三国志の英雄たちに大きな影響を与え続けた理想の君主とは
2019/07/09 13:49
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
漢字、漢民族という表現が示すように、漢は中国を象徴する「古典」である。中国史上最長の統一帝国にして、中国を規定し続けた「儒教国家」はいかに形成されたのか。その歴史と思想潮流をたどる。武帝・宣帝・王莽・章帝に重きを置き、人物史は控え制度・思想史、要は曹操に否定され変容し隋唐に継承される「儒教国家の土台」醸成史の印象。あとがきから、諸葛亮の志した漢とは何かが根底と感じた。
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
秦の始皇帝が始めた中国統一は、漢において一応成し遂げられた。そういう意味で、漢は中国の基礎となったと言えるでしょう。本書は、その間に着いては、入門書でもあり専門書でもある。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2019年5月発行。
私の場合、帝国というと、西はローマ、東は漢を連想します。
400年続いた、漢帝国の歴史の変遷をまとめた一冊です。しっかりした内容の本だと思います。
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始皇帝が中華の統一を成し遂げた後、再び混乱期を迎えたが、劉邦がその戦乱を勝ち抜いて漢帝国を創設した。漢帝国は王莽が簒奪した時期を挟み、前漢と後漢に分かれる。この時期を通じて儒教が政権の中に深く浸透してい行く過程が詳しく描かれ、持ちつ持たれつの関係が明らかとなる。(権力者の後継選びにおいて、古典書の解釈が恣意的に、如何様にでも解釈される、など)
始皇帝が先鞭をつけ、漢帝国がほぼ確立した中央集権体制が、その後の中国の支配体制に連綿と継承された(されている)という著者の主題は、十分理解できる。
著者の前書『三国志』や『始皇帝』に比して、本書はかなり専門的で、やや難解と言える。
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中国史上最長の統一帝国、漢。儒教の役割に着目しながら、劉邦による建国から滅亡まで、中国の「国のかたち」を定めたその歴史を辿る
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20230812-0831 紀元前202年〜紀元後5年前漢、王莽による簒奪(新)を経て、紀元後25年〜220年後漢。訳00年間の漢帝国の興亡をその儒教国家としての成立を軸に描いている。自分は特に前漢の武帝から宣帝(@お嬢様と私)の時代に興味があり、色々と想像しながら楽しく読めた。また、後漢の光武帝が即位する前後の状況は思っていた以上に興味深く読めた。
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2019年6月18日図書館から借り出し。2019年6月24日読了。
もう20年以上前になるが、ちくま学芸文庫で「漢書」を読んだはずなのに、特に後漢時代で随分目新しい名前が次々出てきて、記憶力の無さにガックリ来たものの、それゆえに大変興味深く読むことができた。特に漢の時代を通じて、儒教がどのように為政者たちに受容されていったかを主題にした記述は、国内外の争い中心にしか見ていなかったところの背景にあったものを考えさせてくれる点で刺激的だった。
ただ、長い修飾語のあとに、ようやく主語が出てくることがある日本語は、古代史の森浩一氏の文章とはまた違った読みにくさがあるため、面白いのに読むのに時間がかかる。
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第1章 項羽と劉邦―時に利あらず
第2章 漢家の拡大と黄老思想―「無為」の有用性
第3章 漢帝国の確立―武帝の時代
第4章 漢家から天下へ―「儒教国家」への始動
第5章 「古典中国」への胎動―王莽の理想主義
第6章 「儒教国家」の成立―「古典中国」の形成
第7章 後漢「儒教国家」の限界―外戚・宦官・党人
第8章 黄天 当に立つべし―三国志の始まり
終章 漢帝国と「古典中国」
著者:渡邉義浩(1962-、東京都、中国史)
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始皇帝に続く渡邉義浩氏の中国史本。劉邦による秦を倒し漢が成った頃の話はなんとなく知っていたが、新や後漢成立のあたりは知識が欠落していたので興味深く読めました。良くも悪くも儒教国教化とともに制度が安定化し、儒教により活かされた外戚と宦官により屋台骨が揺らぎ、乱世の奸雄曹操に倒される。中国史において始皇帝と曹操が傑出した存在であったことが背景を知ることによってよく分かる。あとは隋を起こした楊堅あたりの話を知りたいと思いました。
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基礎知識の乏しい自分には、史実の洪水について行くのが難しかったが、論旨は平易に感じた。終盤の三国志・諸葛亮のくだりを理解できたのが嬉しかった。
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20190923
漢は中央集権的統治システムを作り上げ、思想原理である儒教と教典(正史を含む)を確立し、中華帝国の基礎を作り上げた
周:封建制をしき、後年封建諸侯が相争う戦国時代となった
秦:中央集権的な郡県制、度量衡の統一、法による支配を目指し焚書を実施し、氏族制を解体し、個人の直接支配を目指した。秦内部は商オウによる分異の例による士族の解体、軍功爵制によって王族の力は弱まり直接支配は進んだが、氏族制の強く残る諸国ではうまくいかなかった。
前漢:旧秦国内での郡県制、諸国には功臣と一族を封建する郡国制を導入しバランスをとった。初期は黄老思想に基づく戦略的無為無策により国力を養った。呉楚七国の乱を平定し、中央から太守、国相、刺史を派遣するようになり中央集権が強まった。武帝の時代には西域の支配を強めローマと互いに存在を認識し合うこととなる。内政にあたっては春秋の義と漢家の故事が重視された。
莽新:堯から桀へ、殷から周への故事をもとに禅譲による革命の正当化をすすめ、周の故事に従った執政を目指した。
後漢:庶子にすぎない光緒帝の建国を正当化するため、儒教のストーリーが利用された。天人相関説など神がかり的な教義をはじめ王莽による儒教解釈は祭祀をはじめ多く引き継がれた。漢書など儒教思想に基づき聖漢を必然とする“歴史”を語る書物が作成され、それが中華の原型として大きな影響を与えた。現状を追認する形で儒教は外戚の存在を擁護し、皇帝は外戚から権力を奪還する手段として宦官を利用したため両者の専横は続いた。
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思想史を軸に楚漢戦争から三国志の時代までが扱われている。儒教が国教として受け入れられていく過程を通して、後世の範となる古典中国がいかに形成されたかが書かれていて、これまで持ってなかった視点が勉強になった。
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新書版なので当たり前なのだが、漢帝国の歴史をかいつまんで説明するというような本ではなく、あくまで漢という国が中国(中華帝国)の礎となった理由を漢時代に確立した制度から紐解くという学術的な本。それでも前漢まではそれなりに歴史書になっているが、本の半分以降はほぼ制度的な説明に終始して、正直なところそのようなことを期待してなかった身としては読み進むのがきつかった。漢の制度に興味がある読者(多分、中国史を勉強している学生)には大変な良書であるとは思うが、一般読者にはなかなか難しい内容となっている。なお、登場人物の名前の読みが非常に難しいので、できれば初出の部分だけではなく数ページ置きにはルビを振っていただきたかった。それくらいの気遣いは是非、出版社にお願いしたい。
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三国志は好きなので後漢末期の知識は多少あるが、それ以前の知識は余り無く興味を惹かれたので購入。
漠然と疑問に思っていた法家的な秦から儒教国家である漢への繋がる謎が丁寧に説かれていて常に感心しながら読み進められた。
やはりドラスティックに変わった訳では無く、前後400年の中で思考錯誤や政治的思惑が混ざり合い儒教自体が形を変えて国家体制と呼応していく様は面白い。簒奪者王莽が意外にも後漢の基礎づけに資していたことも驚き。
これまで意識していなかった四書五経や正史の歴史的位置づけもとっかかりが出来、今後中国の古典を学ぶ際にも役立ちそうで読んで正解でした。
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中国「漢」王朝の通史。後世の中国において規範となる「古典中国」の形成・完成という視点から、儒教と国家の関係の変容を軸に叙述している。社会が思想を規定するというより、思想による体制への規制力を重んじているように読める(体制はいかに恣意的な政治行為であっても儒教による正当化理論を要し、なおかつそれに拘束される)。儒教国教化の時期を通説より遅い後漢章帝期まで下ろしているのは(個人的には20年以上前に新進若手だった頃の著者の講義で直接教え込まれていたので既知だったが)、教科書でしか中国史を学んでいない人には新鮮であろう。儒教の規制力を重視するからこそ、脱「儒教国家」を図った曹操の革新性と「儒教国家」の枠内に留まった諸葛亮の保守性という評価に至る。「三国志」の前提としても勉強になろう。