知らせだとか呼ばれるけれど
やはり人には本能が備わっていて
その本能の『声』は雑多なことに掻き消されることが多い世の中だが
感覚を研ぎ澄ませていれば聞き届けることが出来るし
お腹の中に自分以外の命が宿っていれば尚更
守らなくてはという本能が働くものだろう。
また、南の国や田舎に療養に行ったり、寺へ行ったりすれば
静かな環境で本能に寄り添いやすくなり
歪んでいたことも修復されていくのではないかと思う。
オカルト的なことでなくとも、日常にちょっとした不思議は溢れていて
なんとなく嫌だな、とかなんとなくこうかな、と思ったことが
実は的を射ているということは結構あるものだ。
日常を本能に従い、良いものを選び取って間違えずに生きていくことは
誰の邪魔がなくとも実は難しい。
2017.9.2 再読
生々しさが、前回よりも受け入れ難い気持ちが出てきていて、
共感まではいけない部分があった。
日本だから駄目、ということはないはず。
なぜ母親がいるのにもうひとり母親を欲するのか。昔と違ってなにもこらえてないのに母親だけは求める
というのは苦笑しつつ頷いてしまうし
剥製についての考えは同じだと思う。
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よしもとばななさん自身の経験から書かれたんだろうな。。。と。
お寺に料理を作りに行くあたりから
ぐんぐんスピードが上がり、急に面白くなりました。
私自身が出産の経験があるので、余計に楽しめたのかもしれません。
そこまでの過程は、
自分自身を認めて、まるごと受け入れられない可哀想な主人公が、
グダグダ勝手なこと言ってるなぁーと^^;
出産したからといって、そんなに人がカンタンに変わるはずもなく
世間一般的な枠(結婚や同居)からは遠いようで。
そんな自由?って言ってもいい状況の
幸せな主人公がうらやましくもあり。。。
久しぶりによしもとさんの本を見ましたが、
1章・2章などの区切りないので、
こどもの相手をしつつ…とか、
家事をしつつ読んでいると、どこまで読んだのか分からず
また少し前まで読み替えしながら読みました。。
正直疲れました。
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久しぶりのばななさん。すごく良かったです。最初はなかなか話しに入れなくて、集中できなくて、読んだところを何度も読み返したりなんてしてしまって、これは読み終えないかもしれないなぁと不安にもなりましたが、お寺に行った辺りからぐいぐい引き込まれました。まったりしてるようだけれど、実はいろいろなことが変化していて、その変化が素敵。不満を言うと子供にとっては父親はいた方がいいんじゃないかってこと。今はシングルマザーが随分浸透しているとは思うけれど、それでも差別的な目で見られたり、扱われたりすることがあると思うのです。自分の子供にはそういうことは少しでも減らしたい。特に何も術のない小学校から高校卒業辺りまでは集団生活を過ごすわけですから、みんなと違うことを苦痛に思うこともあるかもしれない。そういったことを全て前向きに、特に気にも留めずにいられる子であればどうってことないかもしれない。でもそんなことは稀なんじゃないかな。そんな風に思い悩む原因を親が作ることにはどうしても賛成出来ないのです。自分がそんな過去を持っているからなのかもしれないけど。だから認知だけに終わらずに、ちゃんと籍を入れて欲しい。
でもキミコさんの考え方はとてもカッコ良くて好きです。私は神経質にどうでもいいことをぐだぐだ考えてしまう方なので、何とかなるさと予想外の場面も楽しめる懐の大きい人間に憧れます。私はアドリブの苦手な小心者なのです。
とても素敵な世界だったのでもう少しその世界を楽しみたかったなぁ。
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よしもとさんの文章はとても好き。言葉がふわふわしている感じで、その空気感というか、ニュアンスが読みながらも感覚で理解できて、最初からどんどん本の中に入って行ける。
そして言葉が心にしみ込んでくる。
剥製のおかれた友人の別荘で過ごすシーンなどは、本当に怖くて怖くて、思わず声が出てしまったほど。
いや〜、とてもいい本だった。
幸せな気持ち♡。
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あったかい話だったな。
お母さんに私がお腹にできたとき、妊婦だったとき、生まれたとき、どんな感覚だったのか聞いてみたくなりました。
うまく表現できないけど、この話を読んで家族や恋愛に対して自分の中にあった靄が少しだけ晴れた気がします。
本を読むのと実際自分が歩むことはもちろん違うけど、こんな風に考えるのは自分だけじゃないんだと安心?したりもして…笑
本も出来事も一期一会を大切にしたいと思いました。
うまくまとまらないけど今の自分に必要な一冊だったんだと思います。
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彼との恋愛の在り方も、関係性もどことなく掴みどころがないんだけど、形のない自由さを感じます。
そして、そこにある愛情の深さが心地よかったりもしました。
自然な流れの中で、そんな関係がつくれるなら、ちょっとうらやましいです(^^;
妊娠を知った時に感じる、ちょっと不思議体験、(ばななさんも、あとがきに、オカルト的と書いていますが…)分かる気がしました。感覚が鋭くなっているんだと思います。
子どもがちゃんとお腹で教えてくれているような…。もう、ずいぶん前のことですが、思い出しました。
嘘のない関係、鷹揚としたキミコをとりまく人々との繋がりが自然で、柔らかい感じがして良かったです。
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新刊のときに本屋で見かけたときは、「今読む本じゃないな」となぜか思ったのを覚えています。
ばななさんの本は、すぐに買うのに。
そして、最近旅行中に読みました。
すばらしくよかったのは、今の私にぴったりのことばがたくさんあったからでしょう。
「剥製」にする必要はない、そう思えました。
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ちょうど、息子を出産後に読みました。
主人公が、子を宿す過程から、出産までの感情が丁寧に描かれていて、とても感情移入ができました。
何度でも読み返したくなる大切な本です。
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テーマは命について…
死の暗いイメージとか、生きる障害とか疲れっていう暗い要素が、
赤ちゃんを授かることによって
生きることへの別のイメージがでてきます。
「生きる希望!!」
とかそういう単純なものではないけど
なんか、妊娠してパワーをもらってるのがすごくわかる。
この女の人しか味わうことのできない体験は
すごくすごく神秘的で貴重なんだな。って思いました。
妊娠自体が、命とか生きるとか言うことをすごく象徴してる気がする。
そんな貴重な体験を、自分の母がしていると思うと、なんか変な感覚。
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イルカをみるとなぜだかほっこり幸福な気分になる。
――恋愛はいつでも時間を奪う。必ず冷めるとわかっているのに、そのときは巻き込まれて気づかないうちに、いろいろなものを失ってしまうし、私のための時間が減ってしまう。まだ誰にもなにかを与えたいというほどには愛してるいないのに、私はまた私をひとところにしばりつける流れの中に入ってしまいそうになる。
よしもとばななさんらしい表現。決して甘すぎないものがたり。
最後は涙がでた
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とりあえず剥製というものに対する嫌悪感が倍増。
魂は物質に宿るものじゃないし、物で繋ぎとめてられるような簡単なものじゃないよね。
思い出と同じように、まぼろしのようなもの。
限りがあって消えていく、儚いけれど、消えるのは悲しいけれど
永遠を求めるのは間違ってる。
彼女の本を読むと生と死に対する気持ちや、風景が放つ一瞬の美しさや強さ
がいつもより研ぎ澄まされる気がする。
網戸をすり抜けて入ってくる風の匂いや、
下をゴウゴウと唸って走るトラックの音、光のまばらな色合いが、
鋭く体全体に伝わってくる。
描写があまりにも綺麗で、ストーリーというよりも
その表現の美しさに涙が出てくる。
こんなふうになるのは彼女の本だけだな。
うらやましいな。
逆にストーリーはいつも凛としている主人公で、周りの人もあったかくて
共感できることは結構少ないんだけど(笑)
ひとりでぶらっと遠くに行きたいです。
スペインに行きたい。
貯金はあるからいつでも行けるんだけど時間がない。
時間がある時は金がない。
人生なかなかうまくいかないもんですw
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イルカから始まり~彼氏 友達 家族・生と死そして結婚
日本ではあまり知られていない事実婚の在り方をなんとなく素敵な方向で書いてくれた作品です。
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主人公の生き方が素敵
ワタシも”流れる水のようにそこにたつきれいな泡のように、生きて死んでいきたい。水の底にはコケも生え、ぬるぬるした魚やどろどろしたヘドロみたいなものもたくさんあるだろう。そういうことも含めて、そのままで生きて生きたい。”
人生に悩んでいる今のワタシが読むから余計、共感したんだろう。あまのじゃくだけど、前を向いてあるいているそんなキミコ。
そこに留まりたいけれど、そこにいる人々を愛せるほども自信がない。
いやーいい本!!!!!!
温かくなる!
目の前が見えないけれど、一日一日を生きていけばいい◎