生きるということ
2018/01/11 22:10
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投稿者:ケイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
過ちを犯したことがないと胸を張って言える人はどれほどいるだろう。
過去の自分を消すことはできない。背負って生き続けるしかない。
傷つけられた側が許せない気持ちも、一度の過ちで世間から拒絶される恐怖も、理解を超えた犯罪者を恐れる心理も、想像すると胸が苦しくなる。
反省のない犯罪者もきっといる。一方で狂おしいまでに自分を責めるごく普通の市井の人もいる。深く考えずに騒ぎ立てたり面白がったり正義を振りかざしたりする人間もいる。
大勢に逆らって自分の意見を表明することの難しさ。
ジャーナリズム。
贖罪。
改めて考えさせられた。
読み進めるのが怖かった。でもやはり薬丸岳。救われる。
感想をどう表現すればいいのか
2016/06/30 19:51
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投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
薬丸岳氏の作品は前から一度読んでみたいと思っていました。たまたま入った書店でこの作品が平積みされており、タイトルに惹かれて購入しました。
さて、感想なんですが正直に書くと私の能力では自分が読んでいる最中や読み終わった今、感じたことや考えたことを表現することができません。
それでも、なんとか言葉を探し出して書くのなら
頭で考えることと心で感じることを一致させ、それをさらに行動に移すことのなんと難しいことか!です。
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
失業し住むところを失って社員寮があるというだけで町の工場に就職したマスコミ志望の益田。偶然同じ日に入社した鈴木とは年齢も同じであった。しかし鈴木には言葉で言い表せない不思議な空気を身に纏っていた。鈴木はなんと日本中を震撼させた連続児童殺傷犯であった。益田が鈴木の過去を知ったときに考えたこととは・・・・・。
最後の最後で益田の友罪という意味が理解できました。しかし益田の記事を都合のいいように加工したマスコミの見識を疑いますね。と同時に人の不幸を笑うマスコミって本当に必要かどうかも疑問ですね。周りの人までも不幸や絶望に追い込むことが果たして必要なのでしょうかね?テレビも雑誌もワイドショー化してますね。
1982年生まれであれば
2022/04/14 08:41
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの事件と瞬時に結び付けてしまうでしょう。贖罪と友情が両立するのかというテーマが、全編を通して重く伸し掛かってきます。
傷、闇、正義、正解はあるのか
2018/06/20 09:01
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投稿者:CHANRIE - この投稿者のレビュー一覧を見る
もし、身近な人が世界を震撼させるほどの事件を起こした殺人犯だったら。
誰かを傷つけたり、傷つけられたり、
人は誰しも闇を抱えて生きている。
大事なのは、その闇と向き合って生きているか。
関わらずに生きてしまえれば、それはそれで幸せなんだろうけど、
もし、と問いかけられているところに
向き合って生きる事の大切さを考えさせらた。
知らずに彼と親しくなった同僚益田の葛藤は、まさしく私の葛藤。
ラストは綺麗事過ぎず、救われた気がした。
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投稿者:akiko - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画の宣伝を見て興味を持って購入したため、ある程度中身を知った上で読み始めたので、どうかなと思ったが、それでも十分楽しめた。主人公の心が揺れ動く様がしっかり描かれていると感じた。ラストも綺麗事すぎず、しかし希望も持てて、満足できた。
読み続けるのが怖かった
2017/10/13 14:13
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投稿者:dekakiki - この投稿者のレビュー一覧を見る
結末を知ってしまうのが恐ろしいような気がして、読み続けるのをためらったほど、衝撃的。読後に涙してしまった。
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先に読んだ『Aではない君と』が、現在の犯罪に対する親と子の問題であるのに対し、この作品は、過去に犯罪を犯した者にどう対応するか、どういう態度で接しられるか、を問いかける。
14歳の時に猟奇的殺人を犯し、少年院を経て社会に復帰した鈴木、中学時に友人の自殺の引き金を引いたと思い悩む益田、そしてAV女優という過去に怯える美代子、彼らがそれぞれに交差し、過去が浮かび上がる。
彼らが、今の良好な関係でいてほしいという思いで、頁を繰るのをためらいながらも、その先の破たんを予感し結果を知りたいという矛盾した思いのまま、読み進んだ。
読み手に重い問いかけをする、著者渾身の傑作。
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世間を騒がせた犯罪者が自分の近くに居たら どうするか⁉︎
わからない! その立場になってみないと・・・
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最近薬丸岳さんの作品を立て続けに読んでる。
何作か読んだ中で私はこの友罪が1番ページをめくる手が止まらなかった。
S先生の軽率な行動にイラつきつつも、続きが気になってぶっ通しで読み切った。
多くの人が読みながら益田を自分に置き換えながら読んだんじゃないだろうか。
自分ならどうするか。
私もそれを考えた。
きっと私は鈴木から逃げてしまうだろうな。
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14年前に起こった2人の男児の殺害事件。犯人は14歳の少年だったため名前が報道されることもなく、その後の少年の行方はマスコミもつかめなくなるのだが…
自分の友人や恋人が過去に人を殺していたとしたら、それでも関係を続けられるか?
この本の問いかけはそれに尽きます。登場人物たちの懊悩はそのまま読者への問いかけです。
友人の鈴木が殺人者ではないかと疑う益田、鈴木に思いを寄せる美世子、少年院時代から鈴木のサポートを続けてきた弥生、それぞれの視点から話は語られます。
それぞれが過去に影を抱えており、彼らが鈴木と向かい合うことはそれぞれの過去と向き合うことでもあります。
小学校時代の友人の自殺や雑誌社でのアルバイト時代に人の人生に干渉してしまうなどの苦い経験を持つ益田、
AV女優の過去を持ち、その時代を知る元交際相手から脅迫を受ける美世子、
鈴木のサポートに追われ自身の息子と向かい合えず、家庭を壊してしまった弥生、
それぞれに過去に傷を持つ人々が、鈴木という消しようのない過去を持った男の存在に触れることで、そして変わろうとする彼に触れることで、どのように過去と対峙するのか、少年犯罪のその後という本軸だけでなく、それぞれのドラマも読ませます。
まるで潮が引いていくかのように、鈴木に対しての周りの人々の反応が変わっていく姿はあまりに薄情ではないか、と思う反面、致し方ない、あるいはいい気味だ、と思う自分もどこかにいたりもします。
読んでいる段階では、もし自分の身に起こったら、相手が更正していると思えるようであれば、なんでそんなことをしたのか、今はどう考えているのか、相手から話を聞いたうえで判断したい、と思いましたが、
でも一方でそんなことが自分に本当にできるのか、という思いも抱いたり、結局答えは見つけられなかった気がします。
この手の話でよく聞くのは贖罪であったり、赦しであったりします。しかし、何が贖罪になるのか、被害者や被害者遺族、被害者の関係者以外が、そうした罪を犯した人に何を求めるべきなのか、そうしたことも深く考えさせられます。
あくまで自分の考えですが、犯人は”赦せない”。だから社会から”排除する”。というのは、何かが違うような気もします。もちろん被害者のことを考えると、そう割り切れないことも確かで、結局どうなんだ、という話ではあるのですが。
薬丸さんの少年犯罪ものが、他の少年犯罪ものと一線を画しているように思うのは、単に悲しみや怒りなどといった激情にかられず、何が正しいのかとひたすらに思い惑う著者の姿が、筆勢から浮かび上がってくるからだと思います。それは少年法の賛成派とも反対派とも少し違う視点からの問いかけです。
この作品はミステリ要素のない群像劇の要素の強い作品ですが、それでも従来の薬丸ファンの方もそうでない方にも、心に波紋を広げる作品であるように思います。
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小説家とは。いつも思うけどすごい。
色んな人の色んな想いを書き分けラストへ向かっていくストーリーに引き込まれる。
その人はそう思うんだ、あの人はそう感じるんだ。
色んな人がいてそれが全て間違いではなく。それがすごい。
読む側も色んな感想を持つんだろうなと思う。
でも小説はフィクションだから。だからラストは光が欲しいなとも思う。
現実はそんなんじゃないんだ、いや、そんな感じなのかとも思う。
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とても考えさせられる話だか、直面しないと答はだせない気がする。
正しい答えなんて無いのかも知れない。
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職場で親しくなった同僚が、実は猟奇的な殺人事件の犯人だったとわかったら・・・神戸の児童連続殺傷事件を彷彿とさせるテーマで非常に重い。
ジャーナリストをめざす同僚、彼と恋人関係になる同僚女性、医療少年院で母親的役割を担っていた教官など周囲の複数の視点から現在の「元少年」の姿が描かれるが、彼が医療少年院での生活を経て更生しているのか、根深い病理や猟奇的傾向が遷延しているのか、周りからはなにもうかがい知れない様子に不安感をあおられる。
罪を償った人、更生した人の人権は尊重されるべきという理想論と、加害者側は十分に守られるのに被害者側が守られない理不尽さや、いくら更生したとはいえ大罪を犯した人を受け入れられるのかという疑問、それ以前に本当に更生しているのかという疑念、さまざまな思いの前に何も結論は出ない。小説の結末はあくまでひとつの結末にすぎず、この問題提起はさすが薬丸岳さん踏み込んだなぁという印象。知らずに彼と親しくなった同僚・益田の葛藤は、まさしく読者の葛藤。
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読んでいる最中、この終わりのない問題を、どのような落し所に持っていくのか気になった。きっと落ちをつけたらそれだけでこの本が『嘘』になってしまう。そういう意味でこのラストは秀逸だったのではないだろうか。
酒鬼薔薇事件を彷彿とさせるが、作者曰く無関係とのこと。だが、酒鬼薔薇事件を念頭に読んだところで、事件の向こう側を書いた本書から受けるイメージは何ら変わらないと思う。
主人公の最後の決意を涙ぐましい友情ととるか、友情という言葉に託けた自己満足ととるか、それは読者しだいだが、一面だけを読んで、友情に感動した!加害者擁護だ!などと言うのはお門違い。作者はデビュー作で、徹底的に被害者感情を書ききった。
本作を以って、薬丸岳は社会派においてオールマイティであることが証明されたのだと思う。
だから本作はあくまで、考え方の1つ、と捉え、新たに著者が違った考え方を提示してくれるのを待とうと思う。
余談だが、本書には過去にAV出演歴があるからと世間から謂れのない差別を受けている女性が出てくる。僕みたいなAV女優のファンなんてやっている身からすれば、こっちの描写の方がキツかったりした。その女性は「悪いことをしているわけじゃない!」と訴える。全くその通り。最近ネットの普及により、AV女優とのコンタクトが容易になったせいか、彼女らの仕事をを蔑み、嘲笑うかのような発言を本人に直接言う輩が出てきた。
そういう輩にひとこと言いたい。
それは職業差別だと。差別なんだと。