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対立構造が、はっきりしていて読みやすい。
第三者の目線で書かれている信長と近衛前久。
黒幕となる朝廷
朝廷、公家社会にいながら信長に恋焦がれる観修寺晴子。
非常に揺さぶられる作品であった。
最近の研究を取り入れながらの作品で高評価できる。
しかしながら、言い回しや文書の好みの問題でこの評価にした。
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本能寺の変が『黒幕陰謀説』に則って描かれている。
信長はイスパニア・ポルトガルなど外国の脅威からこの国を守り、彼の国に比す国力を持ってアメリカに進出しようと天下統一を急ぐ。
そのためにはこの国の因習・政治勢力を一掃させるため、朝廷・天皇を凌駕する権力を持とうと正親町天皇を譲位させ、誠仁親王に践祚。征夷大将軍の任命を受け、武の頂点に立った上、自らの嗣子、誠仁親王の五の宮を次の天皇につけるよう圧力をかけ、即位と同時に自ら太上天皇となり、公の頂点に立とうとする。
これに対し、前の関白近衛前久がもう一人の主人公。信長の野望を打ち砕くため、様々な陰謀を図り、明智光秀をして信長を打倒する。
読めば読むほどこの説が真実に思えてしまう。
誠仁親王の夫人、勧修寺晴子と信長の恋も彩を添え、当時の公家の生活の一端を垣間見ることもできる。
初めに本能寺の変の描写があり、あとはその直前までに向かう物語が展開する。物語の構成も読む者を満足させる。
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本能寺の変について、朝廷黒幕説にて展開していく。近衛前久らの朝廷内部での陰謀、日本社会の神道をも否定しようとし、朝廷の権威を塗り替え、安土遷都をも考えていた信長。
非常に説得力ある展開。単なる怨恨ではなく、朝廷をも巻き込まないと、当時の魔王織田信長を討つ事は、出来なかったであろう。
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読んだ本 信長燃ゆ 安部龍太郎 20230428
何故、明智光秀は本能寺の変に及んだか。
その謎を解くというよりは、そこに至るまでの信長という人間の思想の変遷を描いた小説でした。
何故、明智光秀を本能寺の変に及ばせたか。ってことです。
NHKの歴史探偵か何かで、安土城で神になろうとした信長の史跡が紹介されてましたが、そういった土台に乗って、物語が構築されてるんですね。そう言えば、解説に安部龍太郎が出てたような気がします。
陰謀には、秀吉も関与しているってことで。確かに、秀吉の中国大返しなんか、あんな奇跡的なことが起きるわけない。って素直に思っちゃいますよね。ここだけでも、もう一本小説が書けそうな気がしました。
上中下巻ぐらいあってもよかったのでは。
それにしても、歴史上の人物が事績だけで描かれず、それぞれにキャラクターがはっきりしてて、面白かったです。