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前半と後半で行われている話が全く別方向になっているこの巻。けれども統一されているのは《5階同盟》に果たして明照は必要なのか?また、明照は《5階同盟》を独占して良いのか?というテーマ
前半の菫と明照による偽婚約騒動。ここで明照が最重要視していたのは菫が実家の呪いから開放されること。でもそれは菫が自由を手に入れる代わりに《5階同盟》から脱退するかもしれない虞を含んでいる
けれども、面倒見の良すぎる明照は菫の開放を優先してしまう。更に自分にはどうこういう権利がないなんて言う
それは彩羽が指摘したように偽悪趣味としか言い様がない
助けられた方からすれば感謝の念が湧いてくるけど、助けてくれた当の本人がその姿勢では何とも言えないものがある
そういった明照と《5階同盟》メンバーの認識の差が如実に、そして課題となったのが後半の話だね
《5階同盟》を最優先にしてしまうなら、《5階同盟》を自分より上手く回せる人間が現れたらその人に席を譲らなければならない
でも、そんな行為はメンバーには、特に彩羽には許せるものではない。何故なら明照だって《5階同盟》のメンバーだから
明照の席が脅かされそうになった状況を彩羽はそれで良いのかと明照に問う。そこまで状況が逼迫してようやく現れた明照の「我」の部分
「俺がここまで持ってきたから、他のプロデューサーは、この才能たちに気づけたんだぞ」という考え方
それがあるからカナリアがほぼ企画を奪ってしまった段階であっても明照はフォローの姿勢を崩さないし、最後の最後には《5階同盟》のクリエイターに最も必要な材料を提示できた
明照の覚悟を示すには良いエピソードだったんじゃないだろうか
そして《5階同盟》の運営問題と時を同じくして描かれるのは恋愛方面のあれこれ
ウザい彩羽も可愛いと思ってしまった明照、明照を自分の中で幾つもの世界一だと告げた彩羽、彩羽と明照の繋がりを知ってしまった真白
局面が大きく動きそうだと感じられた終盤でした