36人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てら - この投稿者のレビュー一覧を見る
保守、右翼を徹底的に嫌う著者の罵詈雑言ぶりは虫唾が走る。
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東京地裁により「一部記述を削除しない限り、販売してはならない」との販売禁止仮処分命令を受けて、一部黒塗りになったりして話題になっていた本。
黒塗りになる本ってどんな内容なのか気になっていたので読んでみた。
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元々ジャーナリズムの世界に属していないにもかかわらず(だからこそかもしれないが)、これぞ調査報道という内容をまとめ上げた筆者に敬意を表したい。
また、本書が岩波でもなく、朝日新聞でもなく、扶桑社からであるのも驚きだ。
現在日本の「右傾化」と呼ばれている文脈は戦前の「右翼」とは文脈が異なっていると考えてきたが、謎が解けた感じである。しかし、一宗教の原理主義分派セクトによって政権が支持、維持され運営されているという事実は背筋が凍るし、キリスト教原理主義に支配された米国議会を笑ってもいられない。
今のこの国を考える上での非常に重要なテキストの一つであり、主義主張に関係なく手にして読んでほしい。
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「日本会議」研究の嚆矢。文献調査、インタビューと、よく調査されていると思う。輪郭の不明だった怪しい団体がようやく姿を現してきた。
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憲法改正論議を考える上での必読文献になっていくだろう。
これぞ調査報道といった内容で著者には頭が下がる。政治的主張、運動の背景には、成功体験に基づく個人的な動機から始まっているという謎解きがなされているところは圧巻である。
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出版差し止めの申し入れ、というニュースで本書の存在を知り手に取りました。実はそれまで日本会議という名前さえ知りませんでした。急激に改憲が政治日程に入っている状況が理解出来ずになんとなくの違和感を覚えるだけでしたが、そのモヤモヤの源泉をハッキリ特定している本です。ハッキリはするのですがスッキリしないのは、民主主義は活動している人のものであって、傍観している人のものではないという、改めての気づきと、人の途切れない活動を支えるエネルギーは宗教体験から生まれるものである、という今更の気づきにたじろいでいるからだと思います…
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昨今の右傾化は安倍政権に端を発するものではなく、日本会議という謎めいた宗教団体によるものだった。
テレビや新聞では普段あまり登場しない日本会議がいかに今日の日本に影響を与えているか本書を読めばよくわかる。なぜ日本会議が報道されないかは想像するほかないが、このような本が出版されることで少しでも日本会議の存在を知る人が増えてほしい。
安倍氏は日本会議の傀儡だというと語弊があるが、その思想は日本会議の受け売りだ。もともとが岸信介の孫だけに親和性は非常に高かっただろう。
宗教団体「生長の家」や、60年代の学生運動の時代に左翼の反動として民族派学生が組織した「日本学生文化会議」などなど数々の団体が登場し、日本会議の歴史が紡がれる。
椛島有三はもとより、高橋史朗、百地章、村上正邦、安東巖らがどのように日本会議と関わってきたのか、どのようにつながっているのかが詳細な調査によって明らかにされた。
本書の一番重要な部分は安東巖という人物に関する記述である。生長の家で宗教的体験をえた彼がこの団体を操ってきた事実はどの機関も報道していない。まだまだ裏がありそうな人物だ。
安東もそうだが日本会議は謎に満ちている。本書の続編が待たれる。
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現在の安倍政権の閣僚の大半が日本会議のメンバーというからよほど強大な組織を想像するとまったく違うので、かつての「生長の家」に端を発した宗教的情熱に支えられたごく限られた人員がえんえんと学生運動華やかなりし70年代からうまずたゆまず活動を続けてきたのであり、市民運動的な地方自治体への働きかけ、若いメンバーの育成などをずっと続け、市民社会が民主主義をせせら笑い地道な運動をバカにし続けたあげく無力化し、まったく非民主的な主張をしているこの小規模な団体が憲法改正を視野に入れつつあるという恐ろしい皮肉が膨大な調査を経て炙り出されている。
継続は力なりというのはいいことでなくでも成立するらしい。
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安倍さんの使う「左翼」という言葉の特殊な用法の理由がわかったように思う。
しかし現閣僚の皇室軽視との関連が今ひとつ不明。
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「安倍総理って、どうして◯◯◯なんだろう?」と思っている人には、その疑問の一部が解明されるかもしれない本。
“右傾化の淵源はどこなのか?”という帯コピーによく答えている内容。
それにしても、このシブとさというか手法において、リベラル派も学ぶべき部分があるのでは?
そうしないと、勝てないよ。
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(個人的な感想)
先日終わった伊勢志摩サミット、消費税中止、オバマの広島訪問も、支持率を上げ、憲法改正、大日本帝国へと還るステップ。(各国首脳に伊勢神宮を参拝させたのは、文化観光スポットの意味合いよりは、上記文脈に色濃く従う。)
この本を衆参選挙前に読めば、憲法改正と大日本帝国回帰を目指すカルト政権の是非を判断する参考になる。
なぜ「美しい日本」というと、大日本帝国に戻りたがるのか不思議だったが、この本によってやや解消された。また、日本会議周辺に、庵野監督の「大日本戦隊」のような滑稽さがある理由が少しわかった。
トランプの滑稽さを笑っているうちに、アメリカ大統領になる可能性も現実味が出てきた。日本も時代錯誤なカルトやカルト右翼が政権を立て、憲法改正し、漫画のような大日本帝国回帰を現実のものとしようとしている。
議論を深め、中枢の権力基盤にまともな知性とバラエティを持たせなければ、お笑い漫画のように亡国してしまうだろう。childishな思考停止、形式的な儀式の繰り返し、全共闘のリア充憎し、内実は老人会でありルーツはラジオの落語・漫才がブレーンなのだとすると。
ただし、本書について内容的には「生長の家」に偏っている印象。(神社系からもらった紙が、国粋ぽい表現だった事があるけど、)たとえば神社本庁とかその周辺は大丈夫なんだろうか?ほかにも影響のある団体や、ダイナミズムを生む仕組みや背景があるように思った。
敗戦によって失われた父権。戦後、こわれた家族制度や生き血の流れなくなった村コミュニティ。受け皿となった都市部を中心に、失われた制度を模倣し穴埋めを求めた人々によって、カルト宗教が乱立繁栄した。そして、戦後70年、それらは政権の中枢を担うまでになった。
GDPや経済効率中心で、インセンティブやトレードや虚業に精を出し、政は主に富の分配機関としてだけ利用し、市民としての良心を養わず、義務を疎かにしてきた結果ではある。
ここは、多くの市民にとって、乗り越えなければならない、暗い時代に向かう途中だろうか?天から降ってきたマナのように享受し、貪っていた自由や権利の灯がひとつひとつ消されていくのだろうか?
(↑20世紀末には、黒澤明「夢」だって、んなわけあっかでゲラゲラだった筈が、次世紀になってみると、そうでもなくなった。国政においては、カルト政権誕生という笑えないお笑いなオチに落ちっててるので、これぐらい悲観を並べとくぐらいで丁度いい。)
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この本を読んだとき、「秘密情報の95~98パーセントは公開情報の中にある」という佐藤優の言葉を思い出しました。
この本は過去の出版物など公開情報などから、日本会議の本質に迫るもので、調査報道の本質を見せてくれます。本書の主張を別にすれば、世の中に数ある一般の公開情報から、それらの断片的な情報を組み合わせることによって、新たな本質的な情報を紐解いていくところが、この本の真髄です。
そして、本の主張として、右翼が右翼をバッシングしていて、読んでいて痛快です。日本会議の主な主張は憲法改正を別にすると、「歴史認識」「夫婦別姓反対」「従軍慰安婦」「反ジェンダーフリー」の4点に集中しているのですが、女性やLGBTの活躍を期待するのであれば、「夫婦別姓反対」「反ジェンダーフリー」を主張するのはおかしいと私自身思っています。
しかし、この本を読み終わった直後、名誉毀損による出版差し止め判決が出てしまいました、残念ですね。名誉毀損箇所も6箇所のうち1箇所で、日本会議のメンバーとその周辺団体、現政権との関係性については、なんら訂正が入っていないことを考えると、本に書いていある内容は事実であることを証明してしまっています。
彼らがいう関係者当人への取材もなしに出版したと言っても、取材拒否にあってしまえばそうせざる得ないでしょうに。
削除箇所はこの本の本筋にほとんど影響のない箇所のようなので、早々に訂正され再販されることを望みます。
本の主張は別にして、読み物として秀逸な本です。
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何かと話題の本なんで
安倍政権の背後にいるとされる保守系団体、「日本会議」の真実
日本会議、生長の家の歴史が理解できました
しばき隊活動歴ある著者なんで(^O^)
そっち系の人なんですね
ミステリーっぽい所もあって
面白かったなぁ
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菅野さんは研究者でもなんでない。一介のサラリーマンである。その菅野さんが世の中で変な奴らが暴れていると思って注意しだしたのは2008年ごろ。つまり、ヘイトデモが起こりだしたころである。菅野さんはそうしたデモに潜入するとともに、保守系雑誌を読み始めた。日本が右傾化してきたと言われるが本当か。そうしてわかったことは、日本全体が右傾化しているのではなく、そこに日本会議なるものが存在し、その核に成長の家から流れる一部の活動家の地道な運動があったことである。かれらのめざすものは改憲であり、今は隠してはいるが、最終的には明治憲法の復活である。そして、ゆゆしきことは安倍内閣の多くの閣僚がこの日本会議のメンバーであったことだ。また、その日本会議もリーダーが何人もいるのではなく、ごく一部の人たちがリードしてきたことである。菅野さんはそのもとを成長の家の流れを汲む人たちに探り当てる。ここで大事なことは、かれらが地道な草の根運動を展開してきたことである。その一つの成果が元号法制化である。それはあっという間に実現した。かれらにおいては男女参画事業も否定される。能力主義でやればいいということである。夫婦別姓などとんでもない。それは日本の美しい家族を破壊するものである。そして、この運動をリードしてきた人たちの出発点は、あの大学が荒れた時代に、封鎖を解除した長崎大学だったという。これはぼくも知らなかった。なんにせよ、占領軍によって与えられた戦後の民主主義はそれにあぐらをかいているうちに、こうした草の根運動を続ける勢力にのっとられてしまうぞと筆者は警鐘を鳴らす。
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日本会議側から発行停止を求められたことでも話題の書。この作品は、まず「日本会議」という団体について専門的に扱ったおそらくはじめての書であるということにおおいに価値がある。かねてから指摘されていた「生長の家」や学生運動との関係も叮嚀に調べ上げ、この団体の実体をあきらかにしてゆく。前から日本会議という団体についてはいろいろと知りたいことが多かっただけに、読んでいて非常に興味深かった。また、とくに安東巖にかんする記述は重要であろう。これまでに安倍首相のブレインとして報じられたことがある伊藤哲夫などと比べ、安東の名前は聞いたことがなかったし、おそらくほかの文献にも名前が登場したことはなかったのではないか。そういう人物についても、さまざまな取材をもとにその実像を解き明かしてゆく。よくぞここまで調べてくれた、と著者には拍手を送りたい。ただ、著者はジャーナリスト・ライターとしてはまだ経験が浅いこともあり、ところどころ粗い部分も目立つ。そもそも、本書は大半が文献を漁ることに頼っていて、ジャーナリズムの基本である人物への取材があまりできていない。椛島有三については取材を申し込んだが梨の礫であるという記述があり、もしかしたらほかの人物もそうなのかもしれないが、もっと直接取材してほしかった。百地章は判例などに対して新聞にコメントを寄せることがあり、また大学の研究者という公的な立場にあることから、いっさいを取材拒否するとも思えないし、かりに拒否された場合でも、「この件について本人に取材を申し込んだが、回答を得られなかった」などの記述をちゃんとしておくことで、文章の印象はだいぶ違う。現段階では、たんにお勉強のできるお坊ちゃんの文章の域を出ていない。真のジャーナリストに脱皮するためには、そのあたりをもうすこし追求する必要があるし、そこができていれば、本書に対して★★★★★評価を与えることもできていたであろう。今度は青木理らもっと実績があるジャーナリストによる類書の刊行が予定されているので、そちらにかんしても期待したい。