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なかなか重いストーリーでした。
登場人物みんなが人間味があって、どちらの気持ちもわかる・・っていう感じで、考えさせられながら読みました。
少年犯罪については日常生活でほとんど触れる機会がないので、勉強にもなりました。
暗くて重くて切ないストーリーだけれど、子供の心の闇ってなくなることはないだろうし、大人としてはともに向き合うしかないのかなぁ・・と切ない気持ちになりました。
読み応えがあって、考えさせられて、怖くて切なくて、すごくいいです。
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分かりやすい文章で、淡々と物語が進んで行くが、
たどり着いたところは、
心を殺された少年の、その心の世界
切ないねえ・・・・・・・・
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離婚した妻と暮らす14歳の息子が同級生を殺した。建設会社での仕事も順調で、部下である恋人との再婚も間近という順風満帆な人生を歩んでいた主人公に突然訪れる事件。
序盤は自分への被害がなるべく少なくなるようにとか、なるべく職場にバレないようにと考える主人公が妙にリアル。
息子がどうして同級生を殺してしまったのかが明らかになっていく過程も読み応えあるが、本作のメインは加害者である息子がどうやって罪を償うのか主人公が悩むところであろう。もちろん答えなんてなく、とても重い結末だった。
被害者少年は、殺されたこと自体はかわいそうではあるが、自業自得な側面も感じてしまう。そういう意味でもスッキリしない終わらせ方だったが、逆に真実味がある。
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ストーリーとしてはぐっと引きこまれ、考えさせられる部分があった。けれど後味というか、納得できない部分が残った。結局こころとからだを殺すことのうち、からだを殺す方が悪いと父親は言う。理由は被害者の父親はもう被害者と会話したりできないからだという。それに併せて加害者である息子に生きていてくれてよかったと言う。けれど一方で最終的にはこの十字架は息子一人が背負って生きていくのだと締めくくる。
随分自分勝手だなぁと思った。こころを殺されて、このあとも社会的にも精神的にも殺され続けなければならない息子。ひとりで生きて行かねばならない。それほど人を殺すということは重いことだが、心を殺された「被害」に対する「罰」はどこにいくのか?加害者の息子のした悪行は結局、世間にはしらされない。動物の命を奪わせる残虐な行為を強いておいて、その強いたことに対する罪はお咎めなしというのが納得できない。勿論それが法律であり、法律上はペットを殺されても所詮器物損壊にとどまる。けれどなぜ人を殺して罪になり、愛する「家族」である飼い猫を殺されても罪に問われないのか?私の倫理観がおかしいのかもしれないが、長い間その理由がわからない。
また被害者の父親の心境も理解できない。自分が親だったら殺されて当然のことをしたと思う。むしろ本当の被害者だったのは、心を殺された加害者のほうではないかと思う。
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「提起された問題は読み手の許に届き、読者それぞれが『つけられない結末』を共有出来る仕組みを作り上げた」。京極夏彦氏は(この作品を)このように高く評価している。(京極氏の言葉は西上心太氏のあとがきで紹介されている。)
『つけられない結末』かあ…きっとこれ以上の的確な言葉はないだろうな。わたしも子の親。ずっしりとおもい宿題を受け取ってしまったようだ。
作者の薬丸岳氏とはどんな人なのだろう。こわいほどすばらしいと思うだけで、つけられぬ結末の中で本作品読了の感想はなかなか言葉にならない。
しかしこの本はすべての親と子が読むべき小説に違いない。
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どんでん返しも全くない殺人を犯した息子と親の話。
内容としては、とても重たいと思うのに、サクサク読めるし、難しい内容もあったけど、父親への説明で大体把握できました。
そして、リアルに起こりそうな話なうえ、ドラマ過ぎない内容なのに、飽きず読めて、文章が上手なのだろうな…って思いました。
でも、やっぱり犯行の理由は…なんだか悲しかったな。
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衝撃。ページをめくる手が止まらないとはこういうことか!と思わされる一冊。
知りたい…けど、知りたくない。でも、親として目をそらしてはいけない。なぜ息子は同級生を殺したのか。子どもを守りたいと思うのは親として当然のこと。一方で、したことにしっかりと向き合わなければ更生なとありえない。償いとは、更生とは…考えさせられる一冊。
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どこの家庭にも起こりうる、ほんの少しのボタンのかけ違いで。心を殺すのと、身体を殺すのはどちらが悪いかという問いに、もし自分が聞かれたらなんと答えられるだろうと恐ろしくなった。綺麗事ではない、実際にこのような状況に置かれた時に出された父親の答えに、最も感動した。
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父が、いじめを受けていた同級生を殺した息子が向き合っていく姿や心情の変化が丁寧かつストレートに描かれていた。
人として、はじめては息子を受け入れられない葛藤や元妻のせいにしたい心情が父である吉永の目線で綴られていて、他の人たちはどんなふうに思っていたのかなーと気になった。
翼が「心とからだと、どっちを殺したほうが悪いの?」と問いかける場面で、後から吉永はからだを殺すことだと断言していたのが印象に残った。
確かに、命を奪えば生き返ることはないし、取り戻すことができないからそうだよな、とわかる部分と、心だって殺してしまえば元に戻らないこともあると思うから、わたし個人としての価値観は、どちらも悪いとしか言えない。それこそ受けた経験や人によって感じることも違うと思う。
でも、吉永が“Aではない”翼くんと向き合って、彼のことだけを考えて、彼にとって今必要な答えを出したのが、とてもよかった。
面白かったです!
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前回「天使のナイフ」を読んでほかの作品も読んでみたいと思い最新文庫を購入。
ある日突然中学生の息子が同級生を殺したと警察から知らされた親の苦悩。
夫婦仲が悪く離婚し、そろそろ再婚も考えている能天気な少年の父親と、離婚後息子を引き取り生活していくためとはいえ仕事が忙しく自分のことで精いっぱいだった母親。
どちらが悪いとは言えないし、息子はたとえどんなに寂しく、苦しかったとはいえ殺人が許されるわけではない。
≪物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ≫という文中にも出てくる一文がキーワードになっているが、事が起こってからでは遅すぎる。
しかし人はいつだって事が起こってから後悔するものなのだ。
子を持つ親は子供の罪を自分のせいだと感じるだろうし、一生子供とともに罪を背負って生きていかなければならないのだろう。
殺された優斗くんは相当なクソガキだったけれど、
しかし、たとえどんなに卑劣な人間であったとしても、殺されていい理由にはならない。
殺された子供の親の気持ちを思うと胸が痛む。
こちらも、立場によって思いが全然変わってくる小説だ。
重いテーマではあるけれど、いろいろな立場によって読み方も感想も変わってくると思うので
違う目線でもう一度読み返してみたい。
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重い。非常に重い。雫井さんの望みとは違い、確実に罪を犯してしまった子供の親の心情を丁寧に書いている。息がつまるほど。実に読み応えがあった。
いじめの加害者、被害者、誰にでもなりそうで、子供との会話は、仕事をしている私としては、自信がなくなってくるなあ。
最後の方は、母親も登場させて欲しかったなあ。
親も子もどの読者層にも読んでほしいなあ。
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とても面白かった。
読み始めから、ぐいぐいと引き込まれて一気に読み終わりました。息子はどうして何も話をしてくれないのか?最終章の告白はとても読みごたえがありました。
この作品はぜひおすすめです。
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息子が殺人容疑で逮捕された父親が主人公のホワイダニット系推理小説。
仕事も恋愛も順調なバツイチ中年吉永のもとに離婚後妻側に引き取られた14歳の息子が友人を殺した容疑で逮捕されたことが伝えられる。しかし、息子はなぜ殺人を犯したのか一言もしゃべらない。主人公で父である吉永は息子とのそれまでの関わり方などを後悔しながら息子のために奮闘していく。
一括りに少年犯罪とはいっても、各犯罪における性質は大きく異ることが多い。非行に走っていたわけでもない息子の翼は、突然殺人という罪を犯してしまう。
こどもは周りの環境、特に家族の影響を受けやすいものである。両親の不仲、離婚、家庭内でのちょっとした出来事でさえ心のバランスを簡単に失ってしまい、その影響は学校や友人関係にも及ぶ。
仕事が忙しい、自分のことで手一杯、大人というのはそこまで立派なものではない、他の人に気を回すことができない時も多い。しかし、事が起きてからでは遅い。そうなる前にきちんと子どもと向き合っていく必要がある。その責任が私たち大人にはある。
「こころを殺すのとからだを殺すのどちらが悪いの」
作中で出て来る翼の言葉だ。人を殺してはいけない。誰もが言われ続けていることだと思う。しかし、なぜ殺してはいけないのだろうか。こころを殺され続けている人は、どんなことをしても耐えなければいけないのか。つらい思いをさせられた人は、何をされても黙っていなければいけないのか。
ことを起こしてからは一生十字架を背負って生きなければならない。反省しているかどうか、ということの意味がわからない。「大変なことをしてしまった。」、「相手に悪いと思っている」。ゴールが決まっている上での議論など何の意味もない。
もちろん理由がある殺人を肯定しているわけではない。しかし、何か違うと私の心が言っている。
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読み始めから重々しい話が展開される。もし、自分の息子が殺人犯少年Aになったらどうなるか?これは子供がいる家庭ではいつ何時自分の身に降りかかってもおかしくないこと。
文章表現の巧みさから主人公の心理描写がとても現実的に感じられ本当に気持ちが憂鬱になってくる。
この話では父親としての自覚が家族との関係を変えていく。しかし、その道は険しい。犯罪という事実は必ず残り被害者がいる。
そこにはそれぞれの家族が関わり苦しみが続いていく。
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すごい話でした。少年犯罪、被害者と加害者、親と子。父親が主人公ですが、とても感情移入出来ます。深い。