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太宰治はこんな文も書いたのか、乙女そのものだと驚愕した。自分も周囲もなんだかわからないけれど醜く見えていやらしいと思ってしまったり、さっきまで憎くて仕方がない感情がどこかにいってやっぱり好きだと思ってみたり、いきものにですら優劣をつけて自分の感情を大きく汚す感じ。たたみかけるような女生徒の心情の流れに身を任せていると、「あ、自分もこうだったかも」と思えてくる。浮き沈みのおおきな得体の知れない感情に翻弄されつつ自分の【ほんとうのきもち】には気が付かない、辿り着けない。
まだまだ子どもなのだ。
イラストの今井キラ氏がまた文に彩りを添えている。美麗で耽美なイラストがとても良い。本棚に一冊あると素敵だろうな。