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近現代の日記を政治家中心に紹介。日記は遺族の意向もあって出てこない事も多いだろうし、埋もれた日記はまだまだ多数存在するハズである。
本書では歴史家による日記の解読作業について述べられているが、日記の解読・解析はもはやAIがやる時代に突入しつつある。よって、歴史家の役割は新しい史料の発見・発掘になってくる。でなければ、既存の史料をベースとした解釈論争が繰り返されるだけである(この「解釈」するだけの歴史家を揶揄する序章の「歴史家は気楽である」の部分は印象的)。すなわち、日記の重要性を丁寧に説明し、自分の研究対象の人物に関係する遺族に地道に接触し、遺品公開を説得していくという事に重点を置くべきではないかと感じた。出てくるのを黙って待っていてはダメだろう。
尚、御厨先生が進めているオーラルヒストリーは信頼性が低いので鵜呑みは禁物だし、トータルな史料批判が重要なのは言うまでもない。