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熱帯・乾燥・寒帯・温帯の各気候の成り立ちと、気候をベースに地形・植生・農業・住民生活などを多角的に描いた本。小さいころから理科・社会が好きだったので、この手の本は好きなのです。
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自然地理学がおもしろい。地理なんて覚えるだけで何がおもしろいんだろうかと、高校生のころは思っていて、そのまま大人になって30年。地球科学がおもしろくなって、その流れで自然地理にも接近してきた。理科の授業で、天気の変化が起きる原理のようなものは話をしているけれど、日本以外の地域の天候がどのようなもので、それはどういう地形が影響しているのかなど、考えたことがなかった。天体の話の中で、高緯度の地域は昼と夜の時間差が季節によって大きく変わることは知っていても、それが具体的に生活にどう影響しているのかを、考えたことがなかった。本書では、著者が実際に訪れた場所、あるいはほかの研究者が訪れた場所などが、臨場感あふれる記述で紹介されている。もうワクワクする。そうか、だからヨーロッパの人々は夏に裸で日光浴をするのだ、とか、今でも狩猟採集民がそんなにいるのか(といっても世界の人口の0.01%)とか、納得とか驚きとかいろんな体験ができた。230点もあるという写真を見ているだけでも楽しい。全部カラーだったらなお良いのだけれど。
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あとがきにあるように、世界は多様である。それを感じられる良書。図版もたくさんあって、飽きない。リャマとアルパカは、人が移動させるのではなく、「かってに採食のため草を求めて移動し、夕方になってお腹がいっぱいになれば、自分たちだけで放畜民の住居まで戻ってくる」ということで、その戻ってくる群れの写真がかわいくておもしろかった。
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沙漠の周縁に分布し、短い雨季がある丈の低い草が生えるステップには、肥沃な黒色土(チェルノーゼム)や栗色土が分布する。草原のイネ科植物は、地下の浅いところに膨大なひげ根を発達させ、地表付近の水分を吸い上げている。冬に地下の3分の1の根は枯れて腐り、春から夏に分解されて腐植となり堆積する。ロシアのチェルノーゼムや北米のプレーリー土は、コムギやオオムギ、トウモロコシなどの穀倉地帯になっている。
東西方向の大気循環として、熱帯太平洋の海水温度の東西差により、太平洋西岸で上昇気流を、東岸で下降気流を生じさせるウォーカー循環があり、アフリカ付近では上昇気流を生じさせる。エルニーニョ現象が生じると、この循環の配列が崩れて、アフリカ付近では上昇気流が弱くなり、サヘルでの干ばつをもたらす。
温暖冬季少雨気候は、インド北部から中国に分布し、モンスーンの影響で夏に雨が集中する。地中海性気候は、緯度30~40℃の大陸西岸に分布し、夏は亜熱帯高圧帯の影響下で乾季、冬は偏西風の影響下で雨季になる。西岸海洋性気候は、緯度40~60度の大陸西岸に分布し、夏は冷涼、冬は海洋の影響で温暖。温暖湿潤気候は、緯度30~40℃の大陸東岸に分布し、夏にモンスーンの影響で多量の雨が降る。
アルプス山脈やピレネー山脈が遮るヨーロッパでは、氷期と間氷期の間に種子を飛ばすことができなかったため、多くの樹種が消滅し、樹種は2000種しかない。
亜寒帯気候の南部は針葉樹と広葉樹の混交林が広がる。北部はタイガと呼ばれる常緑針葉樹が広がる。シベリアでは、エニセイ川の東側は落葉広葉樹の森林、西側は常緑針葉樹の森林が広がる。大陸は冬に急速に冷やされるため、上空を偏西風が吹く緯度30~60度では、東の地域がより気温が下がる。ツンドラ地域は、地下に永久凍土が広がり、主な植生は草本類、蘚苔類、地衣類。
最終氷期に氷床があった北ヨーロッパや北米は、氷河によって土壌の表層が剥ぎ取られたために栄養分が少なく、農耕には不向き。そのため、五大湖周辺は酪農地帯になっている。氷河が削り取って前面に押し出したものが残されたモレーンには、腐植が多く含まれ、それが風で飛ばされて再堆積したレスが広がるハンガリー盆地、パリ盆地、ポーランド盆地、ボヘミア盆地は、小麦地帯となっている。亜寒帯気候のポドゾルは、針葉樹の落葉が堆積しても分解が進まず、腐植が強酸性のフルボン酸を生成されたもので、肥沃度は極めて低い。
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学生の時から地理はそんなに好きじゃなかった。月別の気温と降水量のグラフに気候帯を書き入れたり平野とか川の名前覚えたり、ただただ区別がつかない岩の名前を覚えたり。苦行だった。
そんな地理アレルギーの自分が、読み終わった後本屋の地理学コーナーに直行するぐらい地理に興味をもてた本がこれ。
気候帯ごとに自然の成り立ちとそこで生活している人々について解説しているのだが、なぜこうなったかが丁寧に細かく書かれていて知識欲が刺激される。
地球温暖化や先進国の無理な土地開発で悪い方向に変化してしまう原住民の生活には心を揺さぶられるし、筆者自身が現地民調査に行った時の体験談は深夜特急を読んでいる時のようなワクワク感があった。
文系で地理嫌いな人にはぜひ読んでほしい、地理学が好きになれるかもしれないから。
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流し読み。
水野一晴さんの著書は他にも読んでいるが、この本は体系的に世界の気候や植生、地形が網羅されており、かつ地誌学的な要素ももっているため、内容が非常に濃かった。
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どうしても地理の勉強って体系的というより知識の盛り合わせって感じになるねんなあ
まあだからこそ地理教育は体系性をすごく意識して頑張ってるし,この本もそういう軸みたいのはいちおう感じます
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図書館で借りた。
地理学入門ということで、目次を見たらまさにケッペンの気候区分だ。私は高校で地理を学んでいるので、既視感な並び。
とは言え、内容は非常に読みやすく、分かりやすい教科書を新書化した感じだろうか。地理に興味はあるけど、高校等で学んでない方や学んだけど復習したい方には非常にお薦めできると思った。
最近ならYoutubeなどを活用して理解を深めるのが良さそう。文字や白黒写真では足りない。