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投稿者:オビー - この投稿者のレビュー一覧を見る
生命維持(収入源)のための「労働」、永遠性を有したものを制作する「仕事」、人間同士で対話する「活動」。
労働はテクノロジーに代替される。悪く言うと奪われる。
収入源が絶たれる人が増えてくる問題に対して、BIは1つの解決策であり、基礎知識、財源、貨幣制度、政治経済思想など、これから議論するためのいろいろなパーツを提示してくれている。
特に政治経済思想では、わかりづらい右翼左翼や保守革新がうまく整理されている。
日本はリバタリアニズムを再輸入し、労働を美徳とする「儒教的エートス」から脱すべきである。つまり、すべきことではなく、したいことができる社会を目指すべき。
次の時代の価値観は芽吹いている。
頭をいっそう柔軟にしなければと思った一冊。
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儒教的エートスが日本人の不幸の源泉とする見方には共感できる。BIの導入に抵抗があるとするとここだろう。
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AIによって仕事がなくなることは事実でまた、それで仕事を失った人達に新たな仕事が生まれるか?という事には残念ながらいかないという現実を踏まえた上でBIをその代替として掲げている著者。日本には働かざるもの食うべからずという倫理観が根強いが現実を直視した時にBIは不可避であるという主張は首肯できるし、著者がアーレントを引いて人間にとってあるべきは仕事と活動。労働はAIによって代替されるという脱労働社会のユートピアに人間の次なる可能性を信じたい。
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AI優位時代の経済にはいかにBIが重要なのか力説している。所得格差が起きること、職業格差が起きること、そのような点から既存の扶助制度では成立しないとあり、BIって一体どういうところで機能するの?ってところにメスを入れているように感じる。
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説明はわかりやすいんですが結論が受け入れられないんですよねσ^_^;
なんでかなあと読み進めてたんですが終章に近づく毎に結果の平等志向なんやなあと気づきました。
障がい者もアンラッキー
ギャンブル依存性もアンラッキー
怠け者もアンラッキー
努力している人間に勤労意欲や能力が発揮できたラッキーで考えろと言われてもσ^_^;
それなら努力しないことを選択してアンラッキーやって言いますよね。普通。
他罰的なアンラッキーで片付けられるとBIを支える産業の根本が成り立たないと思うんですよね。
生活できる最低限のBIを支給してシェアハウスで暮らしたり物価の低いところへ移住を促すのは治安を考えても両面あるなと。
個人としての犯罪率は下がるのでしょうがゲットーができたり貧民街ができると治安は果たして良くなるのか。疑問ではあります。
ただ市中銀行をなくして中央銀行一本化することでBIの原資を確保するという意見にとても賛同しました。
マイナンバーを活用したら今の市中銀行を使わずとも金融機関業は一本化できます。
また信用創造という意味で貸出準備率を超える価値を生み出す能力は政府に返上するか吸い上げるシステムが必要やと思います。
まあ今の銀行は投信売ったり証券会社さんと変わらないですから。
まあどちらにしても原資の問題かなと思いました。
AIに税金かけるって言った途端に企業はAI入ってないとか言いだすんやろなσ^_^;
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道徳は人が心地よく生活するために大切なものだが、道徳も行き過ぎると息苦しくなる。最近の不倫報道など、社会にそこまで大きな影響や意味はないと思うが。何事も波のように振幅を持ったものとして社会に現れるのだろう。
現代日本人の持つ道徳観の一つとして「働かざるもの食うべからず」がある。絶対的な価値観を押し付ける。本当の幸せとは人それぞれだと誰もが感じているのに。また、自分の頑張りが自分ひとりの頑張りと思い込み、単なるラッキーとは思わない。息苦しさを感じている人が多いのに。むしろ息苦しさを感じているから、さらに弱い者をたたくのか。
自身、仕組みとしてのBIをじっくりと考えきれたわけではないが、いい考えだと感じた。生き辛いことが多い社会が悪くなる仕組みではないように感じる。
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基本的な説明はすごくよくて、それでマクロ経済的に国債で国民に配っちゃえばいいじゃんって話は結構筋がいいのでは?なんとなく、モノポリーで一周回るごとにGOでお金をもらうってイメージができた。クルーグマン好きとしては、まあお金ってのはフィクションだからうまくいきゃあいいんじゃないという立場なので、全然違和感ないです。まあでも、やってみないとわからんよな。結局為替との関係がどうなるのか?みたいなところな気がする。EUでの共同通貨の失敗を見ても、なんか、通貨の未来を考えるってのが国としていちばん重要なんだろうなと感じますね。BI、たぶんそれのおまけかも。通貨よりもリンクと構造のほうに価値が移った時代において、weak linkのnodeがspecial nodeまでの距離が離れすぎないようにするのはどうするのだ?ということな気がしてきた。node全体の距離を一定内に保つ。 それで、本は、結構右翼左翼とは?みたいな終盤戦も面白かったですよ。熱い。
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AIに雇用が奪われる時代に向けて注目されるベーシックインカムを解説した一冊。概要は知っていたけれど日本には財源が無いと漠然と思っていたので第2章の「負の所得税」の考え方は勉強になった。生活保護の拡大版ぐらいに思っている人にこそ読んでほしい。果たして労働の在り方は変わるのだろうか?
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先日読んだ本はAIの本だったので、井上先生が経済学者であることを忘れてしまっていたのだけど、この本はAI時代というものの、しっかりと経済学者がベーシックインカム(BI)について述べた本。AI時代のというのは、AIの高度化で生産性が上がると、人間の仕事が完全に失われることはなくても、AIを使って極端に富を増やす人と職を失うか、AIに使われる人に分かれて、貧富の差が今よりも極端に広がる世界がやってくる。その時の社会保障制度としてのBIというものを語った本といえば、簡単すぎるか。今の生活保護という社会保障は何となく問題が多い制度なんだろうなと思いつつ、何でもかんでも働く意思がないプータローにもBIを支給するというのは正直抵抗がある。でも、歴史的に労働というものがどういうものなのかを分析し、勤勉であることの正義の背景を理解し、AIによって労働から解放される時代を考えると、改めてBIという制度はかなり有力なオプションなのだということが判ったような気がする。この本が秀逸なのは、この歴史的な思想と国民性から労働と勤勉さを考察しているところ。右翼と左翼、右派と左派、儒教的エートスとリバタリアン、今一度しっかり復習したい。
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著者の予想通り、仕事が減るのならBIがないと大変なことになるが、この国ですんなりとBIが受けいられるかどうか・・・、最後まで賃労働に拘り続けて無駄なことをやりそうだ。
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近年の急激な技術の発展で私たちの生活にだんだんと使われるようになってきた人工知能やロボット。生活のために働きお金を稼ぐ人間の職が、彼らに奪われてしまうのではないか。という不安感を感じた人びとが近年議論されるようになってきたベーシックインカム。その基本的な仕組みとこれからさらに増加するであろう人工知能と今日蔵するためにいかにベーシックインカムが重要か説明している。
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AIの進化により市場の生産能力が大きく向上して、供給能力が上がったとしても、仕事のない人たちからは需要が生まれなくなる、という理屈を知れたのが良かった。右翼や左翼などイデオロギーの違いをかなりのページを使って書かれてるが、AI/BIから遠く離れたことのような話と感じてしまって疲れてしまった。5章は読まずに済ませばよかった。
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AIが浸透していく現代社会において、ベーシックインカムがいかに機能するかについて書かれた本だが、個人的にはそれに限らず現代社会をも著者独自の観点から分析しているのがとても参考になった。本書には著者の様々な分野の豊富な知識が凝縮されているだけではなく、それをわかりやすくまとめられている点もまた価値だなと感じた。著者の本は二冊目だが、この本もまた読んでよかったなと思えるものだった。知り合いに紹介したいなと思える本です。
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井上氏の著書「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 」をきっかけにベーシックインカムという制度を知り、この本でさらに現実的な将来像が見えてきました。
日々、時間に追われる労働がどれだけ現在の価値観を歪めてしまっているか・・・考える機会を得たように思います。
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『AI時代の新・ベーシックインカム論』(著:井上智洋)
付箋部分を抜粋します
・そう考えると、今、私がニートやホームレスではなく大学教員でいられるのは、究極的なところ偶然に過ぎない。
そして、私だけでなく、今順調な人生を歩んでいるという人は、等し並みに運が良いのではないだろうか(p4)
・「ベーシックインカム」は、収入の水準に拠らずに全ての人々に無条件に、最低限の生活を送るのに必要なお金を
一律に給付する制度だ(p22)
・それでも残る仕事
クリエイティブ系
マネージメント系
ホスピタリティ系
こういった仕事では、自分の感性や感覚、欲望に基づいた判断を必要とする(p160)
・儒教的エートスのうち、恐らく最も問題なのは「義」であり、日本人は「したいことをする」のではなく
「すべきことをする」ことで人生の長い時間を過ごしている。コミュニティ内の明文化されている規則や
明文化されていない慣習を含む数限りない義務にがんじがらめになって生きているのである(p227)
・勉強したいからではなく、すべきだからする。会社に行きたくはないが、行かねばならないので行く。会社の飲み会に
行きたくないが、行かねばならないので行く。そうやって人生の大半を過ごし、リタイヤして義務から解放されたら
何もしたいことがなくて虚無感に襲われる、なんてことになりかねない(p234)
・そもそも労働意欲がないこと、怠惰であることはそんなに罪深いことであろうか?(p257)