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私が読んだ薬丸岳さんの著書のうち、デビュー作であり、江戸川乱歩賞受賞作『天使のナイフ』では少年犯罪の被害者遺族の視点から。『虚夢』ではこちらも被害者遺族視点で少年犯罪ではなく刑法39条を扱っています。
今回、『友罪』は少年犯罪のその後、少年法で守られ十数年経った頃の加害者である鈴木を軸に、主人公の益田、2人の同僚である藤沢、鈴木が院で母親のように慕ってきた白石といった3人の視点から物語は進んでいき、進むにつれ鈴木の過去が明らかになっていく中、益田と藤沢はその事実を突きつけられ鈴木の過去と同時に自分を苦しめていた過去とも向き合っていく・・・。
この本が訴えてくるものは数多くあり、「その過去を知っても友達でいられるか?」、「罪を背負った者の償い、贖罪とはなにか?」、「可塑性を重んじ、被害者を軽んじる法律」など多数あると思います。『虚夢』に関しては心神喪失者は罰しない。責任能力がないものを非難することができないとあることについてこちらも多くの問いを投げかけられます。
薬丸岳さんの著作は本当に考えさせられる点が多い。フィクションではあるが、現実にこういったことは普遍的にも起こりうる。多くの問いに対して目を背けてはならないということを著者は訴え続けているのかもしれない。
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自分の周りにいる人が罪を犯した場合、自分はどのようにその人と付き合っていくか?マスコミのあり方など考えさせられる点が多い。分かりやすい展開だが、もう少し捻りが欲しい感じ。
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傑作。こんなにも心が揺れ動く作品は稀。賛否両論あるだろうが彼らの姿に何かを感じることだろう。
あらすじ(背表紙より)
あなたは“その過去”を知っても友達でいられますか?埼玉の小さな町工場に就職した益田は、同日に入社した鈴木と出会う。無口で陰のある鈴木だったが、同い年の二人は次第に打ち解けてゆく。しかし、あるとき益田は、鈴木が十四年前、連続児童殺傷で日本中を震え上がらせた「黒蛇神事件」の犯人ではないかと疑惑を抱くようになり―。少年犯罪のその後を描いた、著者渾身の長編小説。
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ずっと気になっていた本。ようやく読むことができた。
きれいごとだとわかっていながら、益田には鈴木を擁護して欲しい…藤沢美代子には鈴木に寄り添ってあげて欲しい…と祈るような気持ちで読み進めた。その願いも虚しく、益田が提供したネタが週刊誌に掲載され、鈴木はみんなの前から姿を消すこととなる。これが現実であろう。
これを読みながら思い出したのは神戸で起きたサカキバラ事件である。
筆者は神戸出身で私と同年代なので、やはりこれがベースになっているのだろうと想像する。
そうなると、友達でいられるか…?
やはり無理だ。知ってしまった益田の苦しみは想像を絶するし、同僚や社長の言動もリアルだ。
最後、益田の行動と手記に救われた。
どうか鈴木が読んでくれますように。
以下、印象的な鈴木の言葉。
「いつも過去に苦しめられる…どこに逃げても過去が自分を追いかけてくる。どんなに普通に生きたいと願っても、みんなよってたかって過去をほじくり出してさらしものにしようとするんだ…」
「別に悪いことはしてないじゃないか。人を殺したわけじゃないし、罪を犯したわけでもない。逃げ回ることなんかないよ。」
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やはり薬丸岳さんの著書は、人間関係などがわかりやすく、疾走感もありすぐ読み終わります。
現実に起こり得そうなヒューマンドラマチックな
内容で、リアリティがあり面白かったです。
強いて言うなら、天使のナイフのようなどんでん返しが欲しかった。ミステリーではないので何も言えませんが。
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―過去に重大犯罪を犯した人間が、会社の同僚だとわかったら?―
読んでる時もずーっと考えてたけど
答えは出なかった。
でも急に態度を変える従業員達には
嫌気がさしたし、
AV嬢に嫌がらせをしてる
男も怒りが湧いてきた。
でも自分ならまだしも
自分の子どもの側に
元少年Aがいたら
気が気じゃないだろうなあ。
平成27年12月17日読了
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過去には長さがある。
過去には重さもある。
過去には色すらもある。
忘れてしまった過去と
鮮明な記憶に残る過去。
ぼんやりとおぼろげな過去と
勘違いや記憶違いという言葉で塗り替えられた過去。
忘れてしまいたい過去と
忘れることが許されない過去。
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結末がわかっているのに、やっぱりぐっときた。
薬丸さんは、いつも難しい問題を突き付けてくる。
関わらずに生きてしまえれば、それはそれで幸せなのだろうけど、だからこそ、もしそうだったらどうする?と問われることは大事なのだと思う。
知らずに生きること、目を背けて生きることは楽だ。
でも、それで済ませてはいけないことが世の中にはあるということを、考えながら生きたいと思う。
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主人公が友人の過去を知るのが意外と早目。正解のないテーマーなので終わり方も「正しいかわからないが私はこうする」という普通の結論だった。が全般的に退屈せず読めた。一番気に入らなかったのは少年が先生と呼ぶ女性。こじれまくった親子関係がビンタ一発ではい仲直りって、そんな使い古されたことで元通りになるわけがない。甘すぎ
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さすがの薬丸作品。重いし、しびれるし、ご都合展開なんて無いし、ページ数の多さを感じさせない。さすが。
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もし親友が、過去に殺人を犯していたら受け入れることができるだろうか。重いテーマの作品だった。罪は償えるのだろうか。普通の生活を送ることができるのか。私には、答えがわからない。
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本書は神戸連続児童殺傷事件を沸騰させるが、事件とは関係なく、フィクションだそうだ。あくまでも、「もし親しくなった相手が、かつて重大な犯罪を犯していたとわかったら…」ということに重点が置かれている。面白いことに、元犯罪者視点の描写が一切出てこない。彼については、最後まで摑みどころがない。私ならどうするだろうか。きっと友達関係は続けられないであろう。なんせ過去に人を殺しているのだから。しかも、残酷な方法で。ただ、登場人物の内の山内さんには心底同情する。彼は、息子が飲酒運転をして誤って児童3名を轢き殺しているのだ。その内1名は、山内さんの親友の一人娘である。山内さんは直接悪くはないのだが、世間や被害者からの強烈なバッシングにあい、妻と相談のうえ家族をやめてしまう。そして今もまだ罪を償い続けている。このケースは辛すぎる。私なら、などと安易に考えたくないほど、悲しい内容なのであった。
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殺人犯罪者の社会復帰と周囲の理解をテーマにした社会派小説。
友人が過去に人を殺していた。それを知ったとき、その友人に対してどんな態度を取れるだろうか。いろいろと考えてみるが、答えは出ない。その立場となった本小説の主人公は、たまたまマスコミ関係者であり、たまたま訳アリの過去を持っていたことで都合の良い結論に達するが、極端すぎてあまり参考にはならない。
ところで、この小説のモデルはご存知、神戸の酒鬼薔薇事件。最近になって犯人「少年A 」は自らの存在を世間に主張するという行動に出る。小説はさすがにそんな現実を予言しなかった。現実は小説家すら想像できないことが起こりうるのだ。
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寮がある工場に就職した益田は、同じ日に面接入社した鈴木と同僚となり、同じ寮で生活を始める。
しかし、鈴木には重い過去が。
また、益田自身にも過去にトラウマがある。
そして、二人と職場を共にする女性社員にも触れられない過去が。
やはり、薬丸作品は社会や法律の矛盾を突くところが面白い。
自身の身近に凶悪犯罪者がいたらどう接するのか。
犯罪を犯した者や触れられない過去を持った者に生活する場所はあるのか。
正直、読み終わっても何が正しくて何が悪いのか。
自分だったらどう思い、行動するのかわからなくなる作品でもありました。
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薬丸岳の扱う題材は、犯罪に関わるものなのに、切なくて胸が痛くなるようなものばかり。この作品も、成人した猟奇殺人の元少年犯と、彼の周辺の法には裁かれないけれど償いようのない罪を背負った人達、罪は犯していないけれど残酷な世間の物語。読んでいて苦しくなるような重い話なのに、気がつくとほぼ一気読み。