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『胸がひりひりするような青春小説』だそうだけれど、
『胸がひりひりするような人生小説』と感じた。
(ひりひり、が著者の代名詞になったか)
高校合唱祭。支離滅裂な行動ばかりの橙子を大役に引っ張り出したヤマオ。
橙子、ヤマオ、語り手の主人公、仲良くなった青木さん、他クラスメイト、教師たちも、そしてそれぞれの家族の存在や描写に意味のある作品だと読後実感。
個人的に、子育て中の身には痛いほどヒリヒリ。
本を読んで久しぶりに涙が出た。モチモチの木以来。
(読み途中の本を一旦置き、栞も使わず半日で読了)
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冬香先生のお姉さん的魅力。機動戦士ガンダムのマチルダさんを思わせる魅力。自分は男として見られていないんだなという哀しみと、よからぬ妄想をしてしまう自分を攻めてしまうような気持ちとを兼ね備えた言葉にできない関係。
後半、教室に登場した芳子の口上を、読まずに飛ばしてしまった。飛ばしてしまった人と、僕は共鳴できると思う。
愛を知らないなんて、環境が私をそうさせたなんて、言い訳にしちゃいけないよ。あんたが弱いだけだよ。でも、完全な人間なんていないんだよな。
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愛を知らない=愛してほしい。
うまくやりたいのに、うまくできない。周りと比べてしまう。良い母親になりたいのに。
追い詰めてしまうのは、愛の裏返し。
子育てをしたことはまだ無いけど、ひりひりと胸に迫ってきた。
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『1ミリの後悔もない、はずがない』を読んだとき、「あぁ、このヒトの描く世界、好きだ」と思った。
最初のイメージ(ちょっとラノベとか若い子向けの物?)があっというまに崩れ去り、というか、崩れ去る前にその世界にどっぷりと浸りきっていて。このヒトが描く世界、もっと読みたい。もっと浸りたいと焦りに似た気持ちが湧き上がってきたのを思い出しました。
そして今回、ちょっと不安でもありました。『1ミリ』があまりにもよすぎてあの世界を超えられるのか、あるいはあの世界にもう一度連れて行ってくれるのだろうか、と。
杞憂でした。一木さん、すごいです。高校の合唱コンクール、というよくある青春モノの舞台を、さわやかさとか友情とか熱血とか、そういうものをばっさりと切り捨てて、ヒトの心のど真ん中にある「芯」のようなものにまっすぐ目を向けて。
「善なるもの」が必ずしも正しいとは限らない。というよりも、「善」であるために切り捨ててしまうもの、「善」であろうとして見失ってしまうもの、それを高校生が自分たちの手の届く範囲で正そうとするその姿に激しく心を揺さぶられた。
結果オーライなラストはいらない。ご都合主義な笑顔もいらない。一木さんのまっすぐな視線をただただ受け止めて本を閉じた。
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高校の合唱コンクールにクラスで選ばれた4人。父の死、幼児虐待・施設を経て養子、病気の母・貧困で夜遅くまで仕事、妹連れ、それぞれに問題を抱えつつも、ピアノや歌に希望をもって取り組む。
表向き、普通に元気そうに見えるあの子もこの子も、みんなすっごく大変な事情を抱えているんだ。世の中、ひどすぎるよ。
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愛されることを知らなかった里子と心に傷を持った里親の歪な憎しみと愛されたいという思いが心に深く響きます。そしてその関係を打ち砕く橙子の澄んだ歌声、最後の場面感動しました。
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もしかしてそうなんじゃないの?と思いながら読んだら
ほんとにそうで、もっと強烈でとても苦しかった。
出てくる人みんな、大人も子どもも愛を知っているし
愛されることも愛することもわかっているように思った。
ただ、ただ、求めすぎたのかもしれない。
教会での結婚式で説かれることの多い
聖書の一節「コリント人への第一の手紙 13章」を思い出した。
愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。
愛は高ぶらない、誇らない、
不作法をしない。自分の利益を求めない、
いらだたない、恨みをいだかない。
不義を喜ばないで真理を喜ぶ。
そして、すべてを忍び、すべてを信じ、
すべてを望み、すべてを耐える。
愛はいつまでも絶えることがない。
芳子はちょっと受け入れられないけれど
だけど、お前はどうなんだ!愛せたか?きちんと愛せたか?と
胸ぐらをつかまれたようだった。
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高校生の橙子。人に馴染めずクラスで浮く存在である。しかし、合唱コンクールでクラスメートのヤマオよりソロの推薦を受ける。橙子は歌うのか。そして、橙子にはどんな過去があったのか。
橙子の生い立ちを読むと苦しい。そして、橙子の母・芳子も辛い。この母にも暖かい手が差し伸べられるべき。愛の枯渇。自分だったら上手く接することができるだろうか、大切なことを読み進めながら心に留める。高校生のストレートな感情、上手く描き世界を完成させていました、ですのでこれからも期待です。
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母親を美談にしてはいけなーい!
その人にはその人にしかわからない苦労や悲しみはある。だから一方的な感想だとは思う。
でもあかーん!
ヤマオとか冬香先生とか、いいキャラも出てくる。
母という存在があるからこそ、よくある青春ものとはちょっと違うものになったとも言える。
でもあかーん!100%悪とは言い切れないけれど、でもあかーん!
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なぜ橙子はこんなに周囲に頑ななのか。合唱のソロに選ばれて…というような何かのリード文に青春ものを想像して読み始めたら、ヘビーな内容だった。月並みなことしか言えないけど、家族って、親子って難しい。というより、人と人との関係の作り方がどんどん下手な世の中になっているような気がする。どうしたら「いい加減」の関係をつくっていけるのだろう。そんなことをつらつら考えながら読んだ。
最後に橙子が選んだ道はどうなっていくのだろうか。
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ヒリヒリする読後感。
芳子をただの毒親と片付けられないのは、やはり彼女にも確かに愛情はあったから。橙子への仕打ちは理解もできないし許されないものだけど。
最後の合唱で救われた気がするけど、結局二人が分かり合えないままだったのがかなしい。
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高校生の合唱コンクール。ソロパートを任される男女二人と伴奏、指揮者の4人を中心に描く青春小説…と思っていたら、途中に挟み込まれるモノローグに思わず息を止めました。それぞれが抱えている過去がある。人生は細切れではなく繋がっている。だからこそ自分の想像と違うことに対応できないのかもしれない。でもどんな事情や過去があろうとも、こんな悲しいことになってはいけない。「愛されたい」ただそれだけのことがこんなに遠い。高校生たちの大人とは違うもどかしさや強さもぐいぐいと私の中に染み込んできました。是非読んでほしいです。
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なんて酷いんだ。
グイグイ引き込まれて、読みやすい本だった。
最後、涙出た。
ひどい。
ヤマオが素敵。
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母と橙子、それぞれの「愛してほしい」が切ない程伝わってくる小説。これをクラスメイトで親戚の涼の視点から書いているのが凄いと思った。青木さんとヤマオのキャラクターも魅力的。
母娘の関係という地球上最も近い存在の愛の形を描いてると思う。恋愛の男女の関係とは別の視点で、人間として1番関係性が密接で深いのは母娘だと思っていて、それをここまで描ききっていることに感動した。
男の人は、あまり読んでも分からないかもしれない。
母として、娘として、女として、愛されたいと望む人間性を切なく描いている。
そんなに長くないのでスッキリすぐ読める。
197ページあたりは、スピードアップして、私はゾッとした。
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合唱コンクールに向けての騒動を描いた青春小説……だと思っていた。主要な登場人物はピアノ伴奏、指揮、アルトとバスのソロの男女2名ずつ。この4人の造形が巧みで生き生きとしている。中盤で明かされる秘密に本書のタイトルの意味が込められていると思ってしまうが、物語はさらに転調する。愛とは何か? 痛みが胸に突き刺さる。