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コロナという誰も予想していなかった事態により、企業も官庁もテレワーク、ペーパーレスを突然迫られ、国内のデジタル化の遅れの深刻さに世間が気づくこととなった。今後、事業や業務のデジタル活用ニーズは高まり、数多くの製品サービスが登場するだろう。だが、デジタルな製品サービスを導入するだけでは、競争力と生産性も向上しない。事業のプロセス全体の中で、人とITの協働を設計しなければならない。
本書は、デジタル技術を導入して新しい仕事を設計する基本的な手順について、ITの開発経験がない人が理解していたら良いレベルまで説明している。手順の中で説明される主要な項目は、ビジョン、仕事、プロセスである。業務変革、業務改善において重要な概念であり、これを明確に定義することが、その後のプロジェクトの成否を左右する。そのため実際にはビジョン作成、仕事の分担、プロセスデザインは専門スキルを活用する難度の高いものだが、本書では身近な仕事に置き換えることで雰囲気を掴みやすくしている。
デジタル化に初めて取り組む組織では、AIサービスや使いやすいアプリなど、多くの情報に目移りし、いろいろ試行するものの、成果になかなか繫がらない、となりがちである。本書のステップを頭に入れておくことで、幹となるビジョン、仕事、プロセスからしっかり構築することから始めれば、デジタル技術が本来の価値を発揮するだろう。